私立高校実質無償化ならやっぱり私立? コロナ禍で見えた私立と公立の授業対応の差


新型コロナウイルスによる休校期間、早い時期からオンライン授業を始めた私立校に対して、大量のプリントを配布して対応した公立校。子を持つ親の多くが、私立と公立の違いを改めて感じたのではないでしょうか。

もちろん、オンライン授業にも賛否両論あり、問題点がないわけではありません。また、公立校でも文部科学省が当初の予定を前倒しして、「1人1台端末環境」を謳うGIGAスクール構想を推進しています。そのため、将来的には緊急時における学びの差は、少しずつ解消されていくのではないかと思われます。

ただ、これから進学する子供を持つ親としては「そんな悠長なことは言ってられない」というのが本音です。そんな気持ちを抱えて、7月と9月に大阪で開催された私立中学・高校の学校説明会に行き、休校期間中の私立校の授業対応などを聞いてみました。

■コロナ禍でも盛況だった説明会

7月の説明会は、全国的にコロナ感染者が再び増加していた時期でした。しかし、開催時間前から会場の外には列ができ、会場内でも個々の学校のブースの前では、多くの保護者が相談を待っていました。昨年も同様の私立中学・高校の説明会に参加しましたが、今年は感染予防の制約などから保護者のみの参加が多く感じられました。

また、コロナ禍の今年は、多くの学校が文化祭などの行事を中止もしくは内部関係者のみで行っており、学校の様子を直接知る機会が例年と比べ少なくなっています。

そのためか、昨年とは様子が異なり、熱心に学校担当者に質問したり、学校案内のコーナーでたくさんの資料を持ち帰る保護者が多い印象を受けました。

■私立校の休校期間中の授業対応

関西にある5つの有名私立校では、休校期間中、ZoomやGoogle Classroom、Classi、YouTubeといったツールを利用したオンライン授業で対応していたとのこと。休校は3月に始まりましたが、ほとんどの学校では4月中にはオンライン授業をスタートさせたようです。

●休校前から教師がオンライン授業の環境を整える

奈良にある全国屈指の進学校ではオンライン授業を4月の早い時期にスタートさせ、授業に全く支障もなく定期テストを終えることができたといいます。保護者には大変ありがたい話ですが、コロナ禍でもいつも通り定期テストが行われたため、生徒には不評だったそうです。

あまりにも素早い対応なので、事前の準備があったのかと尋ねると、「全く準備はしていなかったのですが、2月に入った頃、コロナウイルスの報道を見た一部の先生からClassroomの利用が広がり、新学期にはオンライン授業の対応ができました。動画を撮るためにマイクを購入した先生もいるんですよ」と熱く語ってくださいました。

予想外のトラブルに対しても臨機応変かつ迅速な対応ができるというのが、この学校に人気がある理由の一つなのかもしれません。

●コロナ禍の対応を保護者が評価

また、大阪の進学校では、コロナ渦における学校の取り組みについて保護者向けに満足度調査を実施。それぞれの項目について「良かった」と回答した保護者の割合は次の通りです。

  • YouTubeなどの動画配信:77%
  • オンラインでの生徒面談:98%
  • Classiによる質問応答:78%
  • オンラインによる朝礼・終礼:100%

目を引くのは、回答した保護者全員がオンラインによる朝礼・終礼を良かったと評価したことです。休校期間中、不規則な生活になりがちな子供たちも、決まった時間に朝礼や終礼が行われることで生活のリズムを崩さず過ごせたことが、保護者の高い満足度につながったのでしょう。

■私立高校の授業料実質無償化で広がる選択肢

私立中学・高校への進学は経済的負担が大きいという問題がありました。しかし、2020年4月からは「高等学校等就学支援金制度(返還不要の授業料支援)の制度改正」で、私立高校等に通う生徒への支援が手厚くなっています。

2019年度までも私立高校の就学支援金の制度はありました。しかし今回、年収目安590万円未満の世帯※で支援金額の上限が一律39万6,000円に引き上げられたため、授業料が年間39万6,000円以下であれば実質無償になります。

※両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安。詳細は文部科学省ウェブサイトの「高校生等への就学支援( https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm )」でご確認ください。

ちなみに、公立高校の場合、現在は年収目安が910万円未満の世帯に年間授業料に相当する11万8,800円が支援される無償化が行われています。

また、国の支援金に加えて、都道府県によってはさらに補助金を上乗せしているところもあります。たとえば、大阪では年収目安590万円未満の世帯は、授業料が60万円まで無償です。それに加えて、年収目安590万円以上910万円未満の世帯でも、子供の数に応じて授業料が補助されます。

なお、中高一貫校の中には高校からの募集がない学校もあることには注意が必要です。しかし、就学支援金により、公立高校と私立高校の授業料の差が縮まるのであれば、進路の選択肢はいろいろ考えられるのではないでしょうか。もちろん、授業料以外の費用も必要ですから、その点も踏まえておかなければなりません。

■おわりに

新型コロナウイルスによる環境の大きな変化の中、多くの親が学校教育や子供の教育について色々考えさせられたのではないでしょうか。公立と私立の対応の差を感じる一方で、普段いかに学校任せにしていたかを、休校期間中の負担の大きさで思い知らされました。

本記事ではごく一部の学校の例を取り上げただけですが、他にも数多くの魅力ある学校があります。また、公立校も私立校とは違った特色があり、どこを選べばいいかに”唯一の正解”というものはありません。

親の立場であれこれ口を出したくなるのは我慢して、子供自身が充実した学生生活を送れる学校選びができるようサポートしたいものです。

【参考資料】
「GIGAスクール構想の加速による学びの保証( https://www.mext.go.jp/content/20200625-mxt_syoto01-000003278_2.pdf )」(文部科学省)
「令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート( https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_shuugaku01-1418201_1.pdf )」(文部科学省)
「授業料支援・奨学金」( https://www.osaka-shigaku.gr.jp/scholarship/ )(大阪私立中学校高等学校連合会)

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