介護費用ってどれくらいかかる?〜働き盛りがちょっと気になる「老後のお金」〜


「住宅ローンや子供の教育費などで、貯蓄が思うようにできない」、なんてお悩みをお持ちの働き盛りの世代のみなさんはたくさんいるでしょう。

定年時に、退職金というまとまった収入も見込める家庭もあるでしょう。とはいえ、2019年に話題となった「老後2000万円問題」や、コロナ禍での労働環境の変化をきかっけに、将来への漠然とした不安、とりわけお金に関する心配事が尽きないというのが本音ではないでしょうか。

■介護認定を受けている人ってどれくらいいるの?

高齢期になると病気のリスクも高まります。状態が悪化すれば、日常生活でサポートが必要となる可能性もあります。

厚生労働省が公表している「平成30年(2018年)度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント( https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/18/dl/h30_point.pdf )」(※1)によると、要介護(要支援)認定者数は、2018年3月末現在の641万人から、2019年3月末現在で658万人となり、1年間に全国で17万人(+2.6%)も増加しています。なかでも手厚い介護が必要だといわれる「要介護3・4・5」の人は3割超(34.5%)になることが分かりました。

実際の介護にどのくらいの費用が必要となるのかは、若くて元気なうちには想像しにくいかもしれませんね。高齢になってからの生活費と介護費用、そして年齢的に医療費も増えていく可能性があります。将来のもしもに備えて、一度、考えてみてはいかがでしょうか。

■日本の介護保険制度と「自己負担限度額」

まず、日本の介護保険制度について確認しておきましょう。国民皆保険制度の日本では、40歳になると健康保険料とともに介護保険の保険料を支払います。そして介護が必要となった時には、1割負担(一定以上の所得がある場合は、2割または3割)で介護サービスを受けることができるという制度になっています。

●健康寿命と要介護認定者の割合

健康な老後を過ごすことができたらそれに越したことはありませんよね。

厚生労働省の「令和2年(2020年)版高齢社会白書」(※2)によると、2016年の健康寿命は男性72.14歳・女性74.79歳という結果でした。健康寿命とは、「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」を表しています。同じく2020年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。比較すると、その差は男性で8.84年、女性は12.35年となりました。「この差」の年数分だけ、介護が必要となる可能性があると見積もってもよいかもしれません。

●要介護状態区分と限度額

要介護度状態区分には7段階あり、それぞれ1カ月あたりの利用限度額(※3)があります。その限度額の範囲内であれば、1割負担で訪問介護、看護や訪問入浴などの介護サービスを受けることができ、限度額を超えた場合はその分が自己負担となります。
《居宅サービスの1カ月あたりの利用限度額》(2019年10月〜)

  • 要支援1・・・5万320円
  • 要支援2・・・10万5,310円
  • 要介護1・・・16万7,650円
  • 要介護2・・・19万7,050円
  • 要介護3・・・27万480円
  • 要介護4・・・30万9,380円
  • 要介護5・・・36万2,170円

公益財団法人生命保険文化センターが実施した調査(※4)によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッド購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7万8,000円と算出されました。

自宅での介護であっても、要介護認定を受けてデイサービスを利用する場合の利用料や、医療費、紙おむつ代、自宅の手すりの設置など、各種費用が必要となります。

■実際にはどれくらのお金がかかりそう?

●(1)在宅介護の費用について

介護対象製品については、介護保険で1年間に10万円を上限として1割負担(一定以上の所得がある場合は2割または3割負担)で購入可能です。利用者側で全額支払った後、費用の9割(一定以上の所得がある場合は8割または7割)が介護保険から払い戻される仕組みになっています。また、紙おむつの費用については、老人ホーム検索サイト「みんなの介護( https://www.minnanokaigo.com/enquete/no39/ )」によると1カ月あたり「1万円1円以上、1万5,000円以下」が一番多く39.6%で、次に「5,001円以上、1万円以下」が29.8%となりました(※5)。

訪問診療を受けるケースでは、月2回で1割負担:約7,000円、3割負担の人:約2万円というデータがあります。(※6 日本訪問診療機構「よくある質問」より)

さらに疾病治療が必要な場合は別途、医療費の負担や入院措置が必要となるため、通常の生活費に加えて介護費・医療費を想定していく必要があります。状況によっては前述の生命保険文化センターの「月々平均7万8000円」を超える可能性も。生活費を圧迫する原因にもなり得ます。

●(2)家族の負担

在宅介護に関しては、介護を行う人の負担について考えなくてはなりません。厚生労働省の「介護保険事業状況報告の概要(令和2年(2020年)6月暫定版)」(※7)によると、施設でサービスを受けた人は約95万4,000人である一方、在宅で介護関連のサービスを受けた人は38万7,000人でした。在宅での介護は、同居の家族が6割弱で、その内訳は配偶者が25.2%、子が21.8%、子の配偶者が9.7%となっています。

「令和2年(2020年)版高齢社会白書」(※2)によると、家族が1日のうち介護にかかる時間は、要介護3以上になると「ほとんど終日」が最も多くなります。家庭での介護が発生すると、家族の就労に影響が出てくる可能性が高くなります。家族の収入面と介護費用の負担を考えると、年金と貯蓄のみで賄うことができるでしょうか。もしもに備えた準備が重要となりそうです。

●(3)施設に入所する場合

施設に入所する場合、利用料金については介護保険対象施設と民間施設との間で大きく異なります。

《特別養護老人ホーム(特養)の場合》

特別養護老人ホームは、介護保険が適用されるため自己負担が比較的少ない介護施設です。一時金は不要で、月々の利用料だけで利用でき、所得区分によって利用料金は減免されます。原則として原則要介護3以上であるなど入所条件があり、人気のため待機が多いようです。

《民間の有料老人ホームの場合》

「介護付き有料老人ホーム」や「住宅型有料老人ホーム」などの民間老人ホームは、要介護度が低くても入所が可能という特徴があります。しかし入居の際に数百万円などの一時金が必要になり、毎月の利用料やその他の経費についても、公的介護施設と比べるとかなり高くなる傾向にあります。

■さいごに

介護が必要となると、さまざまな部分にお金がかかるようになります。また、すべてを介護保険でまかなえるわけではありません。

そのため老後資金を準備する際には、大規模な住宅リフォームや施設への入居費用、細かい日用品など、自費で支払う必要がある項目も視野に入れる必要があるでしょう。将来に向けて「お金」と「健康」をセットで準備していきたいものですね。

【参考】
※1「平成30年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント( https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/18/dl/h30_point.pdf )」厚生労働省
※2「令和2年版高齢社会白書( https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/zenbun/02pdf_index.html )」厚生労働省
※3「2019年度介護報酬改定について( https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478355.pdf )」厚生労働省
※4「介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?( https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html )」公益財団法人生命保険文化センター
※5「在宅介護で1ヵ月にかかっているおむつの費用は「1万5,000円以下」が4割!公的助成制度について知っておこう( https://www.minnanokaigo.com/enquete/no39/ )」老人ホーム検索サイト みんなの介護
※6「どんなサービスがあるの? - 特定福祉用具販売( https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group22.html )」介護サービス情報公表システム 厚生労働省
※7「介護保険事業状況報告の概要(令和2年6月暫定版)( https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m20/dl/2006a.pdf )」厚生労働省

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