ネットフリックスが経団連に加入できたワケ


動画配信大手ネットフリックス社(アメリカ)の日本法人が12/1付けで経団連へ加入しました。経団連サイト上でもNetflix合同会社(日本法人)が「12月入会の会員」として紹介されています。

一見すると、外資系企業が経団連に入会するのは意外性があります。そこで、本稿ではネットフリックスの日本での浸透度合いを財務資料などから概観し、報じられることが少ない経団連および、その企業の特徴についても分析します。

■ネットフリックスの業績・日本での浸透度は

まず、アメリカのネットフリックス社のIR資料を確認しました。

ネットフリックス社の場合、地域区分は「北米・カナダ」「ヨーロッパ・中東・アフリカ」「ラテンアメリカ」「アジア太平洋」の4つに分けられており、日本は「アジア太平洋」の中に含まれています 。

IR資料上では上記の4つの地域区分ごとの収益・会員数が示されており、「日本単体」の値は存在しません。

しかし、日本法人が実施するオンライン説明会上で会員数の概数が発表されており、これについて複数メディアが報じているので、この値を参考値として使います。

厳密には、IR資料は「9月末時点」、オンライン説明会での日本会員数の公表値は「8月末時点」となっており、1か月ほどズレがあることに留意ください。

また、同一社内でのシェアのみならず、「日本国内での浸透度」を比較する必要があるため、「消費動向調査」から「テレビの所有率」を、「国勢調査」から「日本の世帯数」を算出し、「日本国内に存在しているテレビの台数」と比較して「日本国内でのネットフリックス社のシェア」を見ることにします。

拡大する

直近2年間では、推定シェアの変動は以下の通りとなっています。

  • 「アジア太平洋」グループ内での日本会員のシェア:17.9%→21.3%(3.4ポイント増)
  • 日本国内でのネットフリックス会員シェア(推定値):3.6%→9.8%(6.2ポイント増)

となっており、日本会員の存在感も増しています。ここから、日本がネットフリックス社にとって、重要な拠点になっていることが伺えます。

■「経団連」とはどんな組織か

さて、ネットフリックス社が加入した「経団連」についても見ていきます。

経団連は正式名称を「日本経済団体連合会」といい、「総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、日本経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与する」ことを目的として1946年に設立されました。

経団連には入会基準が存在し、公式サイトでも公開されています。

1. 経団連の事業に賛同し、「企業行動憲章」の精神を尊重・実践すること
2. 経済事業を営む法人で、事業内容等が当会会員として相応しく、社会的に有用な商品・サービスを継続的に開発・提供していること
3. 純資産額(単体または連結)が1億円以上あること、または当会団体会員の会員企業であること
4. 3期以上連続して当期純損失を計上していないこと
5. 財務諸表に関する公認会計士等の監査報告書が適正意見であること(または、同等の内容が確保されていること)
6. リスク管理体制・内部統制システムが導入・整備されていること
7. 過去3年間において重大な不祥事の発生がないこと

上記の基準を踏まえると、ネットフリックス社の日本法人も3期以上利益を出し、純資産額も1億円以上の企業であることが推測できます。

さらに、経団連入会企業には、ByteDance(TikTok運営元)、Google、Facebook、Apple、Amazon、メルセデスベンツ、ヒューレットパッカード、マイクロソフトの日本法人といった顔ぶれ が並びます。イメージと反して、「古くからの日本企業」のみで構成されているわけではありません。

■ネットフリックスが経団連に加入した背景

ネットフリックス社としては、日本拠点での地盤をある程度固めておいてから、満を持して経団連に加入することで、GAFA日本法人などの外資系企業と同様に、日本での立ち位置をさらに強固にする試みであるといえそうです。

また、ネットフリックス社は日本のアニメーションクリエイターを積極的に起用し、オリジナルコンテンツを制作していることでも知られています。

現時点では日本国内全体から見るとそれらのオリジナルコンテンツも「限られた人が楽しんでいる」状態ですが、どこまで広がりを見せるのでしょうか。今後の動きに注目が集まります。

●参考資料

  • 日本経済団体連合会「新会員紹介」( https://www.keidanren.or.jp/newface.html )
  • 「消費者動向調査令和2年10月調査」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00100405&tstat=000001014549&cycle=0&tclass1=000001136604&tclass2=000001146326&stat_infid=000032014863&tclass3val=0 )
  • 「平成27年国勢調査」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001080615&cycle=0&tclass1=000001124175&result_page=1&tclass2val=0 )

関連記事(外部サイト)