働いている人も利用できる!ハローワークのお得な活用法

− 〜FPが易しく解説〜 −


ハローワークと聞いて何を想像しますか?「失業した時に行く所」「できればお世話になりたくない」‥など、ネガティブなイメージを抱く人は多いと思います。

しかし、ハローワークは失業手当だけではありません。無料でスキルを身に付けられたり、仕事で役に立つ資格を割安で取得できるなど、ポジティブな使い方ができるのです。さらに生活費までバックアップしてくれる制度もあり、知らないと損をしているといってもいいかもしれません。

そこで、スキルアップに焦点を当てたハローワークのお得な活用方法をご紹介します。

■無料で受けられる公共職業訓練

職業訓練というと、機械や電気などの現場系の技能習得訓練のイメージがありますが、実際は時代のニーズに沿った多種多様なコースがあります。いくつか例をあげると、アプリ開発、プログラミング、3DCG、ネイリスト、フードコーディネーターなどもあります。

筆者が気になった講座は「グローバルICT学科」です。訓練内容はIT Strategy&Management、IT国家試験取得資格対策、TOEIC特講、簿記概論等、英語コミュニケーション、プログラム等で、まさにこれからの人材が持つべきスキルが学べる内容となっています。

人気のコースは応募が集中し、選考に通りにくくなっています。今はWebクリエイターなどのWeb系のコースが人気のようです。(※)

(※)「訓練実施予定 民間教育機関での職業訓練 TOKYOはたらくネット」委託訓練応募状況より

職業訓練は離職者が対象であり、失業保険を受給できる人が受けられる「公共職業訓練」と失業保険を受給できない人が受けられる「求職者支援訓練」があります。コースや期間などの違いがありますが、どちらも無料で受けられます。

公共職業訓練は、失業手当(基本手当)を受給しながら訓練を受けられるので、生活費の心配がありません。また、基本手当の給付日数が終了しても、訓練中であれば引き続きもらうことができます。

求職者支援訓練の場合は、失業手当はもらえませんが、一定の要件を満たせば、月10万円の職業訓練受講給付金をもらうことができます。さらに、どちらの場合も、交通費(上限額あり)の支給があります。

実際にこれらの訓練を実費で受講すれば、相当なお金がかかります。希望のコースがあれば、受講してみてはいかがでしょうか。

■在職中なら「教育訓練給付」

転職なんて考えていない、今の会社でスキルアップして上を目指したいという人は教育訓練給付を利用してみましょう。

教育訓練給付制度は雇用保険の加入者あるいは加入していた人が、厚生労働大臣指定の講座を受け、修了すると、その支払った費用の一部が支給される制度です。一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金があります。

●気軽に利用できる「一般教育訓練」

一般教育訓練給付金の支給額は受講費用の20%(最大10万円)となります。

利用できる条件は、雇用保険の加入期間が3年以上となっていますが、まだ一度も利用したことがなければ、加入期間1年以上で利用することができます。離職した場合は、離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。

条件としてある「厚生労働大臣指定の講座」ですが、パソコン系の資格から士業などの難関資格、医療系の資格、語学まで、仕事に結びつく資格や技能であればほぼ網羅されているので、限られてしまうことはないでしょう。仕事の後に、英会話教室に通うケースでも利用できます。

<手続きの方法>

最初に、受講する教育訓練機関に制度を利用することを伝えます。受講修了後、居住地のハローワークに以下の書類を提出します。

  1. 教育訓練給付金支給申請書(教育訓練機関からもらいます)
  2. 教育訓練修了証明書(教育訓練機関からもらいます)
  3. 領収書
  4. 本人・住所確認書類および個人番号(マイナンバー)確認書類
  5. 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
  6. 教育訓練経費等確認書

