日本経済に圧力。中国の侵入「常態化」海警法施行で挑発強まる


尖閣諸島周辺で緊張が高まっている。

習政権は2月1日、中国海警局に武器使用を認める海警法を施行した。これによって、海警局は中国の主権や管轄権が侵害された場合、武器使用を含むあらゆる措置で対応することが法的に可能となった。

また3月1日には、中国国防省が尖閣諸島海域での中国当局船舶の活動を「常態化していく」と公表している。

■”第2海軍”との論調もある海警局。日本経済のリスクは?

海警局は2018年の組織改正で軍統制下の人民武装警察部隊に編入され、軍との一体化が進んでおり、今回の海警法施行はそれにさらなる拍車を掛ける形となった。海警局は第2海軍だとの論調も目にする。

また、海警法には武器使用の他に、管轄海域という要は中国の権限が及ぶ範囲が規定されているが、その明確な範囲は明文化されていない。

しかし、中国は尖閣諸島の領有権を主張し、また南シナ海では九段線をその基準としていることから、今後さらなる緊張を助長する恐れがある。では――今後の情勢の行方にも左右されるが――経済的視点からはどういったリスクが考えられるのか。

まず思い出されるのは、2010年9月の尖閣沖での中国漁船衝突事件だ。この事件では中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突したが、その後中国人船長が逮捕されたことがきっかけとなり、即時解放を求める中国は対抗措置として日本向けのレアアースの輸出禁止の措置を取った。

また、2012年9月に政府が尖閣諸島国有化を宣言したことがきっかけで、中国各地では反日デモが拡大し、現地に進出する日系企業の販売店やスーパーなどが破壊、放火、略奪などの被害を受けた。

そして、この海警法は当然ながら尖閣諸島だけでなく、台湾海峡や南シナ海にも適応される。既に南シナ海の領有権で中国と対立するベトナムやフィリピンは海警法への懸念を示しているが、南シナ海は日本のシーレーン上にある。

中国は南シナ海で人工島の建設や行政区の設置など既成事実を着実に積み重ねているが、海警法施行によって同海域の緊張がいっそう高まり、中東や欧州などから日本へ向かう船舶やタンカーの安全な航行にも影響が出る恐れがある。

■経済の対中依存と安全保障のジレンマ、日系企業の課題は?

一方、バイデン政権もこの海警法を非難し、日本の立場を支持すると表明している。これは安全保障上ありがたい表明ではあるが、仮に海警法が米中対立をさらに高めるファクターになるのであれば、経済的に日本の立ち位置は米中対立の狭間でいっそう難しくなるだろう。

日本は米国の同盟国であり、最近は日米にオーストラリアとインドを加えた日米豪印クワッドの協力が顕著になり、それが事実上中国への対抗網のようになっている。その一方、依然として中国に展開する日系企業は多く、日本経済の対中依存は強い。

日系企業の中にはこのジレンマを感じている人々も多くいることだろうが、今のうちから駐在員の安全保護、また経営的視点からリスクを最小化できる対策を模索すべきだろう。

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