「離婚後の財産分与」結婚年数でどうかわる?


一生添い遂げるつもりで結婚しても、何らかのいきさつで離婚という選択をすることは、誰にでも起こりうる話でしょう。

民法768条では、夫婦が結婚していた期間に協力して築いた財産を、離婚時に分け合う「財産分与」が定められています。これはよく耳にする「慰謝料」「養育費」とは別のものです。

財産分与について当事者どうしの話し合いで決めることができない場合は、離婚2年以内に家庭裁判所に協議のかわりの処分をしてもらうことができます。

では、「財産分与」は、結婚していた期間の長さでどのような傾向がみられるのでしょうか。今回は、令和元年(2019年)度の司法統計をもとにひも解きます。さいごに「夫婦が離婚する動機」についても触れます。


「婚姻期間の長さ」と「離婚後の財産分与」

2019年に家庭裁判所が取り扱った「離婚後の財産分与事件」は1160件。そのうち、財産分与をすることになったのは1010件です。その支払額の分布をみていきましょう。(以下、すべて単位は「件」)

●全ての婚姻期間

総数1010

100万円以下…268
200万円以下…139
400万円以下…165
600万円以下…86
1000万円以下…121
2000万円以下…90
2000万円を超える…36
総額が決まらず算定不能…105

では、これを、結婚生活(婚姻期間)の長さごとにみていきましょう。

●婚姻期間「6カ月未満」 

総数5

100万円以下…2
200万円以下…―
400万円以下…2
600万円以下…―
1000万円以下…1
2000万円以下…―
2000万円を超える…―
総額が決まらず算定不能…―

●婚姻期間「6カ月〜1年未満」

総数8

100万円以下…4
200万円以下…1
400万円以下…―
600万円以下…―
1000万円以下…1
2000万円以下…1
2000万円を超える1…
総額が決まらず算定不能…―

●婚姻期間「1年〜5年未満」

総数88

100万円以下…50
200万円以下…15
400万円以下…9
600万円以下…2
1000万円以下…3
2000万円以下…2
2000万円を超える…―
総額が決まらず算定不能…7

●婚姻期間「5年〜10年未満」

総数178

100万円以下…64
200万円以下…26
400万円以下…25
600万円以下…13
1000万円以下…16
2000万円以下…11
2000万円を超える…2
総額が決まらず算定不能…21

●婚姻期間「10年〜15年未満」

総数 173

100万円以下…54
200万円以下…25
400万円以下…27
600万円以下…15
1000万円以下…15
2000万円以下…10
2000万円を超える…6
総額が決まらず算定不能…21

●婚姻期間「15年〜20年未満」

総数184

100万円以下…39
200万円以下…24
400万円以下…40
600万円以下…16
1000万円以下…22
2000万円以下…16
2000万円を超える…9
総額が決まらず算定不能…18

●婚姻期間「20年〜25年未満」

総数133

100万円以下… 22
200万円以下… 15
400万円以下…29
600万円以下…8
1000万円以下…18
2000万円以下…15
2000万円を超える…6
総額が決まらず算定不能…20

●婚姻期間「25年以上」

総数 236

100万円以下…32
200万円以下…32
400万円以下…33
600万円以下…32
1000万円以下…44
2000万円以下…33
2000万円を超える…12
総額が決まらず算定不能…18

【出典】令和元年度(2019年度)司法統計「表34  離婚後の財産分与事件のうち認容・調停成立件数  支払額別婚姻期間別  全家庭裁判所( https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/289/011289.pdf )」
?

婚姻中のフトコロ事情は各家庭によって差があります。また、家庭裁判所では夫婦の事情を総合的に考慮したうえで金額を決定するため、「結婚何年だから、いくら」という明確な基準もありません。よって、上記の分布はひとつの「目安」として知っておくとよいでしょう。

■「夫・妻の年齢」で多い組み合わせは?

