「10万円はボクのお金♪」定額給付金で感じた”我が子の金銭感覚への違和感”

− 〜お金は空から降ってくるものではない〜 −


「定額給付金、ウチは何に使うの?」

Sさんは会社員の夫と小学校3年生の長男、幼稚園年長の長女の4人家族です。「特別定額給付金の支給開始」のニュースを見ていた長男から突然こんな質問が。Sさん夫婦の答えは、「貯金する」でした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための緊急事態宣言が解除されたとはいえ、第二波を気にしながらの生活は当分続きそう。夫のボーナスも冬は大幅に減る可能性が高いため、4人で40万円というまとまったお金は貯金に回すと決めていました。さらに長男の一言で、Sさん夫婦はドキッとします。

「でも10万円は僕のものだよね♪ゲームソフトいくつ買えるかな?」

4月に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」目玉である、国民1人あたり10万円の「特別定額給付金」。Sさんのように「子どもが自分で使い道を考えていた」という話を耳にすることがあります。今回の「特別定額給付金」は、家計の支援、そして経済活動の活性化が目的です。個人的な消費を増やすという意味では、子どもが自分の好きなものを購入することが間違っているとはいえないでしょう。

ただ、10万円という大金を「子どもが自由に使ってよいのかどうか」については熟考が必要かもしれません。未熟な金銭感覚では「あればあるだけ使ってしまう」ことにもなりかねません。日常生活の中でも「我が子のお金の使い方に不安を感じる」という人が多いようです。

次では、親目線からみた、「現代っ子の金銭感覚、違和感だらけのエピソード」をご紹介していきます。

■エピソード「不安!我が子の金銭感覚」

インターネットショッピングなどの普及により、自宅にいながら欲しいものが翌日届くことが当然と感じている子は少なくありません。また、親の消費スタイルが現金以外の「キャッシュレス決済」にシフトしたことが、子どもの金銭感覚に大きく影響していると思われる例もあるようです。では、寄せられたエピソードをみていきましょう。

●「壊れたらポチればいい」

「リビングの床を散らかしたまま自分の部屋に戻った息子。『床に置いたゲーム機、誰かが踏んだら壊れちゃうから片付けなさい』と注意したところ、『ネットでポチるから〜』と一言。修理するとかそういう感覚もないんですかね。何でも簡単に手に入る時代、モノを大切にする気持ちを養うにはどうしたらいいのか・・・」

●「お金ないならチャージして」

「娘と買い物に行き、洋服をねだられました。『今日はお金持ってきてないから買えないよ』と説明したのですが『じゃあチャージすればいいじゃん!』とねばられました。課金ゲームの感覚ですかね、お金はチャージすれば簡単に増えるものと思っているようです」

●「忘れ物はコンビニで調達」

「大学生の息子が“こづかい足りない!”と言ってきました。十分な額を渡しているつもりだったので不審に思い、使い道を問いただしたところ愕然。「“ビニール傘、制汗剤、スマホの充電器”など、外出先で必要になったものを都度コンビニで買っていたらスッカラカンになってしまった・・・」と。どれも自宅から持って行けば済む話ですよ?忘れたら買えばいい、という気持ちのユルさが、金銭感覚をマヒさせているのかもしれません」

キャッシュレス決済が普及しつつある現代っ子は、実際に現金を払う様子を見る機会が減っています。「モノを手に入れるのにお金が必要」という感覚が、親世代と比べて生まれにくくなっていることが考えられますよね。しかも「お金の使い方」って生活していく中で最も大事なスキルなのに、学校現場などで教育を受ける機会が極めて少ないようです。

■「現代っ子のおこづかい事情」みんなは月にいくらもらっているの?

