「三国志」「信長の野望」のコーエーテクモHD、ゲーム事業も資産運用も株価も快進撃!


三国志シリーズなどシミュレーションゲームの開発を得意とし、かつては投資ゲームも開発したコーエーテクモHDが7月27日に2021年3月期第1四半期決算を発表。経常利益が対前年同期比で7倍強の大幅増になるなど、好調ぶりを示しました。

本業の業績が堅調な推移を見せる中で運用事業も順調であり、株価も上場来高値を更新中という同社の快進撃ぶりについて詳しく見てみましょう。

■株価がこの1年で2倍以上に

歴史シミュレーションゲームの開発などで知られるコーエーテクモHD(3635)の株価が、右肩上がりの上昇を続けています。

2019年半ばに2,000円の水準から上昇を始めた株価は、2020年2月に3,000円を突破しました。3月にはコロナショックの影響からいったん2,500円を割れたものの、急速に回復。

さらに7月末の2021年3月期第1四半期(Q1)決算開示後に急騰し、8月に入ってからも連日上場来高値を更新しています(8月7日時点。8月7日はザラバで上場来高値更新)。

2021年3月期Q1は経常利益90億円、対前年同期比+618%増という大幅増益となったことが評価された形と言えるでしょう。

コーエーテクモホールディングスの過去1年の株価推移

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■2021年3月期Q1は運用益がゲーム事業の利益を超える

コーエーテクモHDは資産運用も行うゲーム開発会社として知られています。2020年3月期末時点で714億円の投資有価証券を持ち、2020年3月期は投資有価証券売却益を中心に営業外利益48億円を計上しました。

しかも、たまたま2020年3月期に大きな投資有価証券売却益があったのではなく、2019年3月期62億円、2018年3月期66億円、2017年3月期64億円、2016年3月期47億円、2015年3月期39億円と、毎年コンスタントに運用益を計上しています。

そして注目すべきは、2021年3月期Q1の運用益が、本業であるゲーム事業の利益を超えている点にあります。営業利益44億円に対し営業外利益46億円であり、わずかながら運用益が本業のゲーム事業の利益を上回りました。

今年の4-6月はコロナショックからの株価回復期に当たり、その相場の上昇が運用益に反映された形です。しかしコロナショック前の株価水準に戻らない銘柄も多いことを考えると、同社の資産運用を担う襟川恵子会長の手腕はお見事と言うほかありません。

■本業も大幅な増益に

コーエーテクモHDはゲーム開発会社であり、運用益は本業以外の収入、すなわち営業外利益です。

この営業外利益が好調でも、多くの場合は株式市場からそれほど評価されません。しかし同社は運用益が本業を上回ったQ1決算発表後に株価は出来高を伴って上昇し、4,000円台に乗せています。

同社のQ1は営業利益も44億円と、前期の10億円に対し4倍以上の伸びを見せました。株価上昇は、中国においてライセンス提供で展開している「三国志」が大ヒットするなど、堅調な本業があってこそです。

ただ、目を見張るような株価上昇が続く中で、Q1に本業を上回る利益を計上した運用益にも注目せざるを得ません。

■任天堂よりも運用スタンスは積極的

ゲーム業界はヒット作が出ると一気に儲かる一方で、ヒット作に恵まれないとほとんど利益が出ないという水物商売の一面があります。

コーエーテクモHDはこれまで三国志や信長の野望、無双シリーズのヒットで利益を積み上げた会社です。そして、積み上げた資産の運用で利益を上げるという姿は、国内ゲーム業界の雄である任天堂に通じるものがあります。

任天堂も2020年3月期に2000億円以上の投資有価証券を保有。任天堂とコーエーテクモHDでは運用スタイルが異なるものの(任天堂は債券中心、コーエーテクモHDは株式中心)、両社ともゲーム開発のかたわら資産運用を行う経営が行われています。

それにしても、シミュレーションゲーム開発を得意とするコーエーテクモHDが年間数十億円単位の運用益をコンスタントに上げる様子は、まるでシミュレーションゲームの達人のようだ、というのが「三国志」マニアでもある筆者の率直な感想です。

■おわりに

運用事業の利益が堅調な本業の利益を上回った2021年3月期Q1のコーエーテクモHD。同社はゲーム事業と運用事業という両者をシミュレーションゲームのようにうまくマネジメントして収益を拡大し、上昇トレンドの株価を維持できるのでしょうか。今後の業績及び株価の行方が注目されます。

【参考資料】
コーエーテクモHD 決算短信( https://www.koeitecmo.co.jp/ir/library/reports/ )
任天堂 2020年3月期決算短信( https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2020/200507.pdf )

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