〈学級崩壊寸前〉担任もお手上げ状態…法的手段で「クラスメイトの悪行」を食い止めるには?【弁護士の助言】

法的手段で「クラスメイトの悪行」を食い止める手立て より多くの情報提供を

記事まとめ

  • クラスの問題児をおとなしくする手立てについて、弁護士が解説している
  • 対応する法的義務を学校に負わせるためには、いじめとして相談するのが効果的だという
  • 担任の交代を求めることや、見守り教員の配置を求めるという選択肢もあるとか

〈学級崩壊寸前〉担任もお手上げ状態…法的手段で「クラスメイトの悪行」を食い止めるには?【弁護士の助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

クラスに一人はいる問題児。本来は教員ら学校側が対応し、止めさせるものだが、被害を受けた生徒が自らの手で止めさせるにはどんな手段があるのか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、生徒の立場から、クラスの問題児をおとなしくする手立てについて、田渕大介弁護士に解説していただきました。

悪行ざんまいのクラスメイトの嫌がらせ…

相談者の中学1年生Aさん(女性・仮名)は、 入学当初から男子クラスメイトのBに嫌がらせをされています。Aの感覚では、本人には自覚がないだろうとのこと。

具体的には、授業中に突然叫びだしたり、担任教師のことを「クソババ!」と言ったり、走り回ってAのタブレットの画面を破壊する、天然パーマのクラスメイトを「ホームレス」とあだ名をつけていじめる、こうした問題行動のせいで、クラスメイトみんなの帰宅時間が遅くなることが度々ある……などです。

Aさんは担任の先生には何度も相談しているといいます。担任の先生はその度に、「いい加減にしなさい!」と注意はしてくれるものの、それだけ。そのせいか、Bはその先生を軽く見ているようで、逆に「Aらがウソをついてる」というような虚言を吐いているようです。

クラスメイトのほぼ全員がBの悪行に迷惑しており、生徒指導部長の先生への相談も検討しています。Aさんとしては、生徒指導部長に対して、Bの嫌がらせがとてもひどく、「本当につらい」という実態をより正確に伝え、認識してもらい止めさせることにつなげたいと思っています。

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

(1)どんなフォーマットを用意し、どんな内容を指摘するとより有利になるよう伝えられるのか。

(2)証拠として、日記はあるものの録音や録画は校則があるため、ありません。それでも大丈夫か。

学校に問題児童への対応を求める方法

クラスで問題児童が頻繁にトラブルを起こす、問題児童からいじめ・嫌がらせを受けている、担任が問題児童をコントロールできていない……。クラスの問題児童が原因で、学校に行くのが精神的に負担だというケースは少なくありません。

このような場合、周囲の児童は、泣き寝入りするのだけではなく、学校に対して毅然とした対応を求めていくことが必要です。

それでは、学校へはどのようにして対応を求めていけば良いのか、以下、お伝えします。

「いじめ」として取り扱うよう求める

いじめ防止対策推進法において、学校は、いじめの相談・通報を受ければ、必ず、いじめの有無について調査しなければならず、いじめがあるときには、いじめを解消しなければならないと定められています。そして、この法律では、他人に精神的苦痛を与える行為はいじめに当たるとされています。

そのため、問題児童に対応する法的義務を学校に負わせるためには、問題児童の行為が「いじめ」に当たるとして、相談・通報することが効果的です。

日時・場所・被害者・目撃者を詳細に伝える

学校が行う調査は、目撃者へのヒアリングが中心となります。勇気を出して相談・通報したにもかかわらず、「調査したけれども事実は認められませんでした」という結果になることを回避するために、以下のことを心がけましょう。

いじめの相談・通報は、自分が被害を受けたものだけでなく、他人が被害を受けているものについても行うことが可能です。そのため、いじめを学校に相談・通報するに当たっては、目撃したものや見聞きしたものも含めて、より多くを学校に情報提供するべきです。

また、事情聴取を円滑に進めてもらうために、学校に対しては、いじめが行われた日時・場所・被害者・目撃者等を、できる限り具体的かつ詳細に伝えることが望まれます。

上記を踏まえると、Aさんのケースでも、録音や録画はないとのことですが、その代わりに、問題児童の行為の日時・場所・被害者・目撃者等を具体的・詳細に記載したメモや一覧表を提出することができれば、学校による対応を十分期待することができると考えられます。

問題児童が原因で学級崩壊しているときの対処法

学校に問題児童への対応を求めるという方法は、真正面から立ち向かう正攻法であるといえます。

他方、周囲の児童からすれば、相談や通報を行ったことを問題児童やその親に知られて、恨まれたり、報復されたりするのではないかという心配もあることでしょう。

そこで、以下、他の選択肢もご紹介いたしますので、参考になさってください。

①担任の交代を求める

担任が問題児童をコントロールできていないということは、担任に学級運営を行う能力が不足しているとことが原因であると考えることもできます。こうした能力不足の教員に対しては、自治体によって異なりますが、研修を受講させたり、担任から外したりする運用がとられています。

そこで、学校や教育委員会に対して、担任の学級運営能力が不足していることを伝えて、担任の交代を求めていく方法が考えられます。

②見守り教員の配置を求める

教室の中に、担任以外の先生を追加で配置することを求めていく方法です。学校によっては、常時、校長先生が教室に入っているというケースも見受けられます。

このほか、自治体や学校によって名称は異なりますが、「サポーター」などといった制度を使って、定年退職した先生たちを教室に配置するということも少なからず行われています。

③クラス異動を求める

年度途中や学期が変わるタイミングで、問題児童とは別のクラスに異動させてほしいと求めることも考えられます。ただし、この方法については、ほとんど認められるケースがありませんので、実現する見込みは低い「ダメ元」と考えておくべきでしょう。

ただし、年度途中でのクラス異動が難しい場合でも、翌年以降は一緒のクラスにならないように配慮してほしいとの申入れは行っておくべきです。

なお、例えば夏休みを実家で過ごす場合には、その間、実家に住民票を移して別の学校への就学通知をもらい、夏休み終了前に住民票を戻して、再び元の学校への就学通知をもらうことになります。しかし、こうしたケースでは、偶然、2学期からは別のクラスに配置された、ということがあるかもしれません。

④警察や児童相談所等に通報する

上記のほか、他人の物を破壊する、学校の備品を破壊する、暴行を加えるなど、問題児童の行為が犯罪に当たるにもかかわらず、学校が警察や児童相談所等と連携していない場合には、周囲の児童から直接、警察や児童相談所に通報を行うことも考えられます。

田渕 大介

弁護士

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  • 2

    毎度この手の記事を見る度に思う、断言出来るが絶対無理だぞ>虐め防止 人間の選別も間引きもしない、文科駄教育の根本的改善をしないなら尚更。

  • 1

    なんかまだ学校は分かってないんだな。 記事にあるような行動をする問題児なるものは発達障害の1種なんだよ。違う。 こういう行動をする子供が普通の健常者のはずがないでしょ。 専門家がこの行動を観察していればわかるはずなんだがな。 知り合いでこういうのがあった。2人目が生まれて保健所の訪問検診を受けた。 そこで言われた。おにいちゃんはなんかおかしいですと。そのときお兄ちゃんは3歳未満であった。言葉は遅いようだったけど、それ以外の行動はおかしいところはなかったという。 保健師さんの薦めもあって専門家に診てもらったら。自閉症スペクトラムという診断だった。 学級崩壊を招くような子は多分親も認識してないはず。 学校は弁護士だ警察だと言ってないで、親に診察を進めるべきだ。 そう言う子を持つ親に限って、うちの子はそんなんじゃないと言い張るよ。

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