66歳・自営業夫の逝去。「厚生年金には途中から加入しました」専業主婦子なし妻、「遺族厚生年金ゼロ」の“悲劇”【社労士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

「遺族年金」というものを、本当に知っていますか? 遺族年金は非常に便利な制度ですが、認識を誤れば、支給されなくなってしまう可能性が大いにあります。遺族年金を受けられる条件について、特定社会保険労務士・社会福祉士の脇美由紀氏の著書『夫が、妻が、自分が、親が「まさかのときに備える」 知っておきたい 遺族年金』(ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋して紹介します。今回は、「寡婦年金」について。

未納期間が多いとどうなる?

保険料をきちんと納めていなければ、遺族年金が支給されないことをご存知ですか?

〈相談事例〉

遺族厚生年金は誰にでも支給される年金ですか。

亡くなった人の四つの要件

遺族厚生年金の亡くなった人の要件は四つあります。

このうち、下の図①と②には保険料納付要件があります。

③の障害厚生年金にはそもそも保険料納付要件があります。④は保険料を納付または免除された期間が25年以上必要であり、未納期間が多ければ満たしません。

元気なうちに知っておきたいこと

未納期間が多いと基本的にどの要件も満たしません。元気なうちにできることとして、まずは保険料を納めることです。難しい状況なら免除申請をすることです。

国民年金保険料の免除制度とは?

国民年金保険料を納付できないとき、免除制度を利用できることをご存知ですか?

〈相談事例〉

国民年金保険料の納付が難しいなら免除申請をするようにいわれましたが、そもそも免除申請とは何ですか。

免除制度と猶予制度

国民年金保険料を納付する義務があるのは第1号被保険者です。1月当たりおおむね1万7,000円で、毎年金額が変更になります。収入がないなどの理由で、保険料の納付が難しい状態であれば、申請または申し出により、基準を満たせば保険料が免除・猶予されます。

免除された期間は、年金の受給資格期間となります。保険料納付要件を満たさない事態は避けられますし、長期要件の25年にもカウントされます。申請窓口は年金事務所または市区町村の国民年金課です。

亡くなった人の年齢によって要件が違うの?

保険料納付要件には二つの種類がありますが、特例要件(直近1年要件)が使えない
ことがあるのをご存知ですか?

〈相談事例1〉

夫は自営業で20歳から60歳になるまで国民年金保険料を納めてきました。62歳のときに初めて知り合いの会社で厚生年金に加入して働くようになったのですが、 在職中の66歳のときに不慮の事故により亡くなりました。 私は専業主婦で子はいません。

▼遺族厚生年金は支給される

厚生年金の加入期間が短いため、遺族厚生年金が支給されるのかという不安があったようですが、 「厚生年金加入中の人が亡くなったとき」の要件に該当し、保険料納付要件も満たしていることから、遺族厚生年金が支給されます。しかし、厚生年金の加入期間が短いなら、短いなりの金額しか受けられないと思うでしょう。

このケースの場合、厚生年金の加入期間は約4年ですが、25年厚生年金に加入したとみなして遺族厚生年金が計算されます 。また、妻が40歳以上であれば、上乗せ加算(中高齢寡婦加算)があります。

〈相談事例2〉

夫は自営業でしたが、40年間国民年金保険料をほとんど納めておらず、免除申請もしていませんでした。62歳のときに初めて、知り合いの会社で働くようになり、厚生年金に加入したのですが、在職中の66歳のときに亡くなりました。私は専業主婦で子はいません。

遺族厚生年金は支給されない▼

このケースも 「厚生年金加入中の人が亡くなったとき」に該当しますが、保険料納付要件を満たさず遺族厚生年金は支給されません。亡くなった時期が65歳を過ぎているため、特例要件は使えず基本要件(3分の2要件)を満たす必要がありますが、未納期間が多く要件を満たすことは不可能です。

元気なうちに知っておきたいこと

保険料未納期間が多くても、直近1年間に未納がなければ保険料納付要件を満たすことがあります。しかし、特例要件(直近1年要件)は、死亡日が令和8年4月1日前にある65歳未満の人に限られます。

基本は3分の2要件を満たすことですから保険料を納めることが大切です。納付することが難しいようなら、きちんと免除申請を行いましょう。

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?