現役ボディビルダーおすすめ「糖質制限でも脂質制限でもない」…“無理なく”脂肪が落ちる!「プラスする」ダイエットとは?

(※写真はイメージです/PIXTA)

生きるうえで「食事」は必要不可欠。摂取した栄養素は長い道のりを経て、身体のために機能します。本連載では、ボディビル世界大会で3位に入賞した経験もあり、日本体育大学体育学部の教授を務める岡田隆氏の著書『世界一細かすぎる筋トレ栄養事典』から、「食事×筋トレ」を主軸とした「理想のカラダづくり」について解説します。

糖質制限の正解って?

インスリンの働きとダイエット

減量を目的とした糖質制限は、ボディメイクの世界でもよく用いられる手法です。

これは一般的に摂取カロリーを減らすためですが、その点だけ見ると脂質制限のほうが効率的かもしれません。糖質制限ではさらに、「インスリン」の分泌を抑えることが念頭に置かれているのです。

インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンの一種。

血中の「グルコース(ブドウ糖)」が多くなった際、筋肉などの細胞に糖を取り込むのを促進することで、血糖値を下げる作用があります。もしインスリンが十分に働かないと、血中グルコースが過多になり、糖尿病の原因に。

インスリンは他にも、余ったグルコースをグリコーゲンや中性脂肪に合成する働き、脂肪分解に関する酵素の作用を弱める働きがあります。

こうした特徴を受け、「糖質を制限するとインスリンの分泌が減り、脂肪合成が抑制される」という考えが、糖質制限ダイエットの前提になっています。

しかし、複数の研究データを解析したある報告によると、糖質からのエネルギー摂取量が45%以下の食事と、一般的に健康であるとされる食事では、体重減少効果に差がほとんど表れないという結果※1が出ています。

※1 Naude CE et al.,2014

糖質制限VS脂質制限

肥満の成人を対象に、糖質制限食と脂質制限食を比較し、体脂肪の減少を計算した研究※2によると、体重の減少は糖質制限で⼤きかったが、体脂肪の減少は脂質制限のほうが大きかったという結果に。

※2 Kevin, Bemis T et al.,2015

しかし、インスリン分泌だけを見ると、糖質制限では減少しており、脂質制限では変化はありません。インスリンの抑制が減量に直結すると断言できない結果と言えます。

摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくするという基本に立ち返り、栄養バランスを考慮しながら制限をするのが有効だと考えられます。

バズーカ岡田の推しメシ「スーパー大麦」

スーパー大麦は食物繊維の最強食材

日本人が不足に悩む食物繊維ですが、近年は腸内環境への注目から、徐々に見直されるようになりました。同時に、穀類が人気を高めています。従来は食物繊維というと、主役は野菜でした。

しかし多くの野菜は「不溶性食物繊維」の比率が高く、十分な摂取量にたどり着くことが困難。きのこや海藻も食物繊維は豊富ですが、たくさん食べるには限界があります。

「スーパー大麦」が今注目を集めているワケ

そこで脚光を浴びたのが穀物です。中でも大麦は食物繊維の量が多く、「水溶性食物繊維」の比率が高いため、腸内環境を整えるのにも役立ちます。

そして、今ホットな食材が「スーパー大麦」です。オーストラリアの国家的研究機関が国民のために10年間にわたり品種改良をつづけて誕生した食材で、日本でも購入が可能になりました。

通常の大麦に多く含まれる「β‒グルカン」に加え、「フルクタン」「レジスタントスターチ」「アラビノキシラン」などの食物繊維が含まれていることが特徴で、これの多くが水溶性食物繊維であることから、腸内環境の改善に大きな効果が期待されています。

さらに、食物繊維量は通常の大麦の2倍以上という驚愕の数値です。

食物繊維を生かした除脂肪の方法

ボディメイクにおける食物繊維のメリットは、食事制限をせずに除脂肪を実現できること。糖質制限や脂質制限といった“マイナス”のダイエットとは異なり、通常の食事に食物繊維を加えるだけの“プラス”のダイエットであることから、無理なく脂肪を落とすことができます。

具体的な方法は、白米やパスタといった主食を、玄米、雑穀米、麦飯、全粒粉のパスタなどの穀類に置き換えること。

これだけで糖質を抑え摂取カロリーが減るだけでなく、腸内環境や便通が改善され、除脂肪につながるでしょう。

岡田 隆

日本体育大学体育学部

教授・ボディビルダー

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?