「携帯電話キャリア大手4社」の平均給与…合計売上17兆円超「NTTドコモ」「KDDI」「ソフトバンク」「楽天モバイル」の気になる給与額

総務省と経済産業省による『経済センサス活動調査』によると、日本には367万もの会社があり日本標準産業分類で大きく20の業種に区分されます。業界ごとに、取り巻く環境はさまざま。それぞれの業界のトップ企業と、給与事情についてみていきましょう。今回、焦点を当てるのは「携帯電話キャリア」。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル…4社の平均給与

総務省によると、22年12月末時点の携帯電話の契約数は2億774万契約に上ります。国内に存在する移動体通信事業者(MNO)4社のシェアはNTTドコモが36.1%、KDDIが27.0%、ソフトバンクが20.9%、楽天モバイルが2.2%となっています。

市場シェアの残り13.8%を占めるのは、上記MNOの通信インフラを利用してサービスを提供する、MVNO(仮想移動体通信事業者)事業者。MVNOが提供する所謂「格安スマホ」の市場は着実に拡大しており、12年度に251億円だった売上高は、21年度には1,439億円となっています。

今回は、MNO事業者4社にフォーカスします。まずは、4社の売上高をみていきましょう。

【携帯電話キャリア4社・売上高】

1位「NTTドコモ」5兆8,702億円
※第37期有価証券報告書

2位「ソフトバンク」5兆6,906億円
※第36期有価証券報告書

3位「KDDI」5兆4,467億円
※第38期有価証券報告書

4位「楽天モバイル」3,686億円
※第26期有価証券報告書

上位3社の売上高は5兆円台でほぼ横並びでした。一方、新興の楽天モバイルの売上高は3,000億円台と小ぶりですが、通信料金を1年間無料にするキャンペーンが22年7月に終了したことに伴ってユーザーが通信料金の支払いを開始したため、売上収益が前期比62.0%増となり、急拡大を果たしています。

次に、有価証券報告書から、各社の平均給与をチェックしてみましょう。トップは売上でも1位のNTTドコモで952万円。2位は僅差でKDDIでした。

■NTTグループ

952万4,414円

(従業員:2,486人、平均年齢:41.8歳、平均勤続年数:16.7年)

■KDDI

945万4,416円

(従業員:10,455人、平均年齢:42.5歳、平均勤続年数:17年2ヵ月)

■ソフトバンク

808万4,000円

(従業員:18,929人、平均年齢:40.5歳、平均勤続年数:13.1年)

■楽天モバイル

797万761円

(従業員:8,409人、平均年齢:34.4歳、平均勤続年数:4.7年)

規模にかかわらず給与水準の高い情報通信業界

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、会社員(男女計、学歴計、産業計)の平均給与は月31万1,800円(所定内給与額)、賞与も含めた年収は496万6,000円。一方、情報通信業の平均給与は月収で44万4,700円、年収で678万6,000円と、年収で180万円ほど上回ります。

企業規模(大企業:従業員1,000人以上、中企業:従業員100~999人、小企業:従業員10~99人)による給与差をみていくと、大企業の給与は月収で中企業の1.15倍、小企業で1.22倍、年収では中企業の1.22倍、小企業の1.38倍、というのが平均値です。

情報通信業界をみていくと、大企業の給与は月収で中企業の1.2倍、小企業の1.1倍、年収では中企業の1.24倍、小企業の1.36倍。

ほとんどの業界では月収も年収も「大企業>中企業>小企業」という構造ですが、情報通信業界における月収は「大企業>小企業>中企業」と、中企業・小企業の間で逆転現象が起きています。なお、賞与も含めた年収では「大企業>中企業>小企業」の並びとなり、大企業の賞与水準の高さがうかがえます。

全産業の中でも平均給与の高い情報通信業界への転職は、企業の規模にかかわらず、年収アップを実現する可能性を秘めているといえそうです。

「副回線サービス」により通信の安定性が高まる携帯キャリア

携帯キャリア界隈でキーワードになっているのが「副回線サービス」です。

NTTドコモは23年6月より、災害時や通信障害発生時に副回線のau回線に切り替えて通信を行えるサービスを開始しました。ソフトバンクはau回線を、KDDIはソフトバンク回線に加え、23年6月以降はNTTドコモの回線も利用できるようになっており、通信インフラとしての安定性は高まっています。

2020年に携帯電話事業に参入した楽天モバイルは、借り入れや社債の発行を通じ基地局の新設等に1兆円を超える投資を行ってきましたが、24年以降の社債の大量償還開始を前に財務改善の緊急度が高まり、23年5月には基地局の建設計画を先延ばしにする旨を発表しました。上位3社と比べ、自前の通信環境の整備には課題が残りますが、KDDIとの約3年間のローミング契約によって当面の通信品質は担保される見込みです。

クレジットカードや証券、銀行等、グループ全体でユーザーを囲い込める「楽天経済圏」の強みを活かし、23年3月末時点で約454万件としている携帯電話の契約者数を伸ばせるかどうか、その動向に注目です。

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