ウィズコロナ時代の新ビジネス成功のヒント〜非対面営業の事例から


新型コロナによる緊急事態宣言が全面解除になりました。第二波という言葉も聞きますが、これからも日本人らしい対策で乗り越えていけると期待しています。マスクを着用し、手洗いを励行し、3密を避けながら工夫して生活することにも慣れてきました。

筆者が携わるストックビジネスアカデミー( https://otaketakahiro.com/academy )(以下、SBA)は、そこに集う仲間とお互いに気づきを与え合う経営者コミュニティーですが、SBAでもこの2カ月間は対面でのイベントは避けてオンラインを使い、「オープン会議」と題して中小企業の新型コロナ対策について意見を交わす勉強会を開催していました。

これだけ事業環境が急変すると短期思考になりがちです。しかし、焦ってマスク特需のようなものに飛びついて、在庫を抱えて四苦八苦するようなことは避けなければいけません。また、コロナがきっかけのサービスも色々ありますが、それを今後もずっと必要とされるサービスにしていくことが重要です。

■コロナがきっかけで拡大するサービス

コロナがきっかけのビジネスで注目されているものの一つは「非対面」に必要なサービスです。

4月27日、「ハンコ、対面、紙」を廃止するために、制度や運用上の見直しを利用者本位で行わなければならない」 という政府指示が出ました。 今回の安倍首相の指示で、”ハンコの牙城”と思われていた金融業界までもが動き始めたところを見ると、この動きは本物だと言えるでしょう。

参考:『金融取引でも「脱ハンコ」、融資の電子契約が急増( https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59526010V20C20A5EE9000/ )』(日本経済新聞 電子版 5月26日付)

誰もが「ハンコは必要なの?」と潜在的に思っていたところに、在宅勤務なのに押印のため出社するという不合理がコロナで浮き彫りになりました。この流れは、金融機関と公共機関が「ハンコなし」に動きだしたことで、今回は一気に進みそうです。

そのため、早速ウェブ商談やオンライン契約を提供する会社が増え始めています。しかし、目の前の需要に飛びつくだけではなく、長期的な成功の仕組みつくりも忘れないようにしなければなりません。

今回は、そのために参考になりそうな事例として、筆者も開発にかかわったサービスで、非常にうまくいった事例をお伝えします。それは(株)ハッチ・ワークの「at PARKING 月極パートナーシステム( https://www.at-parking.jp/business )」です。

■地味ながら確実な市場を開拓

「月極駐車場」というのは、どこにでもある、あまりにも普通すぎてだれも気に止めないような事業です。そこに着目したのは、地味な事業であるゆえにIT化が遅れていたという点です。

そこで月極駐車場管理業務における手間を、オンライン契約(ハンコなしでスマホで契約)や自動集客で大幅に削減するサービスを開発しました。オンライン契約数はサービス本格導入後の2019年12月の月間42件から、この4月には月間231件と5倍以上になり、特に新型コロナで対面営業が自粛されてから契約件数が急増しています(図表1参照)。

図表1:at PARKINGのオンライン契約数の推移

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出所:(株)ハッチ・ワーク(以下、特記のない場合は同じ)


さて問題は、このオンライン契約の仕組みだけを提供していたのでは、いずれ競合も増えて差別化ができなくなることが容易に想像できることです。

たとえば「ハンコをなくす」という流れに乗ったサービス。これはコロナでブームになりましたが、これからも乱立するだろうと思います。オンラインで契約することだけでは一時の商材で終わってしまうでしょう。

そこで、「at PARKING 月極パートナーシステム」のサービスを利用する顧客に継続的な価値を提供できるようにして、時間が経てば経つほど得をするような仕組みにしたのです。

■駐車場ユーザーへの価値

「at PARKING 月極パートナーシステム」には、駐車場ユーザーと不動産管理会社という2つの利用者がいます。

まず、駐車場ユーザーが月極駐車場をオンラインで契約できるということは、まるでインターネットでホテルを予約する感覚です。利用者は数日かかっていた契約が30分で完了するようになのですから喜ばれるに決まっていますし、今までなかった方がおかしいくらいです。

実際、利用者の反響は非常に良く、上述のように今では毎月200件以上と利用者が増え続けています。

【ポイント1】駐車場を探す利用者に喜ばれるWinがある

■不動産管理会社への価値

しかし、これだけでは短期的な価値なので、もう一工夫が必要です。

もう一方の利用者である不動産管理会社もWinならWinWinになりますからビジネスの成功確率は上がります。ここでも、コロナで生まれた一時の課題解決ではなく、継続する価値提供があるかどうかがカギです。

管理会社にとってオンライン契約は、契約を非対面で行うことで実務工数が確実に減るメリットはあります。しかし、それだけでは不十分です。

なぜなら、何千台、何百台という規模で駐車場専属の人員がいる場合はコストダウンも明確ですが、台数が少ない場合は兼務で働く人が多いので、作業量は減らせても人件費が減らせるほどではありません。

そこで、オンライン契約サービスであると同時に、「確実に売上が上がる」という価値をセットにしたのです。つまり、出る方(コスト)を抑えるだけではなく、入る方(売上)も増やすという価値です。

【ポイント2】月極賃料なので、売上が上がれば毎月継続的な価値が続くというWinがある

図表2:at PARKINGの仕組み

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管理会社の売上アップのための工夫

では、確実に売上がアップするために何をしたのか解説しましょう。

一つは、通常は有料である大手不動産ポータルサイトへの広告を無料で自動掲載するようにしたこと。

もう一つは、「アキマチ?」という仕組みです。空いていればその場でオンライン申込可能ですが、満車でも空きが出たときに自動連絡する予約待ち(空き待ち行列)の仕組みを開発したのです。なお、アキマチ?は2020年4月に登録商標になりました。

図表3:アキマチ?サービスイメージ図

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その結果、今や満車の駐車場の70%以上に予約が入り、1台の予約待ちに100人以上が行列する場所もあるというメガヒットサービスになりました。

この「アキマチ?」があると、空きが出てからの募集期間がゼロになりますので、理論的にはどんな場所でも必ず売上がアップします。こうして「管理会社への継続的な価値」を毎月継続する売上という数字で見えるようにしました。

図表4:at PARKINGのQRコード付き専用看板のイメージ

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ストックビジネスのヒント

継続的な価値が見えるものは長く続きます。そして、「継続する価値」を提供できるモデルは必ず「連続性があり時間経過とともに収益が積み上がるストックビジネス」になります。その結果、「at PARKING 月極パートナーシステム」にも薄く継続的な収益が生まれ、「WinWinWin(三方よし)」の継続するビジネスの輪が完成します。

新型コロナは国内経済を破壊しましたが、その経済を取り戻すための創意工夫ビジネスも多数生まれています。しかし、一時で終わるのか継続するのか? ここが秀逸なビジネスになるかどうかの分かれ目です。

今回紹介した「at PARKING 月極パートナーシステム」は、ハンコがなくなるという単機能のオンライン契約だけでも評価されたはずですし、普通ならばそこだけで終わりがちです。しかし、新型コロナが終わってからも管理会社に継続する利益を提供することで、息の長いビジネスに生まれ変わりました。

皆さんのビジネスモデル構築の参考になれば嬉しく思います。

ストックビジネスアカデミー「オープン会議」の様子

出所:ストックビジネスアカデミー

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