老後不安で脱サラ?40代夫婦が老後を見据えて「やめたこと」「はじめたこと」


令和2年6月5日、「年金制度改正法(令和2年法律第40号)( https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf )」が公布されました。年金受給に関しては、令和4年4月1日から現在60歳〜70歳の間で選択できる年金の受給開始年齢が、60歳〜75歳に拡大。受給開始年齢が引き上がったことで、SNS上ではさまざまな不安や憶測も広がりました。

老後不安を抱える人が少なくない今、まわりの夫婦はどのような対策をとっているのでしょうか。

老後はまだ遠く感じる40代、それでも今、老後を見据えてやめたこと・始めたことについて伺ってみました。

■8割以上が老後に不安を抱えている

生活保険文化センターが全国の18〜69歳男女(サンプル数4,014)を対象に調査した「令和元年度 生活保障に関する調査( https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/2019honshi_all.pdf )」によると、「老後生活に対する不安感」があると答えた人は84.4%にものぼるそうです。さらに、将来のライフイベントのなかで重要であることは「老後生活の充実(56.1%)」が最も多く、次いで「趣味の充実(33.7%)」「子どもの教育(31.3%)」と続きます。

しかし一方で、その「重要なライフイベントに対する現在の経済的準備状況」内で「老後生活の充実」に対してどのくらい準備をしているかを確認すると、「準備できている(38.8%)」に対して「準備できていない(59.7%)」と、準備が整っていない人が半数を上回ることが分かります。

より多くの人が老後を重要視し、かつ不安を抱えているなかでも、なかなか準備がすすまない――そんな現状がみてとれるのではないでしょうか。

■「やめたのは会社勤務」老後を見据えて脱サラした40代夫婦

そんななか、老後を見据えて行動を起こしたUさん夫婦の話を伺いました。

Uさん(夫・48歳)は長らく外食産業に従事し、大手チェーン店舗の料理長という役職を担っていました。月収は50万円ほどあり、業界内では恵まれた立場にあったそうです。しかし、数年前に退職。今は妻と二人で、小さなラーメン店を経営しています。

「雇われ料理長では長く働けず、退職金も期待できません。精神的にもきびしくなってきましたし、さらに50過ぎて仕事を失って、そこから再スタートするのも難しい。だったら体力があるうちに、小さくてもいいから年をとっても長く続けられる自分の店を持ちたかったんです」

今はコロナ禍もありそれほど収入も高くなく、個人経営ゆえの不安定さもありますが、Uさんの妻も「体が壊れたら働けないのは前も今も同じ。でも自分たちの基盤があるとないとでは大違い。できれば、60過ぎても夫婦で働いていけたら」と語ります。

このように、老後を見据えて脱サラするケースは近年見受けられますが、リスクを伴うことも忘れてはいけません。個人事業主になると厚生年金の対象から外れることになります。

また、Uさんには長年の調理経験や経営ノウハウがありますが、一般的に飲食店の経営継続は簡単とはいえないのが事実。日本政策金融公庫が2011年開業の3,046社を対象に実施した「新規開業パネル調査(業種別廃業状況)( https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_161228_1.pdf )」によると、5年間の廃業率平均が10.2%であるのに対し、飲食店・宿泊業の廃業率は全業種トップの18.9%にのぼり、決して楽な道ではないことが分かります。

状況に応じて法人化や税制対策など自分たちで担うことも増えるため、より一層計画性をもって取り組むことが大切になるでしょう。

■老後を見据えて40代夫婦がやめたこと・はじめたこと

先述の「生活保障に関する調査」においても、老後生活の充実を重視しているのは50代・60代が多く、40代はまだまだ子どもの教育や進学・資格取得などに重きをおいている傾向にあります。まだまだ老後は先と感じている40代、老後を見据えて今どんな行動をしているのでしょうか。

●【やめたこと】

「外での飲み会。年齢もあって若干多めに出さなければならず、一度につき1万円以上の出費が月2〜3回ありました。コロナ禍をきっかけに家飲みにシフトし、かなりの節約に。妻とも話し合い、この額を老後分の積み立て貯金に回すことにしました」(41歳男性)

「ちょっと負担に感じていたママ友付き合いをフェードアウト。乗り気ではないランチ会などの出費も減り、気持ちもラクに。ママ友とお茶する時間があったら、パートしてお金を貯めようと思って仕事を探しているところです」(44歳女性)

コロナ禍をきっかけに、人付き合いや家での過ごし方にも大きな変化が生まれました。なかなか自分からは変えられなかった人間関係やそれに伴う出費も、実はそれほど重要ではなかったことに気づいた人も多いようです。大切な人とのつながりは大切にしたいですが、お金と時間の無駄遣いを減らして貯蓄が増やせればこの上ないことですね。

●【はじめたこと】

「夫と老後資金の計算をしてみたら、かなりきびしいことが発覚し、iDeCoをはじめました。60歳まで引き出せないので強制的に貯められますし、節税にもなりますしね」(46歳女性)

「iDeCo」とは確定型拠出年金といって、任意加入の私的年金です。20〜60歳未満のすべての方が加入でき、自分で掛金を拠出し、運用方法を選べます。給付の受け取りは原則60歳にならないとできません。掛金・運用益・給付を受けるときに税制上の優遇措置が得られるため、今注目を集めている貯蓄方法です。そのほか、2018年に始まった「つみたてNISA」も老後資金の準備方法として人気があります。

■さまざまなことを考えて老後の準備をはじめよう

人生100年時代といわれる今、40代はまだまだ折り返し地点にも到達していない世代です。仕事や育児に忙しく、自分の老後のことはまだ先のイメージがあるかもしれません。しかし、その分支出も多くなりがちな世代なので、いざ老後を目の前にしたときに焦らないよう、準備も早めに取り組んでおくのがよさそうですね。

【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【参照】
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)( https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf )」
生活保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査( https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/2019honshi_all.pdf )」
日本政策金融公庫「新規開業パネル調査(業種別廃業状況)( https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_161228_1.pdf )」

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