月収32万円・37歳サラリーマン「浦和」×「戸建て6,500万円」全額ローン・30年返済はありか?
2023年04月25日 08時32分THE GOLD ONLINE

東京都心では、マンション価格がバブル超え。いまだかつてないほどマイホーム購入へのハードルは高くなっていますが、それでもせっかく買うなら納得のいく街に家を持ちたいと考える人は多いでしょう。いま、会社員が買える街……今回は「浦和」に焦点をあてます。
「大宮」のライバル!?「浦和」の住み心地
日本には「ライバル」とされる地域や街があります。たとえば都道府県単位であれば「埼玉県」と「千葉県」、「鳥取県」と「島根県」など。市区町村単位なら、「前橋市」と「高崎市」、「静岡市」と「浜松市」など。いまは合併し「さいたま市」となりましたが、「浦和」と「大宮」はいまも何かと比較されがちな街かもしれません。
しかしイメージはまったく異なり、「大宮」は古くから交通の結節点で埼玉県の商業の中心として発展。「浦和」は埼玉県の県庁所在地だったことから行政の中心として発展してきました。また明治時代に、埼玉県師範学校、県立医学校、県立浦和第一尋常中学校、県立浦和高等女学校、旧制浦和高等学校などが創設されたことから、いまでも文教都市としての顔をもっています。特に駅東側にある、埼玉県立浦和高校、通称「浦高」と、さいたま市立浦和中学校・高等学校、通称「市浦」は、県立と市立、どちらも公立校でありながら偏差値70超え。特に浦高は東大進学数がトップクラスと、誰もが認める進学校です。
浦和の中心となるのは、JR「浦和」駅。JR京浜東北線、湘南新宿ライン、宇都宮線・高崎線が停車し、1日の乗車人数は7.7万人ほど。埼玉県内の駅では「大宮」に次ぐ2位の駅です。駅の西口方面には埼玉県やさいたま市の行政機関や裁判所などが集まり、埼玉県やさいたま市の行政の中枢といった雰囲気。また駅ビルには「アトレ浦和」、西口に「伊勢丹浦和店」、東口に「浦和パルコ」と大型商業施設も。大宮ほどの華やかさはないものの、文教地区らしい、落ち着いた中心街を形成しています。
そんな浦和住民の声を聞いていくと、買い物や交通の利便性のほか、街の雰囲気に対する評価が高いようです。
【浦和の好印象】
――大型の商業施設があり、駅周辺でひと通りのモノは揃う
――東京都内の主要エリアに30分程度に行ける
――高級住宅街で治安が良く、どことなく品がある
一方で、マイナス面をあげる声も。
【浦和の悪印象】
――埼玉県のなかでは家賃は高め
――交通量が多く、大通りは渋滞気味
――浦和レッズのサポーターで混雑
「浦和」駅周辺の掘り出し物…「全額ローン」で購入を決意も
2022年発表さいたま市浦和区の公示地価平均値は坪単価161万1,055円で、前年から4.5%ほどアップ。駅周辺だと、駅西口「浦和区高砂2-1-23」が最も高く、坪単価515.7万円となっています。前出の通り、「浦和」駅周辺には進学校も多いことから、わざわざ引っ越してくる子育て世帯も多いといいますが、駅周辺の地価は高く、新築一軒家となると結構な予算を覚悟しなければなりません。
たとえば、「浦和」駅徒歩15分ほど、3階建新築一軒家は、土地面積53㎡/建物面積100㎡ほどで6,500万円。戸建て住宅購入者の平均購入価格は4,250万円ですから、全国平均の1.5倍という水準です。
【戸建て分譲住宅購入者の平均像】
世帯主平均年齢:37.2歳
購入資金:4,250万3,200円(頭金:886万円、借入:3,363万9,400円)
自己資本比率:19.0%
平均返済期間:34.1年
出所:国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』より
※戸建て分譲一次取得者、数値はすべてそれぞれの平均値
とはいえ、駅徒歩圏内の新築一軒家は希少物件。「頭金はまだ貯まっていないけど見逃せない!」と、戸建て購入者の全国平均値、37歳の共働き世帯が「全額ローンでの戸建て購入」に踏み切ったとなると、どのような返済プランになるでしょうか。返済方式は元利均等、金利は0.5%、返済期間は30年とすると、利息分は501万0,155円、月々の返済額は19万4,473円となります。
一方、埼玉県の37歳サラリーマンの平均給与は月収32.3万円、賞与も含めた年収は528.7万円。女性会社員の平均給与は月収26.9万円、年収408.8万円*。世帯年収は937.5万円となり、返済負担率は24.8%と平均値よりも5ポイントほど高くなります。少々負担感が大きいものの、夫婦共働きであれば全額ローンもなくはない選択肢だといえます。
*厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より
しかし、全額ローンで戸建て購入に大きなリスクがあることは想像のとおり。まずはこの場合、夫婦がともに会社員として平均値の給与を得ていることが前提。どちらかの会社が業績不振で給与減となれば、あっという間に返済は重荷になります。
またいまは低金利のメリットを享受できていても、30年と長期にわたるローン返済のなか、金利が据え置きということは考えにくいでしょう。仮に0.5%→0.6%となると、月々の返済額は3,000円アップ。0.5→1.0%となると、月々1.5万円弱、多くなり、たちまちローン返済は滞ることになるでしょう。
不動産価格が高騰しているなか、マイホームの実現のためには、「夫婦2人力を合わせて」というのも現実的。しかし、安易に全額ローンを利用すると、ちょっとしたことで家計負担は重くなり、あっという間にローン破綻を迎える……そんな結末も現実的です。
もちろん借入額が少ないからといって、ローンを利用しているという状況に変わりありません。不測の事態も想定して、夫婦共働きであれば、1馬力でもローン返済を続けていけるようなプランで、住宅購入は考えていきたいものです。
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