「介護離職」を考える前に、知っておきたい6つの支援制度


止まらぬ高齢化。団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になるとされる2025年まであと5年です。じわじわと超高齢社会による問題が起きてきています。

その1つが「介護離職問題」です。

介護には多くの時間と労力が必要です。そのため、介護と仕事を両立できず、離職してしまうケースが増えています。「仕事も必要だが、親の介護も大変。親も心配だし、いっそのこと介護に専念しようか」とあなたの周りにも悩んでいる人を見たり聞いたりしませんか?介護で職を離れると貯金を切り崩しながら生活する日々が待っています。

介護が長引けば、金銭的に辛くなり介護する側もされる側も辛くなっていきます。そうならないように介護離職を防ぐことが重要です。そのためにも、国の支援策をしっかりと知っておく必要があります。今回は介護離職の問題とその支援策についてお話します。

■介護離職問題について

介護が必要な人が増えてくるに伴い、介護をする人も増えています。「平成29年(2017年)就業構造基本調査」( https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf )によると親の介護をしている人は、は627 万6,000人で,うち介護をしながら働いている人は346万3,000人います。

また、「介護・看護のため」に前職を離職した人についてみると9万9,000人となっており、過去1年間に前職を離職した人に占める割合は1.8%となっています。約2%の人が介護・看護による離職に迫られたことになります。

■介護離職は再就職も困難

また、2013年のデータになってしまいますが、厚生労働省が三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託した「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」( https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf )によると、離職した人の半数以上が仕事を続けたかったと回答しています。

(対象:40歳代〜50歳代の就労者[正社員の男性1,000人、正社員の女性1,000人]と40歳代〜50歳代の介護を機とした離職者[離職前は正社員の男女1,000人]、方法:インターネット上でのモニター調査、期間:2013年1月、有効回答数:2,000件・離職者994件)

また再就職の状況は、49.8%の人が正社員として再就職できていますが、その他はパート・アルバイトや派遣社員として働いており、24.5%が仕事をしていないという結果でした。

これらの結果をみると、介護離職を防ぐ重要性が浮き彫りになっているといえます。

■介護離職ゼロを目指す国の支援制度

介護だけでなく、困った時にはいろいろな支援を受けることができるのが日本の良さの1つだと思っています。介護離職についても国が対策をしており様々な支援があります。

●介護休業・介護休暇

介護休業制度

要介護状態にある対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して休業を取得することができます。介護をするためにまとまった休みが必要な人のための制度です。有期契約労働者でも要件を満たせば取得できます。

介護休暇制度

介護休業制度と違う点は1年に5日、対象家族が複数の場合は1年に10日の休みを取ることができるところです。半日単位で休暇を取得でき、短い単発の休みが欲しい時に利用できます。

●労働時間短縮についての制度

休暇だけでなく、様々な労働時間短縮についての制度もあります。

所定外労働の制限(残業免除)

その名の通り、介護の終了まで必要なときに残業を免除することができます。1回の請求につき1月以上1年以内の期間で請求できます。

時間外労働の制限

介護が終了するまで、1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働を制限することができます。

深夜業の制限

午後10時から午前5時までの労働を制限することができます。

所定労働時間の短縮等の措置

事業主は利用開始から3年の期間で、2回以上利用可能な次のいずれかの措置を講じなければなりません。・短時間勤務制度・フレックスタイム制度・時差出勤制度・介護サービス費用の助成措置

また、介護休業などの制度の申し出などを理由とした解雇や不利益な扱いを禁止する制度や、嫌がらせを防止するハラスメント防止措置なども事業主に義務付けられています。

■介護休業中の経済的支援

介護休業期間の経済支援も行われています。一定要件を満たせば、介護休業開始前賃金の67%の介護給付が支給されます。要件が満たされているかなどは、最寄りのハローワークに相談しましょう。

■まとめにかえて

社会問題となっている介護離職ですが、頼れる支援もたくさんあります。看護師の筆者としても、介護や看護により苦しむ人は少なくなって欲しいです。
今回、紹介した支援内容の詳細は、厚生労働省の「介護離職ゼロポータルサイト」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112622.html )にまとめられています。

また、簡単なリーフレットとして、「介護で仕事を辞める前にご相談ください」( https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000480606.pdf )もあります。こちらには、各都道府県の気軽に相談できる連絡先も掲載されているため、何か困りごとがあればすぐに相談しましょう。親の介護なんてまだまだだと思う人も、もしものために今日の内容を頭の隅に置いておいてくださると幸いです。

●参考

「平成29年就業構造基本調査」総務省統計局( https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf )
「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」三菱UFJリサーチ&コンサルティング( http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf )
「仕事と介護の両立支援 〜両立に向けての具体的ツール〜」厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/model.html )
「介護離職ゼロポータルサイト」厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112622.html )
「在宅介護にかかるお金ってどれくらい?」LIMO( https://limo.media/articles/-/17593 )
「知らないと損するかも?何ができないと「要支援」「要介護」なのか」LIMO( https://limo.media/articles/-/17963 )

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