早期リタイア前とリタイア後の家計管理の違いとは?

早期リタイア前とリタイア後の家計管理の違いとは?

60歳定年の前に早期リタイアする場合、現役時代と早期リタイア後の家計管理のポイントの違いについて解説します。カギは生活費をどのようにダウンサイジングしていくかにあります。


■生活費をいきなり半減させるという考えはNG
読者のマネー相談に答える『マネープランクリニック』でも早期リタイアしたいという人が増えています。今回は早期リタイア前と早期リタイア後の家計管理のポイントの違いについて解説します。カギは生活費をどのようにダウンサイジングしていくかにあります。

早期リタイアを考えている人の大部分は、たとえば50歳までに○○円のお金を準備することを念頭に家計管理を含めた資産運用を行っているでしょうが、同じくらい大事なことが50歳という早期リタイアの年齢までに生活費をダウンサイジングしていくことなのです。


■一気に生活費を減らすことは難しい
この場合のダウンサイジングは毎月(毎年)の支出を減らしていくことになりますが、人はいきなり生活費を大きく減らすことに順応のです。中でも多いのが、現役(働いている)時代に収入も多く、かつ支出も多い人は要注意と言えるのです。

1ヵ月の生活費が50万円のAさん、同35万円のBさんがいたとします。共に50歳で早期リタイアを考えていえ、50歳時点の金融資産額は同額、早期リタイア後の1ヵ月の生活費は25万円を目指しているとしましょう。

Aさん、Bさん共にかなりの生活費を抑える必要がありますが、より大変のなのはAさんの方です。Aさんは早期リタイアするまでに50万円の支出を半額にするのですから、早期リタイア後は生活が一変するはずです。あれを買ってはダメ、これもダメ、楽しみのお酒もグレードを下げる、カード払いは控える等々、今まで普通に行っていたお金の使いかたが全てアウトになるのです。

早期リタイア後、数ヵ月は持つかもしれませんが、その後はダイエットのリバウンド(ストレスが溜り)のごとくお金を使ってしまいかねません。もちろん、Bさんにもそのリスクがないとは言い切れませんが、よりリスクが高いのはAさんなのです。

Aさんにならないためには、早期リタイア前から徐々に生活費を減らして行き、節約生活に慣れておく必要があるということです。Aさんが40歳だとすれば、以降3年間は生活費を5万円減額、次の3年間はさらに5万円減額、次の2年は7万円、次の2年で8万円というように減らしていくのです(極端な例ですがイメージを掴んでください)。


■住居費を減らすこと
Aさんのように極端ではないにしても、生活費を減らす鍵は固定費を少なくするのがポイントになります。たとえば住居費(住宅ローンや家賃)。早期リタイア後の生活費を少なくするなら、住居費を無くすことは大きな効果があります。お金を貯める(増やす)ことと並行して、住宅ローンを繰上返済をせっせと行い、できれば早期完済を目指すべきでしょう。

住居費を抑えるなら、マンションより一戸建ての方がベターでしょう。マンションの場合は、管理費や修繕積立金などが生涯発生するうえ、車や自転車を保有していれば、駐車場代もバカにならない出費となるのです。

一戸建ても修繕費等は発生しますが、自分のペースで修繕が出来ること、一時的にまとまったお金は出て行くが毎月の固定支出で出ていくことはない。駐車場代等がないことも月々の固定費を抑えることになります。

賃貸でも早期リタイアは可能ですが、家賃と言う固定支出が毎月出ていく分、早期リタイアまでに準備するお金が多くなってしまうのです(現役時代が大変)。賃貸の場合は、固定費を抑える意味で、家賃の少ないところ(物件)に住むのは言うまでもありません。

固定費の削減と言う意味では「車」を手放すことも効果が大きいのですが、公共交通機関が発達していない地域に住むと車がないと生活に支障をきたすことになりかねません。車保有の有無は生活スタイルに合わせて考えるべきです。維持コストが安い車を保有するのは言うまでもないことです。


■健康の維持もカギに。必ず国民健康保険への加入を
住居費同様、固定費の削減で大きいのが「生命保険」の見直しです。

見直しというよりも、金融資産額との見合いで生命保険(医療保険を含む)は解約か払い済み保険にすべきでしょう。ただし、早期リタイアを考えている人の早期リタイア後の生活を見聞きすると、健康に留意した生活を過ごそうと考えている人が少ないように感じられます。若いうちは健康に自信があったとしても、歳を重ねれば病院のお世話になることは誰しも増えていくのです。

健康を害することは変動費を増やしてしまうことに直結します。昨今話題の「下流老人」になるケースも健康を害してしまうケースが多いと聞きます。早期リタイア後のダウンサイジングのためには健康でいることも条件になるのです。

仮に多額の医療費を払ったとしても、早期リタイア後は所得が少ないですから、医療費控除などの税制上の恩恵を受けられるケースは少なくなります。

生命保険は基本不要(心配なら最低限の医療保険を確保)ですが、その分国民健康保険には必ず加入しましょう。加入しないと医療費は全額自己負担になってしまうのです。窓口での負担3割の権利は必ず得ると同時に、65歳以降に年金をしっかり受け取る(これも早期リタイアの準備)ために国民年金には必ず加入しましょう。早期リタイアを考えている人ほど、公的制度を上手く活用すべきなのです。
(文:深野 康彦)

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