※その他、キャリアコンサルティングを利用した、還付金を受けた等は、その事実を証明する書類が必要です。

注意点としては、受講修了後、1カ月以内に申請をすることです。忘れないようにしましょう。また、支給される費用は、最大1年分であることも留意しておきましょう。

講座は土日や夜間の通学、通信やeラーニングもあるので、働きながら受講できますね。

●本格的にスキルを身に付けたいなら「専門実践教育訓練」

習い事のような感覚で利用できる一般教育訓練に対して、専門実践教育訓練は、腰を据えて、実践的なスキルを身に付けたい場合に利用できる制度で、主に国家資格や公的資格の取得などが目的となっています。

期間も2年から3年かけて専門学校に通って訓練する内容が多く、看護師、介護福祉士、美容師、調理師、保育士などの資格を取得することができます。

専門実践教育訓練給付金の支給額は受講費用の50%(最大1年間40万円)となっており、期間は3年間が最長となるので、最大120万円の支給となります。

さらに受講後、資格等を取得し、1年以内に雇用保険の加入者となれる職に付くと追加で20%支給されるため、合わせて70%(最大1年間56万円)、3年間で最大168万円の支給となります。

利用できる条件は、雇用保険の加入期間が3年以上となっていますが、まだ一度も利用したことがなければ、加入期間2年以上で利用することができます。離職した場合は、離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。

<手続きの方法>

手続きの方法は一般教育訓練と大分異なり、最初にキャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けなければなりません。

これを元にジョブカードを作成し、ハローワークに提出します。この手続きは受講開始日の1カ月前までに行う必要があります。また、給付金の支給申請は受講修了後だけでなく、受講中も6カ月ごとに行う必要があります。

<教育訓練支援給付金>

専門実践教育訓練は期間が長いため、仕事を辞めて訓練を受ける場合は、生活費の心配がありますが、その点についても支援があります。

45歳未満の離職者を対象に、「教育訓練支援給付金」の支給があります。これは、雇用保険の基本手当日額の約80%が支給されるもので、教育訓練が終了するまで給付を受けることができます。(基本手当が支給されている間は支給されません)

専門実践教育訓練は、離職者だけが対象ではありません。夜間や通信などを利用して、仕事を続けながら受講することも可能です。情報通信技術関係の資格やビジネス、工業分野などにおいて、現職を続けながら上級資格を目指したり、専門性を突き詰めたりする目的で利用することもできます。

■職業訓練と教育訓練どう違う?

さて、ここまで職業訓練と教育訓練についてお伝えしてきましたが、どちらもハローワークで手続きを行いますが、制度が異なります。

職業訓練は離職者を対象として、無料で訓練を受けられる制度です。教育訓練は在職者と離職者、両方が利用でき、支払った受講費用の一部が給付金として返ってくる制度です。

在職者は教育訓練しか受けることができませんが、離職者(離職後1年以内)の場合は、どちらの訓練も受けることができるので、選択に悩みます。そこで、それぞれの特徴が分かるように図解にしてみました。

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職業訓練と教育訓練、どっちを選ぶべき?(筆者作成)

公共職業訓練と専門実践教育訓練は、どちらも生活支援があり、しっかりと学べる点で迷うところですが、専門実践教育訓練の方が長い期間をかけて訓練する講座が多いため、より専門的・実践的なスキルが身に付けられるといえるでしょう。とはいえ、その人の状況や、講座の内容にもよるので、まずは、ハローワークで相談してみましょう。

ハローワークは上手に利用すれば、お得にスキルアップができることをお伝えしました。仕事に行き詰った、新しい挑戦がしたくなった、そんな時、これらの制度を活用してみてはいかがでしょうか。

●参考

「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/rishokusha.html )厚生労働省
「求職者支援制度のご案内」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html )厚生労働省
「訓練実施予定 民間教育機関での職業訓練 」( https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kyushokusha-kunren/itaku/plan/index.html )TOKYOはたらくネット
「教育訓練給付制度」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html )厚生労働省
「【訂正】専門実践教育訓練の指定講座を公表しました〜専門実践教育訓練の令和元年10月1日付新規指定講座は137講座〜」( https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06072.html )
「専門実践教育訓練給付金の拡充で あなたのキャリアアップを支援します」( https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201408/1.html )暮らしに役立つ情報(政府広報オンライン)

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