年金月17万円のつもりが実際は「月9万円」で老後破産の危機…年収680万円の55歳サラリーマン「将来の年金受給額」を増やす方法【FPの助言】

年収680万円の55歳サラリーマンの年金見込額「月9万円」 今からでもできる対策は

記事まとめ

  • 年金の平均受給額は、国民年金が約5万6000円、厚生年金が約14万6000円といわれる
  • 年収680万円の55歳サラリーマンの年金見込額は、なんと「月9万円」だった
  • いまからでもできる「3つ」の年金対策について、FPが助言している

年金月17万円のつもりが実際は「月9万円」で老後破産の危機…年収680万円の55歳サラリーマン「将来の年金受給額」を増やす方法【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省によると、年金の平均受給額は国民年金がおよそ5万6,000円、厚生年金がおよそ14万6,000円といわれています。そのようななか、Rさん(55歳)は年収が680万円もありながら、年金見込額はなんと「月9万円」と、平均を大きく下回っています。このままでは老後破産の危険性も……そこで、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、事例をもとに「将来受け取る年金額」の増やし方を解説します。

“えっ、少なすぎる”…Rさんが衝撃を受けた「年金見込額」

いわゆる“普通”のサラリーマンとして、都内の某企業に勤めるRさん(55歳)。現在、年収は680万円ほどあります。しかし、今年の誕生月に送られてきた「ねんきん定期便」を見て、驚きが隠せません。

50歳以降送られてくる「ねんきん定期便」は、「現在加入している年金に、同条件のまま60歳まで継続して加入したら」という仮定のもと算出された年金見込額が記載されています。

一般的に、20~60歳まで平均的なサラリーマンの給与を手にした場合、平均標準報酬額は47万円で厚生年金は月10.3万円ほどになる計算です。国民年金が満額受給できると仮定すると、月16~17万円程度の年金になります。

Rさんは、自分も「17万円くらいは受け取れるだろう」と思っていました。しかし、ねんきん定期便に記載されていた金額は「約9万円」。思わず二度見したというRさん。なにかの間違いではないかと、信じられなかったそうです。

Rさんの年金見込額が「少なすぎる」ワケ

Rさんは、地方にある高校を卒業後、国公立大学に進学。大学生のあいだは、学生納付特例制度を利用して、保険料の免除を受けていました。

さらに、いまでこそ“普通の会社員”として一般的な給料を得ているRさんですが、新卒で入社した会社をわずか3年で退職。その後、自営業で小売業を始めましたがあまりうまくいかず、長年アルバイトをしながら生計を立てていました。

知り合いの紹介でいまの会社に入社したのは、45歳になってからです。25~45歳までの約20年間は自営業として働いてきたので、厚生年金には加入していませんでした。

また、自営業での収入が少なく、国民年金保険料を支払うのが困難な状況が続いていたため、ご本人の予想より受け取れる年金が少ない見込みとなっていたようです。

このままでは老後破産も免れないRさん。いまからできる対策はあるのでしょうか。

Rさんがいまからでもできる「3つ」の年金対策

Rさんが取り組める対策としては、下記の3つが考えられます。

1.60歳以降も働く
2.年金の「繰り下げ受給」をする
3.iDeCoとNISAを利用して自分年金を確保する

1.60歳以降も働く

定年はいまや、「60歳」から「65歳」が定番になりつつあります。60歳が定年の会社であっても、希望すれば「再雇用」として65歳まで働き続けられるようになっているところが少なくありません。

そこで、年金の受給額を増やす方法としてこの制度を利用し、1年でも長く働いて厚生年金の加入期間を延ばすという選択肢があります。

厚生年金の加入期間は70歳までですから、Rさんの場合はなんとかしてそこまで働き続けたいところです。

2.年金の繰り下げ受給をする

国民年金や厚生年金といった公的年金は、原則として65歳から受給開始となっていますが、年金の受給開始年齢は自分で選択することができます。

繰り下げ受給」を選択した場合、受給する年金額は「繰り下げた月数×0.7%」となり、1年間遅らせると8.4%(0.7%×12ヵ月)、5年間遅らせれば42%(0.7%×60ヵ月)の増額となります。

もし健康で70歳まで働けるのであれば、年金の受給開始を70歳と繰り下げることで、受取額を42%増やすことができます。

Rさんの場合、70歳まで繰り下げれば、年金受給額は現在の約9万円から約13万円(9万円×1.42=12.78万円)に増やせます。さらに、75歳まで繰り下げられるのであれば年金額は84%増加しますから、受給額は約17万円にできます(9万円×1.84=16.56万円)。

3.iDeCoとNISAを利用して自分年金を確保する

投資信託などで運用して利益があると、本来であれば源泉分離課税20%ほどの税率がかかりますが、「iDeCo」や「NISA」を利用すれば利益を得ても非課税となります。足りない老後の生活費を準備する方法として有効です。

55歳のRさんは「老後まで時間がない」と焦っていますが、仮に毎月5万円を10年間、投資信託のバランス型(利回り4%想定)で積み立て投資すれば、投資額600万円が730万円ほどになります。退職金と合わせて活用すれば、最低限の老後資金は確保できるのではないでしょうか。

また、国民年金の免除や猶予などを受けた方は、10年以内であれば追納ができます。Rさんの場合期限が過ぎてしまっていますが、まだ追納が可能な方は年金受給額を増やすことが可能です。

Rさんのように老後の年金受取額について慌てることがないように、毎年の誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」については若いうちからしっかり内容を確認しておくようにしましょう。

武田 拓也

株式会社FAMORE

代表取締役

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  • 2

    私もそう思う。順調にいけば、定期便では65歳で月20万円貰えるとなっているが、プラス3年働いて、後はもういい。手間のかかる子供も孫もいないし。いくつかの占いによると寿命は72歳あたりになってるし、無理はしないで静かに楽しくフェイドアウトの予定。

  • 1

    人生100年時代と、いうけれど、みんなが100歳まで生きれるわけではない、 繰り下げれば、年金ふえるけど、税金もふえる、できるだけ貯蓄をふやしておく 繰り下げも68歳くらいが、いちばんいいと思う、人生それぞれですから、寿命などわからない

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