「親の終活」家族は何を聞いておけばよいのか?


年齢を重ねるにつれ、どうしても慶事よりも弔事に対することが多くなります。特に離れて暮らす親が高齢ながらも健在、というなど人は、「親に万が一のことがあったら、何をどうしたらいいのだろう?」ということも気になってしまいますよね。

みなさんは、「親世代の終活」に、どう寄り添っていますか?

■高齢者の一人暮らしは増えている

厚生労働省が公表している『国民生活基礎調査の概況(2019年)( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html )』によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、「単身世帯」は28.8%(うち男性35%、女性65%)となっており、年々増加傾向にあるという結果が出ています。年齢別の構成比を見てみると、男性で最も多いのは65〜69歳のゾーンで30.9%、女性は75〜79歳のゾーンが最も多く22.2%となっています。

なお、2018年の時点で、平均寿命は男性81.25年、女性87.32年という計算結果が出ていますが、男性の高齢者単身世帯のうち、寿命年齢を含む80歳以上が占める割合が23.6%、女性の高齢者単身世帯のうち、寿命年齢を含む85歳以上が占める割合が21.0%となっている点も、看過できない現実といえるでしょう。

■お葬式前後は「悲しむ暇もない」

親に限らず、人が亡くなった際に、残された家族がやらなくてはいけないことは、実にたくさんあります。

死亡届の提出と火葬許可証の取得に始まり、通夜・葬儀、故人の年金の受給停止、各種社会保険の資格喪失手続きなどを限られた期間のうちに行う必要があり、その半月ほどの間は、「正直、悲しんでいる暇なんてなかった」なんて声を多く聞きます。

また、「埋葬料」「葬祭費」の申請、遺族年金の受給申請、運転免許証やパスポートの返納といった手続きや、携帯電話やクレジットカードなどの利用停止手続きも忘れずに行う必要があります。

■親が元気なうちにやっておきたいこと

親本人の生前に、ある程度確認しておかないと、残された家族が苦労するケースもあります。日頃からの情報共有が大切です。

●貴重品の保管場所の確認

通帳や印鑑、生命保険に加入していた場合は証書類の保管場所も家族で共有しておきましょう。不動産を所有している場合は、登記済証(いわゆる「権利証」)、登記識別情報(2004年以降、登記済証に代わって発行されています)についても同様です。

その後の保険金請求、相続関係の手続きに必要となります。

●資産のリストアップ

預貯金以外にも、住居や土地などの資産がある人は多いでしょう。また、最近では、ネット銀行や通帳レス口座の利用者も増えています。通帳や印鑑の保管場所を伝えてもらうだけでなく、利用している金融機関と、預貯金以外の資産をリストアップしてもらうことも必要です。

●利用料金がからむサービス(公共料金、携帯電話、新聞、宅配、クレジットなど)を確認

年金の停止や各種社会保険の資格喪失届といった公的な手続きは、速やかに行う必要があるため、忘れることは少ないでしょう。

ただ、携帯電話やクレジットカードといった、利用しているサービスについては、人によって利用状況が異なります。公的手続きや会社関係、通夜や葬儀に比べて優先順位が低くなるため、これらの解約手続きは、ついと後回しにしがちです。

手続きを完全に忘れてしまうと、本人の死後も引き続き料金を請求されるケースもあります。できるだけ速やかに手続きができるよう、支払い停止手続きが必要となるサービスについても、リストアップしておいてもらうとよいでしょう。

●デジタル遺産

親がパソコン、スマホ、タブレットなどを使っている場合に忘れてはならないのが、「デジタル遺産」の後処理。

「ネットは無料サイトの閲覧のみ、保存しているものは、自身が撮影した画像や動画だけ」、といった状態ならば簡単です。しかし、有料サービスサイトの会員になっていれば、アカウントを停止しないと、利用料を払い続けることになります。

さらに、ネット証券やネット銀行口座があること自体を、遺された家族が知らなかったような場合は、相続対象となる財産が放置されることにもなりかねません。

利用しているサイトとID、パスワードは、必ずリストにして残しておいてもらいましょう。

●連絡が必要な人、連絡してほしい人、連絡してほしくない人のリストアップ

働いている場合、勤務先のほうで社会保険や退職金などの手続きが必要ですね。働き続けるシニアが増加中。親がまだ就業中であれば、職場の連絡先も忘れずに控えておきましょう。

また、町内会やサークルなどのコミュニティーに加入している場合は、そちらへの連絡も必要です。どんな活動に参加しているのか、誰に連絡したらいいのかといったところも聞いておきたいところです。

一番やっかいなのは、交友関係、親戚関係かもしれません。

「仲の良い人には知らせてほしいが、確執のあった人には連絡するな」といった、人それぞれの思いがあります。家族が、「故人の親しい友人」だとばかり思っていた人と、晩年に仲たがいしていた、なんて話も時々聞きます。

心身共に元気なうちに、「連絡してほしい人」「連絡してほしくない人」をリストアップしてもらっておくと安心ですね。

■既に終活を始めている場合も・・・

ちなみに、2019年5月にSBIいきいき少額短期保険株式会社が発表した「“終活”に関するアンケート調査( https://www.sbigroup.co.jp/news/pr/2019/0517_11545.html )」によると、以下のような結果が出ています。

《終活として「あなた自身がすでに行っていること」》(複数回答可、n=2,225)

  • お金の準備(保険等)・・・48.3%
  • 物の整理、片付け・・・43.5%
  • 旅行や趣味など、いまの人生を楽しむこと・・・40.4%
  • お墓の準備・・・25.1%
  • お葬式の準備・・・24.5%
  • 介護、延命治療、臓器提供などの意思表示・・・22.4%
  • エンディングノートの作成・・・16.3%
  • 遺言書の作成、相続の準備・・・9.3%
  • ペットの行く末・・・5.1%
  • ネットサービスの管理(データの削除、IDやパスワードの伝達)・・・3.8%

「お金の準備」や「身辺整理」などについては、多くの人が自ら思い立ち、行動していることがうかがえます。まずは、親自身が「終活自体をどう考えているか」「どこまで準備を進めているか」などをそれとなく聞いておけるとよいですね。

自分たちが知っておかなくてはいけない点について「これも教えてほしい」「こんなことがわかるようにしておいてもらえると助かる」とリクエストをしていくと、うまく歩調をあわせることができるかもしれませんね。

■さいごに

コロナ禍で「予期せぬ死」を意識する機会が増えた今、日頃から“もしものとき”に備えた身の回りの整理が必要となっていますね。

子どもの側から、親が亡くなったあとの話は切り出しにくいケースが多いでしょう。親世代の終活意識に寄り添いながら、「もしものとき」に備えていけるとよいですね。エンディングノートを作ってもらう、という手もおススメです。

【参考】
「国民生活基礎調査の概況(2019年)( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html )」 厚生労働省
「“終活”に関するアンケート調査( https://www.sbigroup.co.jp/news/pr/2019/0517_11545.html )」  SBIいきいき少額短期保険株式会社

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