ここで、金融広報中央委員会が公表している『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]( https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/19bunruif001.html )』の令和元(2019)年調査から、子どもたちに一番身近なお金である「おこづかい」の平均額に関するデータをみていきます。

●おこづかいの平均額(月額)

  • 小学1,2年生…984円
  • 小学3,4年生…940円
  • 小学5,6年生…1161円
  • 中学生…2510円
  • 高校生…5814円

小学生でも、ひと月に1000円弱のお金を自由に使える状態にあるということがわかります。
金銭感覚は、実際にお金を動かしていく中で培われるもの。経験値がモノをいいます。中には金額を決めず、子どもにねだられるたびに購入するという家庭もあるようですが、たとえ少額でも、決められた金額のなかで、自分で出費をコントロールすることに慣れさせていくことをおすすめします。

■家庭でできるマネー教育の実践例

以上をふまえ、家庭で取り組みやすそうな「お金」に関するしつけについて、具体例をまじえながらみていきましょう。

●3〜4歳

「モノを買ったら、自分のお金が減る」ことを理解するのは、金銭感覚を芽生えさせる第一歩。遊びや生活の中でお買い物の仕方を理解している子は多いですが、お金が「減る」ということ自体にピンと来ない子が多いでしょう。この感覚を理解させるために、現金を使ってモノを買う場面をみせる、大人といっしょにお店での買い物経験を積んでいくという方法などは、楽しみながら取り組めるのではないでしょうか。

●4〜5歳

おこづかい制を導入してみてもよいころです。小学生のような1カ月スパンだとまだ長い可能性もあるので、週単位で渡すのもアリかも。その際、あえて100円玉で渡さず、10円玉を10枚渡してみる方法も。お金が減る様子が「見える化」されるので、計画的にお金を使う意識に繋がることが期待されます。

●小学生

小学生になったらぜひおススメしたいのが「おこづかい帳の習慣」と「金融機関の口座開設」です。そろそろ1カ月単位でおこづかいをもらっている子も多いでしょう。毎月の収支をおこづかい帳で把握し、お年玉やお祝いなどの臨時収入は通帳で管理。幼児の時期よりワンステップ上の方法で「お金の見える化」をしていくことで、お金に対する意識が高まります。中高生になりさらに大きな金額を管理する際に、とても役立つ方法だと考えられます。

●中学生・高校生

行動範囲が広がる時期。特に電車通学を始めた場合などは、不測の事態に備えて持たせるお金が増えた、という家庭も多いでしょう。毎月の収支はスマートフォンのアプリなどを活用して記録させるというのもいいですね。また、毎月のおこづかいの金額を少し多めに設定して、そこから携帯電話の利用料金を捻出させている、という家庭も。お金の出所は変りませんが、自分の必要経費を「見える化」したことで、使い過ぎやムダな課金をすることが減ったとのこと。

●すぐ使ってしまう子には

もらったお金ですぐ買い物してしまう、という子には、お手伝いの報酬としておづかいを渡すという方法が効果的かもしれません。「放っておいてもおこづかいが“降ってくる”」状態であれば、いくらお金の大切さを説いたところで、子どもの心には響きづらいでしょう。

そこで「お金は労働の対価である」という点からアプローチしてみるのです。家族の生活も、親が仕事をしてお金を稼ぐことで成り立っていることに気付けば、金銭感覚だけではなく、仕事や家族の役割などに関する意識も高まっていくことが期待できるのでは、と思います。

■まとめにかえて

インターネットが普及する前に育った親世代と、子どもの頃からスマートフォンに親しんできた現代っ子では、お金やモノに対する感覚に大きな差が生まれて当然でしょう。でも、どれほど決済方法や物流サービスが進歩しようと、「お金は使うと減る」という事実は今も昔も変りません。

日本人はおおっぴらにお金の話をするのは品がない、という感覚を持ってしまう傾向にあるようです。とはいえ、子どもがマネーリテラシーを身につけるためには、家庭での「お金の話」不可欠です。今回の『特別定額給付金』をきっかけに、お子さんとお金の話をする機会が増えるとよいですね。

【参考】
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/19bunruif001.html )」金融広報中央委員会
「【えぇっ?】『魔法のスマホで何でも買える』『自販機ドリンクで毎月赤字!?』我が子の金銭感覚に不安を感じたら( https://limo.media/articles/-/16644 )」LIMO

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