【教育費と学力格差】経済力の差はハンデだがそれだけで学力は決まらない


子どもの貧困や学歴格差がニュースで取り上げられることが増えています。親の収入に余裕がないと進学を諦めなければならず、親世代の格差がそのまま子ども世代に受け継がれるという負のスパイラルに陥ることも少なくありません。

そのため、我が子に「良い教育を受けさせたい」と、教育費をコツコツ貯めている方も多いでしょう。ただ、かけられるお金にゆとりがあっても、子どもが勉強にやる気を出さないというケースもあるようです。

■子どもの教育費の負担が重いと感じる親が約7割

ソニー生命保険株式会社は2020年3月、「子どもの教育資金に関する調査2020( https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_200327.html#sec1 )」の結果を発表しました(対象:大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女、有効サンプル数:1,000人)。

同調査によると、「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」という質問への回答は、「非常にあてはまる」17.2%、「ややあてはまる」48.3%で、「あてはまる(計)」は65.5%。

また、「子どもの教育費の負担を重いと感じる」かという質問に対しては、「非常にあてはまる」25.6%、「ややあてはまる」43.8%を足した「あてはまる(計)」は69.4%でした。

「負担が重いと感じる」の結果を就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した人の割合は、未就学児の親では56.5%(n=248)、小学生の親では65.7%(n=248)、中高生の親では73.4%(n=252)、大学生等(予備校生・浪人生・大学生・短期大学生・専門学校生、以下同様)の親では81.7%(n=252)でした。

就学段階が上がるにつれて負担を重いと感じる人の割合が高くなるのは、子どもの成長に伴い塾や習い事の費用がかさんでいること、そして大学進学の負担が大きいことが理由であると思われます。

■教育費を貯めるために何をしている?

それでは、実際に子どもを持つ親はどのように教育費を確保しようとしているのか、2組の夫婦に話を聞いてみました。

Aさん夫妻は結婚前から子どもを作る前提で、結婚式や新婚旅行の費用を抑え、教育費の貯金を始めていました。そして今も、毎月手取りの1〜1.5割を教育費として貯めています。

学資保険にはあえて加入していませんが、それは保険は最低限でいいというスタンスだから。「掛け金の分、貯めておけばいい」という考えだそうです。学資保険は用途が限られていて、途中で解約すると払い込んだ保険料より少ない額しか受け取れない点を考慮したといいます。

一方、Bさん夫妻は貯金と学資保険の両方で教育費を賄おうと考えています。学資保険は返戻率重視で、教育費が一番かかる大学の時に多く受け取れるものを選んだそうです。

また、Bさん夫妻は、教育費にお金をかけすぎると家庭全体が不幸になってしまうという危機感を持っています。世帯年収で考えるとそれほど余裕がないため、子どもたちには高校まで公立に行ってもらい、その間にコツコツ貯金もしながら大学に行かせられるよう計画しているといいます。

■経済力があってもやる気のない子は親に問題あり?

上述のソニー生命による調査では、子どもの学力や学歴は教育費次第と感じている人が6割超いるという結果でした。しかし、塾講師として働いていたCさんは塾でさまざまな子どもを見てきた経験から、必ずしもそうではないと考えているといいます。

当初、富裕層は子どもの教育にお金をかけられるので成績の良い子が多いというイメージがあったCさんでしたが、実際には全くやる気がなく勉強ができなくても構わないという態度の生徒や、中学生なのに小学校3、4年の漢字の読み書きもままならない生徒もいたそうです。

Cさんは、経済的に恵まれているのに勉強の意欲がない子どもには、ある共通点が見られることに気づきました。それは母親と子どもの関係が悪いこと。特にやる気がない生徒の母親は、子どもの前で「あなたたちがいなければ良かった」と口にするのだとか。その生徒は「勉強だけしろという母が嫌い」とCさんに嘆いていたそうです。

勉強に対する意欲は、「自分の適性を活かしたい」「自分が興味のあることを追求したい」と願う気持ちと直結します。しかし、親から否定的な態度を示されると自分自身を見失いがちになり、何をやりたいか目標を見つけられなくなるのではないかとCさんはいいます。

■教育費を貯めるだけでなく、情報収集も大切

経済力のある家庭の方が、塾や習い事など子どもに多くの経験をさせられという点で有利なのは確かです。しかし、親子の関係が悪く、子どもが勉強をする意味を見出せなければ、いくら環境を与えても学力は伸びないでしょう。

一方、金銭的に余裕がなくても、たとえば図書館や科学館などを利用して学ぶこともできます。また、自治体で行うキャンプや登山、スキー教室などは比較的手ごろな費用で参加できるものもあるようです。

親は、できる限り子どもの希望に添える選択ができるように金銭的なサポートをすることも必要ですが、費用が少なくても体験できることを探す情報収集も大切なのではないでしょうか。

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