共働きで世帯年収1000万円はメリットが多い?損をしない働き方とは


年収1000万円というと、かなり裕福で恵まれた家庭を想像するのではないでしょうか。国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf )」によると、1人で年収1,000万円以上稼いでいる人は全体の5%にすぎません。

しかし、共働きならば世帯年収1,000万円も決して夢ではなくなります。厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf )」(各種世帯の所得等の状況)をみると、世帯年収1,000万円越えは約12%存在し、8世帯中1家庭くらいは1,000万円に届いていることが分かります。しかも、税金面など共働き世帯は得をすることも多いのだとか。

今回は、共働きの世帯年収1,000万円世帯のメリット・デメリットについて迫ります。

■年収1,000万円あると貯蓄はどうなる?

共働きで年収が1,000万円もあれば、貯蓄がしっかりできて家計にも余裕があるイメージをもつかもしれません。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/19crossf001.html )」から、片働きと共働きの金融資産保有額についてみてみましょう。

【世帯主のみ就業】(年収1000〜1200万円未満)
金融資産保有額:平均2,779万円(中央値1,815万円)
金融資産非保有率:7.7%

【世帯主と配偶者のみ就業】(年収1000〜1200万円未満)
金融資産保有額:平均1,305万円(中央値1,000万円)
金融資産非保有率:4.4%

世帯主のみ就業の片働き世帯に比べ、共働きの金融資産平均額は約半分という結果です。パートナーの貯蓄を把握していなかったり共働きだからこその出費があったりと、さまざまな事情があるのかもしれません。しかし、非保有率は共働き世帯の方が少ないようです。また、同データでは25%の共働き世帯で金融資産保有額が1,000〜1,500万円に到達していることが分かり、必ずしも貯蓄ができるとは限りませんが、それでも一般的に見て余裕のある様子がうかがえるのではないでしょうか。

そんな片働きと共働きの1,000万円世帯は、どんな点に違いがあるのかみていきましょう。

■片働きと共働きの違いは?共働きのメリットとは

●【税率の負担が軽い】

所得税は、たくさん稼ぐほど金額が上がる累進課税です。そのため片働きの1,000万円世帯と、夫婦で500万円ずつ稼ぐ世帯ではかかる税率が変わり、共働きのほうが負担も軽くなります。家族構成や居住地域などにもよりますが、住民税などの負担も加わり最終手取り額に50万円以上の差が出ることもあるそうです。この点は、共働き世帯の大きなメリットだといえるでしょう。

●【節税効果が得られる】

個人型確定拠出年金(iDeCo)に拠出すると給与所得から拠出分を控除することができ、節税効果を得ることができます。しかし収入のない専業主婦の場合、iDeCoへの加入はできますが所得控除のメリットを受けることができません。しかし、共働きであれば夫婦それぞれが控除を受けることができ、節税効果を高めることが可能です。

●【家計のリスクヘッジ】

万が一世帯主が働けなくなったり、亡くなったりした場合も、共働きであれば家計の立て直しがしやすくなります。遺族年金などの保証制度もありますが、給与収入が全く途絶えてしまった場合の破綻リスクを考慮すると、半分でも収入が確保される共働きのほうがリスクも少ないといえるでしょう。

■逆転現象が起こるデメリットも?収入を増やしたら損をする?

では、共働きであることのデメリットはあるのでしょうか。共働きであるからこその収入バランスにも注視したいところです。

●【思ったよりも貯蓄できていない】

先ほどのデータでもみられたように、共働きだからといって貯蓄が多いわけではないのが現実です。夫婦が同じくらいの収入を得ている世帯では、お金の使い方が独身時代とさほど変わらなかったり、相手が貯めているはずだと油断していたりして、お互いの収支を把握していないケースも見受けられます。いざというとき困らないよう、夫婦で将来の貯蓄目標や家計を共有しあうことが大切です。

●【収入バランスによっては逆転現象も】

これは共働きだからこそ起こる現象ですが、扶養の境界線上では手取り収入の逆転現象がみられる場合があります。例えば、「夫900万円・妻100万円の世帯」と、「夫800万円・妻200万円」の世帯では、200万円稼いでいる妻が配偶者控除等の境界にかかるため、「夫800万円・妻200万円」の世帯の方が全体の手取り額が少なくなることがあります。

しかし、だからといって「働いたら損をする」というわけではありません。収入を増やせばもちろん段階的に控除額が減りますが、そのぶん世帯年収は確実に上がります。社会保険料の負担額によって目先の手取り額がマイナスになることもありますが、厚生年金に加入することで年金額が増えるといったメリットも忘れてはいけません。

■「共働き」で人生100年時代を乗り切る

少子高齢化社会となった今。公的年金も受給開始年齢が拡大され、働き方も時代とともに大きく変化しています。老後まで長く続く家計運営においてどれだけリスクを減らせるか、老後を迎えるまでにしっかり貯蓄ができるかは、近年とくに重要視されているのではないでしょうか。共働きでリスクを分散できる家計運営は、今の時代にとってメリットが多いといえるかもしれませんね。

【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。


【参照】
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf )」
厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf )」(各種世帯の所得等の状況)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/19crossf001.html )」設問間クロス集計 3金融資産保有額(世帯の就業者数・年収別)

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