アマゾンの会議は異常? 日本人の想像を超える会議の”イノベーション”


コロナ禍の影響で日本でもオンライン会議が増えています。なかなかオンライン会議もムズかしいですよね。悩んでおられる方も多いと思います。しかし日本の場合、「リアルの会議をどうオンライン会議で同じように行うか」という問題に終始しているとも思えます。

この「リアルをデジタルに移行する」というワナに日本人はハマっている気がします。話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)でも、同じことが言えるかもしれませんね。今回は「そもそも、その会議の進め方どうなのよ」ということを考えてみます。テーマは“会議のイノベーション"です。

■アマゾンの会議は沈黙から始まる

事例としてGAFAの一角、アマゾンの会議をみていきましょう。まず、アマゾンの会議は沈黙からスタートします。たとえば60分の会議ならば、30分近く沈黙していることもあるそうです。一体、何をしているのか。黙々と会議資料を読み込むわけです。

「え、会議資料なんか事前に読んどけよ」とあなたは、思うかもしれません。たしかに、そうですよね。しかし、実際のところ、会議の資料を事前にどの位の人数が、読み込んでいるでしょうか。ハッキリ言って、色々と忙しいですよね。長々と書かれた二十数枚のパワポ資料なんて事前に読んでいられないです、本当のところは。

アマゾン会議で参加者が黙々と読む企画書は通常、A4で4〜6枚。長さ制限があるわけです。そして書き方にも驚きの厳格なルールがあります。

■パワポ、箇条書き禁止。驚きの会議文化

アマゾンの社内企画書はA4で4〜6枚。フォントサイズは10.5ポイントだそうです。そして、あくまでテキストベースで構成していきます。必要なデータ/図表は別添としてまとめ、企画書枚数に含めない。企画書内で過剰に図表を使ったり、いわゆる“レイアウトや色使いに凝る"なんてことは禁止。パワポなどのプレゼンソフトは当然、使えません。

要は、その企画書を読むだけで、相手が理解できないとダメということです。もっと言ってしまえば、“レイアウトや色使いに凝る"なんてことは「時間のムダ」という考え方なのかもしれませんね。

テキスト内容にも、もちろん厳密性が求められます。抽象的な表現などは一切アウト。恐ろしいのは箇条書きが禁止なこと。つまり、ひとつの文章として論理性や具体性がないと会議資料として使用してもらえないそうです。

この話を聞いたとき、はじめは「なんだ、4〜6枚書けばいいのか、楽勝でしょ」と思ったものです。しかし、よくよく考えると段々と恐ろしくなってきました。まず、テキストベースということと、そして箇条書き禁止という点です。

パワポ提案書って、ごまかせると言えばごまかせます。たとえば、スライドタイトルを「前提となる市場条件」として、マルをデカク5つ位書いて、そのマルのなかにアマゾン禁止の箇条書きテキストをぶち込んでおけば、最低カッコウが付きます。

■求められるのは論理性と合理性

結局、アマゾンが嫌うのは箇条書きで5点挙げた場合、その5点の相互の因果関係などが見えないということなのでしょう。

たとえば、箇条書きAは箇条書きBに主として起因しているなど、因果関係がある場合が、かなりあると思います。これを日本の社内文書の書き手の一人として弁解すれば、「そんなものはさ、口頭でキッキリ説明しますよ」ということになるのですが、それは許されないのでしょうね。

たしかに口頭説明は、何人聞いているか分かりませんし、エビデンスも残りません。そして説明者もエビデンスが残らないことを、かなり意識しています(これは自分の経験ですが)。

口頭説明を録音する手もありますが、そうすると残すデータが音声ファイルとドキュメントファイルになってしまいます。音声ファイルをテキストデータ化すれば・・・そんなことをする位なら、「はじめからテキストで完結しとけよ」という話ですよね、すいません。

結局、アマゾン会議は論理性と合理性を突き詰めているのだと思います。日本でいう「会議資料なんて事前に読んどけよ」というムードも、厳密に言うならば、会議開始前に各参加者がどのくらい、精読しているか確認するべきですよね。そうしないと会議なんて始められない気もします、本来は。

■結局、会議の位置づけが大切

会議の方法以外にも、アマゾンには興味深いルールがあります。たとえば「ピザ2枚ルール」。チーム編成・人数に関するルールで「ピザ2枚を分け合える程度の規模のチーム人数が適正」というものです。つまり、あまりに大人数では生産性が落ちるという考え方です。

会議の話に戻れば、やはり一番重要なのは、その会議の「位置づけ」だと思います。「メンバーが意思統一するためなのか」「根本的な打開策を考えたいのか」などの、会議テーマの設定ということです。これが日本の場合、曖昧なケースが多い。会議をしたというエビデンスを残したいというケースさえありますからね。

最近、これとちょっと似た、怖い話を読みました。シリコンバレー界隈で日本企業は相手にされていないケースも多いという話です。「アイツら(日本企業のこと)は情報収集に来ているだけだから」というのが、その理由。

シリコンバレー・ルールでは、ある程度、具体化されたビジネスモデルを持参し、それを実現する技術について議論するのが通常とのことです。つまり、ひとつのアクション(たとえば会議)に対する位置づけが異なり、またそれを理解していない。

多分、ここから導きだせるのは、ビジネスのカタチが会議の進め方を規定するということだと思います。その逆は、あまり期待できないのはないでしょうか。

ともあれ、企画書の枚数の話ではないと思います。そんなことを言い出すと、日本の出版業界の伝統的な企画書ルールはA4・1〜2枚ですから。日本の出版業界がアマゾンの先を行っているという話になってしまいます。

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