「中国が尖閣諸島奪取」シナリオの衝撃〜米シンクタンクが日本の経済安全保障に警鐘


■コロナ禍の隙をついて海洋進出を強行する中国

中国は4月、南シナ海を管轄するために設けた海南省三沙市に、行政区として西沙区と南沙区を新設した。

南シナ海では中国による一方的な行動が続いている。中国とベトナムが領有権を争う西沙諸島では同月、中国の巡視船がベトナムの漁船を沈没させる事故が発生し、マレーシア沖では中国の調査船がマレーシアの国営石油会社の探査船を追尾するなど緊張が続いている。

そして、東シナ海では、中国の空母「遼寧」を中心とする部隊が4月、沖縄本島と宮古島の間を2回航行し、航空自衛隊が約20日間にわたってスクランブル発進する事態となった。

尖閣諸島周辺でも5月、中国海警局の船が与那国島所属の漁船を一定期間にわたって追尾する事件が発生した。中国側は、日本の漁船が不法操業をしていたとして、中国の警察権を行使したと主張している。

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうなか、中国はその隙をつく形であらゆる海域で海洋覇権を強化している。

■尖閣奪取の強行シナリオを描いた論文が発表される

このような状況下、ワシントンD.C.にあるシンクタンク「戦略予算評価センター(CSBA)」から5月19日、”Dragon Against the Sun: Chinese Views of Japanese Seapower( https://csbaonline.org/research/publications/dragon-against-the-sun-chinese-views-of-japanese-seapower )”と題する論文が発表された。

同論文は、中国の海洋覇権が進むなかで、中国海軍と海上自衛隊の能力を比較し、中国が日本に対して優越感を高め、軍事力を含めあらゆる攻撃的な行動に取ることにためらいを感じなくなると警告している。

そして、本論文では、中国が4日以内に尖閣諸島を奪取する強行シナリオが具体的に描かれている。そのシナリオは以下のようになっている。

  1. 海上保安庁の船が尖閣海域で中国海警の船を銃撃し、その後、中国海軍の護衛艦が日本側へ報復的な攻撃
  2. 日中両国が尖閣海域を中心に戦闘モードに突入 中国空母などが宮古海峡を通過し、日本側が追跡
  3. 日本の早期警戒機とF15戦闘機が東シナ海の上空をパトロールするが、中国軍がそれらを撃墜
  4. 緊張が拡大し、とうとう那覇空港を中国が巡航ミサイルで攻撃
  5. 米国が日米安保条約に基づく協力要請を拒否 米大統領は中国への経済制裁に留まる
  6. 宮古海峡の西側で日中による短期的かつ致命的な軍事衝突が勃発
  7. 米軍はそれを観察したままで依然として介入せず 米軍が介入しないことを中国軍が理解し、米軍の偵察機が嘉手納基地に戻る
  8. 最初の衝突から4日以内に中国が尖閣諸島に上陸・奪取

■日本のシーレーンへの危機意識を

長年、あらゆる安全保障の専門家、政府関係者、メディアがこの問題について語ってきたが、こういった具体的なシナリオが発表されることは少ない。

もちろん、このシナリオ通りになるかは分からず、1つの警告として我々は捉えるべきだろう。しかし、中国の国力と国境は比例するとも言われるように、軍事力によって自信と優越感を深めた中国は、今後も海洋進出を進めることを我々は常に意識しないといけない。

何かしらの偶発的衝突によって、一気に戦争モードに突入することもある。そうなれば、日本のシーレーンも大きな影響を受け、日本経済にもあらゆる側面から被害が出てくるだろう。

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