「100万円ほったらかし」→「20年で2.65倍」に!? 老後に勝ち組になるための「3つの基本原則」とは

(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の不安とは、突き詰めていけば「お金の問題」に他なりません。長生きは喜ばしい反面、それだけ生活費がかかることも事実です。本連載では、資産形成のプロでありシニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が、著書である『老後の不安がなくなる50歳からのお金の増やし方』(三笠書房)から、老後の資産形成を行うコツについて解説します。

「資産形成のための投資」3つの基本原則

まず、老後の資産作りを目的とした「投資の基本原則」をお伝えします。

「長期・分散・低コスト」―この3つのキーワードを覚えてください。これから、それぞれのキーワードについて具体的に説明をします。

投資の基本原則1|長期(長期投資)

投資は、投機やギャンブルとは違います。設備投資であれ教育投資であれ、成果が出るまでには時間がかかります。証券投資による老後の資産形成も同じです。

株価は毎日、目まぐるしく動いていますが、企業の業績や本質的な価値が毎日変わることはありません。企業価値は時間をかけて上がっていくのであり、それにつれて株価も上がっていくものなのです。

「長期」と言いましたが、どれくらいの期間を指すのか明確な定義があるわけではありません。また、長期投資なら必ず儲かるというわけでもありません。

しかし、短期間での投資に比べ、長期投資のほうが「リターンが安定する」傾向にあるのは事実です。[図表1]を見てください。

これは、金融庁のホームページに載っているグラフです。国内外の株式と債券に投資し、5年間保有した場合と20年間保有した場合を比較した結果です。

縦軸は発生確率、横軸は投資収益率(年率)となっています。

投資収益率(年率)とは「年利回り」のことで、「投資金額に対して1年間で得られた利益の割合」を表しています。保有期間5年の場合、元本割れの年もありますし、10%以上の利回りだった年もあり、運用成果にはかなりのバラつきが見られます。

一方、20年保有した場合、ほぼ年2~6%の利回りに収れんしています。

[図表1]「長期投資」がおすすめの歴然とした理由
[図表2]利子が利子を生む「複利効果」を活かそう!

明らかに20年間保有するほうが安定していますよね。

あなたは「複利」をご存じでしょうか。20世紀最大の物理学者・アインシュタインが、「人類最大の発明」「宇宙で最も偉大な力」と呼んだものです。

複利とは「利子が利子を生む」考え方のこと。利息や配当などの運用成果を元本に加えて再投資することで収益が拡大していくことを「複利効果」と呼びます。

年5%の利息がつく預金があったとします。この預金に100万円を預けた場合、毎年利息を受け取ると(単利と呼びます)、元利合計で10年間では150万円、20年間では200万円になります。

これが複利になると、10年で162万8895円、20年だと265万3298円になります。複利効果は期間が長くなるほど成果につながります。

だから、老後の資産形成を目的とするのであれば、「長期投資」が基本となるのです。

投資するときに分散すべき3つの要素

投資の基本原則2|分散(分散投資)

分散とは、1カ所にまとめず、複数に振り分ける考え方のことです。

投資では、「資産(金融商品)」「地域」「時間」の3つを分散させることが重要です。

それによって、リスクを最小限に抑え、効率的にお金を増やしていくのです。

株式、投資信託、債券といった資産(金融商品)のうち、「何に、どれくらいのお金を投資する」のか?

どの地域の資産(金融商品)を購入するのか? 国内なのか、海外なのか? 海外なら先進国なのか新興国なのか?

このように、投資資金をどのように配分していくかを、「アセットアロケーション(資産配分)」と言います。これについては、後ほど詳しくご説明します。

そして、もう1つ、「時間の分散」についてお伝えします。

老後の資産形成は、「毎月の積み立て投資」で行なうことが基本です。毎月の積み立て投資とは、「定期的に、同額を」積み立てる、つまり、毎月、一定の金額をコツコツと投資していく方法です。

じつは、この毎月の積み立て投資こそが、「時間の分散」なのです。

「定期的」に「同じ金額」を投資していく手法は、「ドルコスト平均法」と呼ばれています。

[図表3]をご覧ください。

[図表3]ドルコスト平均法――定期的に、同じ金額を投資!

ある投資信託を毎月1万円、1月から積み立てていった場合の計算例です。

1万円でスタートした基準価額(きじゅんかがく)(値段)は、上がったり下がったりしながら12月に1万円に戻ったとします。この場合、購入した総口数は12.8口ですから、1万円×12.8口で12万8000円の時価評価になっています。

あれ、投資金額は12万円ですから、利益が出ていますね。

基準価額が安い時は多くの口数を購入でき、基準価額が高い時は購入できる口数が少なくなるので平均購入基準価額は安くなるのです。

ドルコスト平均法は、けっして万能ではないものの、上下しながらも長期的には上がっていく資産(金融商品)に投資するのであれば、非常に有効な方法だと言えるでしょう。

投資の大きなコストとなる「税金」

投資の基本原則3|低コスト

コストは資産形成の足を引っ張ります。資産(金融商品)を購入する時の手数料や内包されている手数料、税金などは、「確実に」資産形成の重荷になるのです。

仮に、運用管理費用(投資信託を運用・管理していくのにかかる費用)が年率0.1%の投資信託Aと、運用管理費用が年率1.5%の投資信託Bに、それぞれ毎月5万円、25年間積み立てたとします。

利回りが双方とも年7.0%と仮定すると、運用管理費用の合計と費用控除後の資産評価額は次の通りとなります。

[図表4]運用管理費用の合計と費用控除後の資産評価額

毎月の積み立て金額と利回りが同じなのに、運用管理費用の違いによって、2つの資産評価額には、671万円もの大差がついてしまうのです。

そして、もう1つ大きなコストとしては「税金」があります。

投資信託や株式で資産形成に取り組み、十分な利益が出て売却した場合、利益に対して20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税金がかかります。また、投資信託の分配金や株式の配当金に対しても20.315%の税金がかかります。

でも、もし税金がかからない仕組みがあれば、より効率的な資産形成ができることになります。その仕組みこそが、「iDeCo」と「NISA」です。iDeCoとNISAについては、後日、詳しくお伝えします。

「長期・分散・低コスト」―この投資の基本原則は、呪文のように唱えて、しっかり覚えておいてください。

濵島 成士郎

株式会社WealthLead

代表取締役

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