「もらい忘れ」多発!“60代前半”のための「特別の年金」と”年の差夫婦”のための「+39万円の年金」【社会保険労務士が解説】
2023年06月02日 05時00分THE GOLD ONLINE

年金の受給開始年齢は原則「65歳」ですが、60歳以降、申請すれば65歳になるまで受け取れる特別な年金があります。また、年下の配偶者がいる人のための制度もあります。いずれも申請しないと受け取れません。年金制度に詳しい社会保険労務士の小泉正典氏が監修した『60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2023-24年最新版』(ART NEXT)からわかりやすく解説します。
「1966年4月1日以前」生まれの人は忘れずに!60代前半専用の「特老厚」を必ず請求
◆該当する年齢に必ず年金請求を!

「特別支給の老齢厚生年金(特老厚)」は、60〜64歳までの間に、生年月日に応じて受給が始まる60代前半の年金です。
1986年の改正で支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたときに設けられた経過的な制度です。
現在はまだ支給開始年齢を65歳に引き上げている途中ということになります。
引き上げが完了する「男性1961年4月2日以降生まれ」、「女性1966年4月2日以降生まれ」には特老厚はありません。この生年月日以降の人は65歳が支給開始年齢となります。

特老厚は、決められた年齢に受給を開始するしくみのため、繰り下げ受給はできません。
60歳以降も働いている人は、会社が手続きしてくれると勘違いして、もらい忘れるケースもあるので要注意です。
失業中に失業給付を受給する人は、特老厚は支給停止になりますが、年金請求の手続きは、失業給付の終了を待つ必要はありません。
あらかじめ年金請求を行っておくと安心です。

◆「5年前まで」なら取り戻せることも
特老厚を請求せずに5年が経過すると、時効にかかり古い順から1ヵ月単位で消滅し、消えた分は二度ともらえません。
しかし、あきらめてはいけません。時効になっていない年金については、5年前までさかのぼって請求することができます。

また、特老厚と老齢厚生年金は別のものです。続けて65歳から老齢厚生年金を受給したい人は、65歳の誕生日の前日以降に改めて年金請求を行いましょう。
配偶者が65歳になるまで約39万円加算 夫婦の年の差が大きいほどメリット大
◆繰り下げ受給とどっちが得か検討

「加給年金」は、厚生年金に20年以上加入していた人が、65歳になった時点で、65歳未満の配偶者(妻または夫)や18歳の年度末を迎える前の子供がいる場合、老齢厚生年金に加算されて支給されます。

「加給年金」の注意点
この年金も、支給される年齢が決まっているため、繰り上げや繰り下げができません。また、夫婦の年齢差の制限はなく、年齢が離れているほど受給年数は多くなります。
たとえば、妻が15歳年下の場合は、夫が65歳になったとき、妻は50歳です。夫が65歳から老齢厚生年金を受給すると15年間加給年金が加算されます。一方、妻が1ヵ月でも年上の場合は、加給年金が支給されません。
また、夫が65歳になったとき、妻が年下でも、夫が老齢厚生年金の繰り下げ受給を選択した場合は、繰り下げ待機中の期間は加給年金ももらえなくなります。
妻との年の差が5歳の場合は、夫が70歳まで繰り下げ待機すると、加給年金を約198万円(5年分の合計)もらい損ねることになります。
ただし、夫婦の年齢が大きく離れていない場合は、加給年金をもらわなくても、繰り下げ受給によって増えた分で回収できることもあります。


◆65歳以降の世帯の経済状況で判断を
加給年金は65歳以降、一家の大黒柱の収入が下がったときも家族が生活に困らないよう、配偶者が65歳で自分の年金を受け取るようになるまで生計を支えるために給付されるものです。
夫が65歳時点で、家族を養うために必要であれば数年分でも受給したほうがよいでしょう。
65歳以降も生活費に余裕があり、年の差が少ない人は、加給年金を見送って、繰り下げ受給で挽回するのも一つの選択肢です。
小泉 正典
社会保険労務士小泉事務所
代表・特定社会保険労務士
こういうのこそ、マイナンバーシステムで自動的になんとかしろよ。
民主党政権時代唯一の仕事。 消えた年金の再照合とすり合わせ。
扶養3号廃止しろよ フェミさんジェンさん立憲共産は廃止推進する立場だろう