投資の素人でも“お金”を着実に増やすための条件【FPが解説】

投資の素人でも資産を着実に増やす条件を解説 『長期』『積立』『分散』がキーワード

記事まとめ

  • 資産運用で大事なキーワードは『長期』『積立』『分散』の3つだという
  • これによって、お金を失う可能性を減らして堅実に増やす期待ができるらしい
  • ただ、投資信託などは『5つの地雷商品・サービス』に注意する必要があるという

投資の素人でも“お金”を着実に増やすための条件【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化が進み、老後の資金を公的年金のみに頼るのが現実的でなくなっていくなか、自分で「資産運用」をしてお金を守り、増やしていくことが急務です。しかし、専門家でもない私たちはどうすればよいのでしょうか。FPの頼藤太希氏と高山一恵氏が、著書『1日1分読むだけで身につくお金大全100 改訂版』(自由国民社)より、投資の素人でも着実に資産を増やすための「3つのキーワード」について、わかりやすく解説します。

資産運用の大事な3つのキーワードってなに?

投資でお金を失う可能性は、ゼロにはできません。しかし、「長期」「積立」「分散」投資を行えば、堅実に増やす期待ができます。

「長期」投資とは、長い時間をかけて投資を行うことです。数十年という長い期間で投資をすれば、リスクを抑えて投資できますし、複利の効果も生かしやすくなります。

「積立」投資とは、一定額を一定のタイミングでコツコツと投資することです。たとえ1回の投資は少額でも、積み重なると金額が大きくなります。

また、商品の価格にかかわらず一定額ずつ買うことで、平均購入単価を押し下げる「ドル・コスト平均法」の効果があるため、利益を出しやすくなります([図表1]参照)。

[図表1]ドル・コスト平均法の効果
「分散」投資とは、値動きの異なるさまざまな資産に投資することです。仮にその中のどれかが値下がりしても、ほかの資産の値上がりで補いながら、トータルでお金を増やせます。

金融庁は、「長期」・「積立」・「分散」投資を行うことで、年平均4%のリターンが得られると試算しています([図表2]参照)。

〔出所〕Bloombergをもとに金融庁作成 〔期間〕2001年1月~2020年12月 ※これは過去の実績をもとにした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではありません。
[図表2]長期・積立・分散投資の効果 〔出所〕Bloombergをもとに金融庁作成 〔期間〕2001年1月~2020年12月
※これは過去の実績をもとにした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではありません。

今後もこうなるか保証はできませんが、預金よりもずっと増やせる可能性が高いといえます。

■チェック!

長期・積立・分散投資を行うことで、お金を失う可能性を減らし、堅実に増やす期待ができます。

分散投資でポートフォリオを組む最大の理由は?

投資の市場に参加しているのは、私たち個人だけではありません。銀行・生命保険会社・損害保険会社・年金・ヘッジファンドといった機関投資家も、市場に参加しています。

機関投資家が行う運用は、「お金を減らさずに増やす」運用です。過去の研究から、運用成績の9割はどの資産にどんな割合で投資するかという「資産配分」で決まることがわかっています。

そこで、機関投資家は資産配分のルールを決め、それを守りながら投資を行っているのです。

日本にある世界最大の機関投資家、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、年金積立金を運用で増やし、将来の年金の支払いにあてます。

お金を大きく減らして、年金がなくなったら大変ですから、堅実なポートフォリオを組んで、減らさず増やす運用を実践しています([図表3]参照)。

[図表3]GPIFのポートフォリオ

その結果として、2001年度~2022年度末の期間において、収益率は「+3.8%/年」、累積の収益額は「+98兆円」と非常に高い実績を挙げています[図表4]参照)。

自分のリスク許容度に合わせ、時間をかけて資産配分を決めましょう。機関投資家の資産配分を真似するのもいいでしょう。

[図表4]GPIFの運用成果(2022年12月末時点)

■チェック!

運用成績の9割が資産配分で決まります。自分のリスク許容度に合わせて、どの資産を組み合わせるのかに一番時間をかけましょう。

投資信託の「5つの地雷商品・サービス」に要注意!

ここまで述べてきたように、資産運用を着実に行うのに最適なのは、投資信託の「長期・分散・積立投資」です。

しかし、投資信託およびその関連サービスのなかには、以下の5つのような難しい投資もあるので注意が必要です。

【5つの地雷商品・サービス】

1. 毎月分配型ファンド

2. テーマ型ファンド

3. 通貨選択型ファンド

4. ファンドラップ(ラップ口座)

5. ロボアドバイザー(ロボアド)

1. 毎月分配型ファンド

毎月分配金がもらえるタイプの投資信託です。一見、毎月のお小遣いのようでお得そうですが、運用で利益が出なかった場合、元本を取り崩してでも分配金(元本払戻金)を出します。元本が減ると、複利効果も減るため、長期の資産形成には向きません。

2. テーマ型ファンド

AI、ロボット、SDGsなど、話題のテーマに関わる銘柄に投資する商品です。テーマの注目度が下がるとともに値下がり。再び値上がりすることが少ないのです。短期保有と割り切って投資するならやってもOK。

3. 通貨選択型ファンド

株式や債券などの投資対象に加えて、円以外の通貨を選択できる商品です。資産の値上がり益や配当金・分配金に加えて、選んだ通貨の為替差益や利息なども受け取れます。ただ、仕組みが複雑で、運用実績も今ひとつの商品が多くあります。

4. ファンドラップ(ラップ口座)

投資家と金融機関の間で契約を結び、投資をすべて金融機関に任せるサービスです。プロが投資家の意向を汲み取り、投資をしますが、自分で投資するより手数料が高くつきます。

5. ロボアドバイザー(ロボアド)

金融のプロが開発したアルゴリズムを投資に生かすことのできる商品です。いくつかの質問に答えるだけで、自分に合った投資をスタートできますが、こちらも手数料が高くつくのが難点です。

地雷商品に共通するのは、わかりにくい複雑な仕組みがあることと、手数料が高いこと。

これらの地雷を踏むことなく、シンプルで手数料の安い商品を選んでコツコツと運用したほうがお金を増やせるでしょう。

頼藤 太希

株式会社Money&You

代表取締役

高山 一恵

株式会社Money&You

取締役

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  • 2

     人の行く 裏に道在り 花の山 いづれを 行くも 散らぬ間に行け ・・・・・ 言われてみれば 納得のいく 言葉です。 言われた道を 行くのでは  駄目ですよ ・・・・・・・・・・・

  • 1

     Twitter 月のうさぎ、さん(女性個人投資家) 参考になります。

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