コロナ沈静後の日本企業のビジネスリスク〜世界で何が起こり得るか


2021年が始まった。しかし、世界では昨年来のコロナによる猛威が続いており、何か明るい光が見える状況ではない。

国際政治的に見ると、日本や米国など自由民主主義諸国はコロナ対策に多くの時間を割かれ、対外的には停滞が続いている状況といえる。一方、中国はアフターコロナのような状況を対外的に示し、欧米主要国などの停滞で空いた政治的隙を突いて行こうと言わんばかりの素振りを見せるなど、正に対極的な姿が見える。

■コロナ禍が落ち着いた後のビジネスリスク

人間の心理的に考えれば、何か難局を乗り切ればその先には明るいものが見えると自然に想像してしまうが、コロナ禍が落ち着けば世界では何が起こるのか。日常の生活が戻ってくることを願って止まないが、少なくとも治安や安全保障の研究の視点からは、いくつかのビジネスリスクが考えられる。

まず、テロの脅威だ。去年以降、欧米諸国では新型コロナウイルスの感染拡大に伴いロックダウンが何回か実施されているが、自宅での生活を余儀なくされた若者らがインターネットやSNSを通じて過激派勢力の勧誘を受ける恐れが指摘されている。

経済格差や失業問題などを理由に若者らの不満が高まっており、白人至上主義などの過激派勢力はネット空間を利用して白人の若者を対象としたリクルート活動を強化している。

また、去年後半にフランスやオーストリアでイスラム過激派関連の単独的なテロ事件が発生したように、イスラム過激派などが欧米諸国にいるイスラム教徒の移民らに対してネット上で接近する可能性もある。

一方、中東やアフリカのイスラム過激派が活動する国・地域では、新型コロナウイルス問題の長期化によって政府の財政的負担が増え、兵士や警察官への給与低下や未払いが発生し、テロ対策に従事する兵士や警察官の士気が下がることが懸念されている。

また、コロナ対策などに軍や警察の時間が割かれ、過激派組織への対応が疎かになり、過激派勢力が自由に活動できる空間が拡大し、治安が悪化する恐れもある。

■昨年来、頻発する抗議デモや暴動

一方、より身近なリスクとして抗議デモ(暴動)がある。去年、コロナ規制や大統領選を巡るデモが、米国や欧州諸国、タイやインドネシア、香港やベラルーシなどで相次いで発生し、一部のデモでは暴動に発展した。

各国のケースの背景や原因はそれぞれ違うが、ロックダウンなどさまざまな社会規制がこの1年間各国で課されてきたなか、社会経済的な不満・怒りを積もらせている人々も多いことだろう。去年見られたような市民の不満・怒りは今でも収まっておらず、たとえ今後コロナ問題が落ちついたとしても治安的には大きな懸念が残っている。
 
コロナが終息することは歓迎すべきだが、治安上は上記のようなリスクが指摘されている。コロナ情勢が落ち着く方向になれば、グローバルなビジネスも日常を取り戻していくだろうが、海外に展開する日本企業としては上記のようなリスクを中長期的な経営戦略の中で考えていただきたい。

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