"投資の常識”を疑え…誰も教えてくれない「長期投資」のデメリット

※写真はイメージです/PIXTA

資産運用をはじめようとしたとき、書籍やインターネット等を調べるとまずでてくるのが「長期・積立・分散投資をすれば、リスクを抑えながら安定した運用成績を出せる」という「投資の三大原則」でしょう。しかし、その三大原則にはそれぞれデメリットが存在すると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。今回は「長期投資」のデメリットについてみていきましょう。

「長期投資」のメリット・デメリット

はじめに、「長期投資」のメリットを確認しておきましょう。

・売買手数料を抑えられる
・売るまでは売却益が発生しないため、税金の支払いを先送りできる
・毎回配当を受け取ることができ、運用期間が長くなるほどそれが蓄積される
・長期的に株価が上がり続ければ、その上昇分をすべて含み益にできる

メリットとしては、主に上記4点が挙げられます。長期投資は、コストを最小限に抑え、配当と含み益を確実に得ることができるのが強みです。

一方、デメリットとして、長期で保有していても、値下がりを続ける銘柄であれば「大失敗」になってしまうということを忘れてはいけません。

たしかに長期投資では、コストを最小限に抑え、配当収入を蓄積していくことができます。しかし、保有期間中に株価が下がり続ければ、当然大きな損失を出しかねません。長期投資で大きな利益を出したいのであれば、長期的に値上がりを続ける株を見定める必要があります。

また、そういった「優良株」は高い株価で推移していますから、適切な株価になったタイミングを狙って買う必要があります。

長期投資で勝っていくには、「銘柄」と「価格」の見極め力がものをいいます。

期間に捉われず「安く買って高く売る」を繰り返すのがもっとも効率的

また、長期的に値上がりする銘柄だとしても、そうでない銘柄だとしても、株価というのは一定のサイクルで必ず上下します。

したがって、長期や短期といった保有期間には捉われず、「安く買って高く売る」を繰り返したほうが、効率的に利益を出せます。ある銘柄で売却益が出たら、その資金を使って利益の出そうな別銘柄に投資したり、その銘柄が再び値下がりするのを待って投資したりするということです。

株式市場には何千もの銘柄があり、それぞれが一定のサイクルで上下しているのですから、1つの銘柄に長期投資をするよりも、そのほうが利益は大きくなります。

たしかに、売買するたびに手数料や税金が発生し、タイミングしだいでは配当を逃すこともあるかもしれません。しかし、それを補って余りある売却益が出ればよいのです。

ただし、売買を連続して成功させることもまた簡単ではないということにも、注意が必要です。

個人投資家の強みは「自由」…ベストタイミングを狙え

機関投資家は「長期投資」になりがち

なお、機関投資家など大きな資金を運用している投資家は、短期投資が不利になりがちです。資金が大きいほど、買い集めるときに売り手がいなかったり、買値が上がっていったりする可能性が高まるからです。そのため、大きな資金を運用している投資家は必然的に、長期投資をする傾向があります。

一方、そうでない個人投資家は、売買の間隔を比較的自由に選ぶことができます。ですから、個人投資家はそのメリットを十分に生かすべきです。

長期投資のメリット・デメリット両方を考慮したうえで、利益が最大限になるタイミングで売買をすればよいのです。

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓

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