カゴメの株主優待は本当にお得なのか?

カゴメの株主優待は本当にお得なのか?

カゴメはトマト加工品で国内60%以上のトップ企業です。同社は現在約19万人という業界圧倒的多数の個人株主を有します。そんな同社の株主優待は人気のある食品ですが、これが魅力的なのかに迫ってみます


■カゴメの株主優待は本当にお得なのか?
カゴメはトマト加工品で国内60%以上のトップシェアを誇り、業務用を中心に海外でもケチャップやトマト加工品で第3位の加工食品メーカーです。ケチャップや野菜生活100などのジュースを主力とし、生鮮トマトやサラダパックなども展開しています。

同社は1998年から「ファン株主づくり」に取り組み、「社長と語る会」という個人株主と対話する機会を設けながら、個人株主数を増やしてきました。そして2001年に掲げた「ファン株主10万人構想」を2005年に達成し、現在約19万人という業界圧倒的多数の個人株主を有します。個人株主比率は99.6%となっており、個人株主による株価下支え効果もあると思います。

個人株主にとっての魅力の1つは同社の株主優待だと思います。実質利回りは低いものの、やはり食品の株主優待は人気があります。そこで今回はカゴメの株主優待が魅力的なのかどうかについて検証してみたいと思います。

【銘柄名】カゴメ
【市場:コード】東証1部
【予想配当+予想優待額面利回り】:1.5%
【2017年10月12日株価】3695円
【株主優待獲得最低投資額】 100株=36万9500円
【今期予想現金配当(1株あたり)】 34円
【株主優待権利確定月】 6月末、12月末
【優待内容】自社製品
100株以上・・1000円相当
1000株以上・・3000円相当


■トマト市場をゼロから切り拓いたトマト加工の国内最大手企業
トマト加工品を主力とする国内最大手企業で、飲料・食品・調味料・生鮮野菜を展開しています。主力製品に、「野菜生活100」「カゴメトマトケチャップ」「カゴメトマトジュース」など。農事業も展開しており「高リコピントマト」やパック野菜などが人気で成長しています。グローバルでも、業務用を中心にトップクラスで、デルモンテやハインツと肩を並べています。

同社はトマトケチャップや野菜ジュースのトップメーカーであることはよく知られていますが、生鮮野菜も「高リコピントマト」などの生鮮トマトを中心に、新たな事業柱として成長しています。農事業として生鮮野菜に乗り出したのは1998年の事ですが、実は元を辿れば1899年まで遡ります。

今でこそケチャップや野菜ジュースのトップメーカーとして君臨していますが、そもそもは農業を出発点としています。創業者の蟹江一太郎氏は農家の生まれで、軍隊在籍時上官に「これからの日本の農業は米だけでなく野菜も作るべきだ」とアドバイスを受けます。そして当時軍隊で使われ始めていた西洋野菜の栽培を勧められ、1899年に西洋野菜の栽培に着手します。

1900年頃において西洋野菜は珍しいこともあってキャベツや白菜、玉ねぎなどは良く売れました。ところがトマトだけは売残り(当時はただ青臭くすっぱかったようです)、廃棄処分にしたり腐っていくだけでした。3年も売れない状況が続いたわけですが、「トマトは欧米ではソースとして使われる」という情報を得て、国産初のトマトケチャップの製造に辿りついたのでした。

こうして野菜を作って行商に出て売る農家から、加工品を作って販売する企業へと進化したわけです(蟹江一太郎氏は、「日本のトマト加工産業の父」や「トマト王」との異名を持ちます。)

このように農業をルーツとしている同社が農事業を展開することは、ごく自然な流れだったのではないでしょうか。生鮮トマトは1999年に販売開始され、「高リコピントマト」などの高付加価値製品が投入されると健康志向を追い風に現在販売を伸ばしているところです。2016年度の高リコピントマトの売上は2010年度比5倍となる35億円でした。また同社では、生鮮野菜は一年を通して美味しさを食卓に届けなければならない、いう使命の下、全国14ヶ所の大型菜園と約40ヶ所の契約菜園を持って安定供給されています。

トマトの加工にもこだわりがあって、収穫から24時間以内に処理しています。全国にトマトの契約農家や出資する農業法人のハイテク菜園との一体的で継続的な関係性を築けているからこそ実現しているのでしょう。


■垂直統合型ビジネス〜種子から食卓までのワンストップ提供〜
このように農業から生産・加工・販売と一貫したバリューチェーンを持つ同社。世界でも他に類をみない「垂直統合型」のビジネスモデルを構築しています。種子から土づくり、栽培、収穫、製造、そして最終商品に至るまでをワンストップで担っています。つまり、トマトジュース用のトマト、ソース用のトマト、煮込み料理用のトマトというように、種子や土から、作る商品に合ったトマトを作ることを可能としているのです。

世の中には8,000〜9,000種とも言われるトマトの種があると言われていますが、同社では約7,500種を保有しています。この遺伝資源を活用した品種改良や組織培養など、商品開発の力は大きな強みとなっています。


■足元の業績好調で、新しい成長も見込まれる。株主優待は魅力的に見える
「野菜生活100」シリーズが牽引する国内加工品事業を筆頭に、足元の業績は好調です。市場ニーズを捉えた商品「野菜生活100スムージー」の需要拡大に備える生産増強も、将来の業績に寄与することからも見通しは明るいです。海外でも業務用に加え生鮮トマトの販路拡大や、農事業における野菜パック、高機能野菜の展開も時代に乗っ取った商品展開で、販売増が見込まれます。

また、6月から開始した中国向け越境ECの取組みも、健康意識の高く、EC利用度の高い中国人需要に対応する事業展開として注目されるところです。

財務内容は良好で、自己資本比率が45.8%、有利子負債は530億4100万円ありますが、204億6500万年の手元資金により、ネット有利子負債自己資本比率は0.34倍で健全です。流動比率1.72倍、当座比率でも0.92倍と支払い能力は十分だと思います。

堅調な業績を背景に株価は堅調な上昇も期待できるところです。同社の株主優待は利回りは低いものの、多くの人に喜ばれる食品の株主優待であるところもあって、株主優待をもらいながらじっくり株価上昇を待てるという意味で魅力的に見えます。
(文:戸松 信博)

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