”コロナに効く”デマで品薄になった納豆、注目されるポリアミンの本当の効果は?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染再拡大、いわゆる“第二波”に対する懸念は拭えませんが、全国レベルで緊急事態宣言が発令されることになった3〜5月のピーク時からは幾分落ち着いてきたことは確かです。

今振り返ると、ある種のパニック状態だったこの時期において、極度に品薄感が強まった物品がたくさんありました。特に、マスク、アルコール消毒剤、ハンドソープ、うがい薬、トイレットペーパーなどの衛生関連商品でその傾向が顕著であり、今もメーカーのフル生産が続いている商品が少なくありません。

一方で、トイレットペーパーのように、ガセネタと言えるような根拠のない情報によって品不足に陥ったものもありました。

■コロナ禍の中、納豆が一時品薄に

実は同じ頃、“コロナに効く”という不確かな情報がSNSで拡散され、それがもとで消費者の買い占め傾向が強まった結果、食品スーパーの店頭から一時姿を消した食料品の1つが納豆でした。納豆を入手するのが困難な時期があったことを覚えている人も多いのではないでしょうか。

事の始まりは、まだコロナ騒動とは無縁に近かった1月末、国立がん研究センターが「納豆の摂取量が多いほど循環器疾患死亡リスクが低い(約10%)」という調査結果を発表したことです。

そして、2月中旬の民放テレビ番組で、たまたま納豆による免疫力アップの効能を特集した後、新型コロナの感染拡大が加速しました。その過程において、いつの間にか「納豆はコロナに効く」という不確実な情報が生成され、SNSで拡散したと見られます。

なお、「納豆がコロナに効く」という情報は、全国納豆協同組合連合会によって明確に否定されています。その後はパニック的な買い漁りも見られなくなり、現在はほぼ通常の流通体制に戻っているようです。

結局、「納豆がコロナに効く」はガセ情報でしたが、国立がん研究センターの発表にある通り、納豆が有数の健康食品であることは紛れもない事実でしょう。そこで、1981年に制定された「納豆の日」である7月10日を前に、納豆がもたらす健康効果について改めて見てみましょう。

■納豆は健康栄養要素が豊富な発酵食品

さて、ご存知の方も多いとは思いますが、納豆という食品について簡単に説明しましょう。納豆は、大豆を納豆菌で細菌発酵させた発酵食品です。私たちの身の回りには数多くの発酵食品がありますが、その中でも代表的な1つと言えます。

納豆の特徴は、何と言ってもその栄養面と健康効果です。納豆の主な栄養要素としては以下のようなものが分かっており、健康食品と呼ばれるに十分値します。何だか、納豆さえ食べていれば一生健康で過ごせるのではないかとさえ思えるほどです。

  • イソフラボン(免疫力増強作用・ホルモンバランス正常化作用)
  • レシチン(整腸・ダイエット・疲労回復・抗菌殺菌効果)
  • 亜鉛(整腸・ダイエット・抗潰瘍効果)
  • サポニン(抗菌・殺菌・美容美肌・高血圧・血栓予防)
  • タンパク質(骨元気・更年期障害予防)
  • カルシウム(骨元気・抗潰瘍)
  • マグネシウム(美容美肌・抗潰瘍・抗菌殺菌効果)
  • 食物繊維(美容美肌・糖尿病・中性脂肪・コレステロール成魚)

■近年大きな注目を集めているポリアミン効果とは?

そして近年、納豆が持つ栄養健康効果で大きな注目を集めているのが、“ポリアミン効果”です。これは、納豆に含まれるポリアミンが、老化と動脈硬化の予防に大きな効果があるというものです。

元々、人体にはポリアミンが存在しますが、加齢とともに減少していくことが知られています。納豆は、そのポリアミンを多く含む代表的な食品であることが判明しました。最近は様々な医学学会において、納豆やチーズが持つポリアミンがもたらす健康効果、とりわけ、動脈硬化の予防効果が発表されています。

1月末に国立がん研究センターが発表した健康効果も、主にこのポリアミン効果に基づく内容でした。これに限らず、納豆の持つ健康効果は、医学的にも科学的にも実証されていると考えていいでしょう。

こんな素晴らしい健康食品を食べない選択肢はあるでしょうか? しかも、食品スーパーなどで市販されている納豆は非常に安価であり、いつでも簡単に入手することができます。それを示すかのように、近年は納豆の市場規模も拡大し、現在は年間約2,000億円と見られています。

■関西で納豆を食べない人が多い理由は謎のまま

しかし、納豆が嫌いな人、食べられない人がいるのも事実です。

全国納豆工業協同組合連合会が2019年6月に発表した「納豆に関する調査( http://www.natto.or.jp/reseach/pdf/190613.pdf )」によると、「納豆を食べない理由」(複数回答)の第1位は「昔から食べる習慣がない」の48.5%、次いで「臭いが嫌い」47.1%、「味が嫌い」31.9%、「ねばねばした食感が嫌い」24.4%となっています。

また、「納豆を食べる頻度」で「全く食べない」と答えた比率を地域ごとに見ると、近畿地方が21.0%で第1位、第2位は中国四国地域の20.7%となっています。

実は、「納豆の日」(7月10日)を制定したのは、一昔前は“納豆不毛の地”とまで言われた関西にある「関西納豆工業協同組合」なのです。1981年、関西での納豆消費拡大のために制定し、その後1992年に組織再編で出来た「全国納豆工業協同組合連合会」が改めて「納豆の日」として制定しています。

しかし、なぜ関西では納豆をあまり食べないのか、その謎は残ったままです。

それはともかく、結果的にはガセ情報だったとは言え、今回のコロナ禍で大きな注目を集めた納豆の健康効果を確かめたいものです。納豆が好きな人も嫌いな人も、そして、今まで一度も食べたことがない人も、改めてその味と臭いを堪能してみてはいかがでしょうか。

【参考】
「納豆品薄! 業界困惑「コロナに効くというデマ流れている」(ITmediaビジネスonline、2020年3月19日)
「納豆が消えた! 新型コロナ対策で?品薄、欠品状態」(日刊スポーツ、2020年3月11日)

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