次に、夫婦の年齢についてもみていきます。司法統計によると、家庭裁判所が扱った「婚姻関係事件」(総数60542件)のなかで、多かった夫婦の年齢層の組み合わせの上位は次の通りでした。(以下、すべて単位は「件」)

夫・妻ともに「40〜44歳」… 4747
夫・妻ともに「35〜39歳」… 4526
夫・妻ともに「30〜34歳」… 4339
夫・妻ともに「45〜49歳」… 3989
夫「40〜44歳」・妻「35〜39歳」… 2899

参考までに、妻・夫それぞれの年齢層についてもみておきましょう。

●妻の年齢

16〜19歳… 209
20〜24歳…2879
25〜29歳…6043
30〜34歳…9406
35〜39歳…1万362
40〜44歳…1万319
45〜49歳…8440
50〜54歳…5427
55〜59歳…3080
60〜64歳…1728
65〜69歳…1297
70〜74歳…798
75歳以上…554

●夫の年齢

18〜19歳…72
20〜24歳…1973
25〜29歳…4676
30〜34歳…7883
35〜39歳…9466
40〜44歳…1万563
45〜49歳…9152
50〜54歳…6416
55〜59歳…4096
60〜64歳…2502
65〜69歳…1630
70〜74歳…1137
75歳以上…973
不詳…1

【出典】令和元年度司法統計「表17 婚姻関係事件数  夫の年齢別妻の年齢別  全家庭裁判所( https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/272/011272.pdf )」

■「離婚」の動機ってどんなこと?

さいごに、夫婦が離婚に至る動機は、どんなものが多いのでしょうか。家庭裁判所への申立て人別にみていきます。(以下、すべて単位は「件」)

●申立人が「妻」のケース(総数4万4040)

性格が合わない…1万7242
生活費を渡さない…1万2943
精神的に虐待する…1万1094
暴力を振るう…9039
異性関係…6800
浪費する…4298
家庭を捨てて省みない…3194
性的不調和…2893
家族親族と折り合いが悪い…2850
酒を飲み過ぎる…2774
病気…801
同居に応じない…748
……………その他…4630、不詳…2774

●申立て人が「夫」のケース(総数 1万6502)

性格が合わない…9958
精神的に虐待する…3326
異性関係…2218
家族親族と折り合いが悪い…2162
浪費する…2001
性的不調和…1963
暴力を振るう…1496
同居に応じない…1468
家庭を捨てて省みない…910
生活費を渡さない…704
病気…664
酒を飲みすぎる…388
……………その他… 3340、不詳…696

【出典】2019年度司法統計「表19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別  全家庭裁判所( https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/274/011274.pdf )」

お金に関わる動機としては、「生活費を渡さない」が妻からの申立てのケースで第2位に入っています。また、相手が「浪費する」と答えたのは、妻側からの申立てでは6位、夫側からの申立てでは5位となっています。

このデータだけでは、それぞれの夫婦の離婚動機を知ることはもちろんできません。ただ、金銭感覚の違いから「性格が合わない」と判断する人もいるでしょう。また、厳しい家計管理をして、相手に自由なお金を使わせないというようなケースは「精神的に虐待する」に分類されている可能性もあります。「異性関係」の場合であれば、交際相手との遊興費で家計を壊している、ということも多いに推測できます。

■さいごに

いきおいにまかせて離婚するケースも多いでしょう。ただ、別れた後もそれぞれの生活は続きます。

特に専業主婦(夫)であった場合などは、財産分与、慰謝料、養育費など、お金に関わる事項には特に冷静に考えていく必要があるでしょう。同時に、就労などによって定期的な収入を確保していく準備も怠らないようにしたいものです。

【参考】
「離婚後の財産分与事件のうち認容・調停成立件数 支払額別婚姻期間別 全家庭裁判所( https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/289/011289.pdf )」
「婚姻関係事件数 夫の年齢別妻の年齢別 全家庭裁判所( https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/272/011272.pdf )」
「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所( https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/274/011274.pdf )」
いずれも、裁判所「令和元年度 司法統計」より

関連記事(外部サイト)