親子の距離感が難しい思春期…子の立場から親に守ってほしいこと


「我が子ともっと話したい」と望んでいたり、「共有したい話があるのに、話しかけても無視される」と悲しい思いをしている親御さんは少なくないかもしれません。ただ、子供にとっては、たとえ親であっても自分の「パーソナルスペース」に侵入されると不快に感じて無意識に心を閉ざしてしまいます。

今回は、この「パーソナルスペース」について、また、思春期という子供から大人へ変わる微妙な時期にある10代が嫌がる距離感や受け入れやすい親の態度はどんなものか、自分も10代後半である筆者が紹介したいと思います。

■パーソナルスペースとは

パーソナルスペースとは、対人距離とも呼ばれ、「他人が自分に近づいても許せる範囲」のことを指します。一般的には、米ノースウェスタン大学の人類学科名誉教授であるエドワード・T・ホール氏が提唱した以下の範囲で示されることが多いようです。

1. 密接な距離の場合…約45cm以下
具体的には、積極的にスキンシップをとりたいと感じる家族や恋人などとの距離

2. 個体距離の場合…約45cm以上1.2m以下
具体的には、相手の表情がしっかりと見え、手が触れるなどしても許せる友人や近しい知人などとの距離

3. 社会的な距離の場合…1.2m以上3.5m以下
具体的には、デスクや会議用テーブルなどを挟んで会議をするなど、職場の同僚や上司、取引先の人との距離

4. 公共距離の場合…3.5m以上
具体的には、講演会や授業などで講師と生徒といった公的関係にある人との距離

当然ながら、パーソナルスペースの範囲は家族や友人・恋人など親しい関係の人であれば狭くなり、見知らぬ人や苦手な人であれば広くなる傾向にあります。そして、そのパーソナルスペースの範囲を無視して近づくと、相手は警戒して容易に心を開かなくなってしまうとされます。

たとえば、エレベータや電車で混み合っていると居心地が悪いのは、他人にパーソナルスペースを侵略されていると感じるからというわけです。

■家族との距離に拒否感を感じるとき

本来、家族は「密接な距離」に当たるため、無意識に一歩踏み込んだ距離感で接していることが多いでしょう。しかし、気持ちのコントロールが難しい思春期には、タイミングによってその距離感に違和感やイラつきを覚えてしまうことも少なくありません。

具体的に、筆者の周りでよく耳にする「密接な距離で対応されて嫌な気持ちになった」タイミングは、下記のようなものです。

  • 学校で友達とケンカをしたり、進路について悩んだりして落ち込んでいるのに、妙にハイテンションで話しかけられたとき
  • 外食時、親と離れた席に座りたいのに、無理やり隣の席に座わってきたとき
  • 外出時、周りに人がたくさんいるのに、親が耳打ちしたり腕を組んできたり、距離が近すぎると感じるとき

このように、気分の浮き沈みがパーソナルスペースの範囲に影響することが多く、特に他人の目がある場所では、親に接近されるのを拒むケースが少なくありません。

■子供が心を閉ざしてしまわないようにするには

筆者にも経験がありますが、思春期にはうまく自分の感情を抑えることができずに不快感や怒りをそのまま放出し、素直に謝ることもできずに親子間の亀裂を広げるケースも多いものです。

そのため、子供の気分が落ち着いているかどうか「様子をみてから」話しかけたり、アクションを起こしたりするといいのではないでしょうか。親が気分や状況を察してくれなかったり、上から目線で高圧的に感じるような話し方をされたりすると、子供は接しにくいと感じ、さらに距離は開いてしまうでしょう。

家族なのにいちいち気にするのは面倒臭い、と思われるかもしれませんが、その気遣いひとつで子供は親に素直に接しやすくなるものなのです。

ただ、距離を取りすぎたり無関心になったりすることとは別なので、親御さんの豊な人生経験を活かしながら、遠慮しすぎず干渉しすぎない距離を見つけてみてください。

親しき仲にも礼儀ありというように、節度と思いやりのある態度で接してもらえると、子供も心の距離を縮めやすくなります。

■適度な距離感を保って気持ちよく過ごす

対人関係を良好に保つには、たとえ親子であっても相手が不快に感じる領域に侵入しないことが一番の秘訣です。相手の表情や状況に十分配慮しつつ、お互いが気持ちよく過ごせる距離感が取れるといいですね。

【参考資料】「パーソナルスペースから学ぶコミュニケーション法( https://heisei-ikai.or.jp/column/personal-space/ )」(医療法人社団 平成医会)

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