「職業訓練」と「教育訓練」ってどう違う?資格・スキル習得を支援する公的制度


総務省統計局が、2020年2月に公表した、統計トピックス『増加傾向が続く転職者の状況〜2019年の転職者数は過去最多〜( https://www.stat.go.jp/data/roudou/topics/topi1230.html )』によれば、2019年の転職者数は過去最高の351万人。転職理由としては『よりよい条件の仕事を探すため』と回答した人が127万人と過去最多となっています。

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、私たちをとりまく雇用環境は悪化しています。とはいえ、正規雇用やキャリアアップを目指し、資格や技術の取得に向けて勉強している人も多いと思います。

今回は、社会人の学びを費用の面でサポートする公的制度、「職業訓練制度」と「教育訓練給付金」のお話です。職業訓練は離職者向け、教育訓練は在職者でも受講できる制度で、どちらもハローワークが申し込み先です。では、その詳しい内容を見てきましょう。

■職業訓練制度って何?

まず、離職者向けの職業訓練制度は、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2本立てです。それぞれの特徴をみてみましょう。

●公共職業訓練

  • 対象者:雇用保険の受給資格がある人
  • 受講料:無料(テキスト代などは自己負担)

●求職者支援訓練

  • 対象者:雇用保険を受給できない人
  • 受講料:無料(テキスト代などは自己負担)
  • 支給される金額:一定の要件を満たした人は、月10万円の職業訓練給付金と交通費(上限あり)が支給される

どちらもテキスト代などを負担すれば、無料で受講できる仕組み。ハローワークが提携している専門学校などが訓練場所となります。申請窓口は管轄のハローワークです。

指定講座は、ハローワークインターネットサービスの「訓練検索・一覧」( https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010 )で探すことができます。

■教育訓練給付制度って何?

続いて、教育訓練給付制度についてみていきましょう。この制度は、「一般教育訓練給付金」と「特定一般教育訓練給付金」「専門実践訓練給付金」の3つに分かれています。それぞれの特徴は以下の通りです。

●一般教育訓練給付金

■3種類の中で最も受給者数が高い

対象者

  • 在職者、または離職日の翌日(被保険者資格を喪失した日)から受講開始日までが1年以内(※)、かつ雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回なら1年以上)

支給額

  • 教育訓練経費の20%(上限10万円、4000円を超えない場合は支給なし)

●特定一般教育訓練給付金

■2019年10月に新設

対象者

  • 在職者、または離職日の翌日(被保険者資格を喪失した日)から受講開始日までが1年以内(※)、かつ雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回なら1年以上)の人

支給額

  • 教育訓練経費の20%(上限20万円、4000円を超えない場合は支給なし)

●専門実践教育訓練給付金

■3種類の中で最も専門性が高い内容
支給対象

  • 雇用保険の被保険者…支給要件期間が3年以上(初回なら2年以上)
  • 雇用保険の被保険者だった人…離職日の翌日(被保険者資格を喪失した日)以降、受講開始日までが1年以内(※)、かつ支給要件期間が3年以上(初回なら2年以上)

受講中の支給額

  • 教育訓練経費の50%(年間上限40万円、最大3年で120万円、4000円を超えない場合は支給なし)

受講後の支給額

  • 資格取得などをした後、かつ修了した日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された場合は、教育訓練経費の70%(年間上限56万円、最大3年で168万円。4000円を超えない場合は支給なし。また、専門実践教育訓練受講中の支給された額との差額のみ)

最初にご紹介した「職業訓練」が受講料が不要であるのに対し、「教育訓練」では自己負担する部分が多くなります。とはいえ、さまざまなニーズに応じた講座を選ぶことができ、制度を活用しなかった場合と比べると、経済的な負担は大幅に軽減できます。また、専門実践訓練給付金の制度では「教育訓練支援給付金( https://www.mhlw.go.jp/content/000571214.pdf )」として雇用保険の基本手当の80%が支給されるケースも。活用を検討する場合は、ご自身が要件を満たしているかどうかを事前に確認しておきましょう。

なお、講座については「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座( https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SSR/SSR101Scr01S/SSR101Scr01SInit.form )」で検索できます。

(※)2018年1月より、妊娠・出産・育児・病気などの理由で受講を開始できない場合は、離職日の翌日から最大20年以内まで適用対象期間の延長が可能となりました。
参考:厚生労働省資料( https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000189787.pdf )

■武器を身につけたら、転職活動を!

費用面でサポートを受けながら、資格取得・スキルアップに向けての知識の習得ができる職業訓練制度」と「教育訓練制度」。これらを受講後は、身につけたスキルを生かせる、ご自身の希望条件に合った仕事を探していきましょう。

ハローワークや求人サイトの活用はもとより、転職エージェントに適職を見つけてもらうという方法もあります。履歴書の書き方や面接の指導をしてくれたり、希望の条件に合った企業をリストアップし、マッチングさせてくれたりと、フォロー体制が整っているのもポイント。担当者のアドバイスをもらいながら就職活動したい人には向いているかもしれません。

■まとめ

不況時には、資格習得を目指して学ぶ人が増えるといわれています。「資格を取得したいが金銭面がネックで・・・」と悩んでいた方は、今回ご紹介した公的な学びの制度の活用を検討するとよいかもしれませんね。まずは、ご自身が支給条件を満たしているかどうかを調べてみることをおすすめします。

【参考】
「増加傾向が続く転職者の状況〜2019年の転職者数は過去最多〜( https://www.stat.go.jp/data/roudou/topics/topi1230.html )」総務省統計局
「訓練検索・一覧( https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010 )」ハローワークインターネットサービス
「専門実践教育訓練の給付金のご案内( https://www.mhlw.go.jp/content/000571214.pdf )」厚生労働省
「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座( https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SSR/SSR101Scr01S/SSR101Scr01SInit.form )」厚生労働省
※「平成30年1月より雇用保険の教育訓練給付金について 適用対象期間延長が最大20年になります( https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000189787.pdf )」厚生労働省
「ハロートレーニング(職業訓練)( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/hellotraining_top.html )」厚生労働省
「教育訓練給付制度( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html )」厚生労働省

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