コロナ禍での「異常な株高」その天井はいつなのか?
2021年01月10日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL

2021年に入っても好調キープ(C)日刊ゲンダイ
【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#1
コロナ禍の「異常な株高」が話題になっている。毎日毎日、世界で1万人近くが正体不明のウイルスで死んでいるのに、株価だけが知らぬ顔して上がり続けているからだ。
では、これが「異常」なのかというと、そうでもないのだ。歴史的に見て、株価はずっと上がり続けてきた。米国のダウ指数を例にとれば、1972年に初めて1000ドル台に乗せ、それから48年後の2020年に3万ドルを突破した。実に30倍の上昇だ。もちろん、この間には暴落局面、調整局面もあった。だが、ブラックマンデー(1987年)、金融危機(1997年)、ITバブル崩壊(2000年前後)、リーマン・ショック(2008年)、そしてコロナショック(2020年)と、何度かの危機を乗り越え、右肩上がりを続けてきた。
なぜ、株価は上がり続けるのか。それは、大半の人がハッピーになるからだ。株をやらない人は上がろうが下がろうがどうでもいいだろうが、株が上がって損をすることはないし、株高で世の中の景気が刺激されれば、給料も増えるから悪い話ではない。そこで、政府は人気取りに株高を演出する。今回のような超低金利とカネ余り状態をつくるのだ。この人気取りを得意にしたのが、最近では、安倍自民党政権とトランプ政権。株上昇を支持率稼ぎに使ってきたといっていい。
では、逆に暴落や調整はどういう局面で起きるのか。いま株を買っている人、買おうと考えている人には一番の関心事だろう。
簡単にいえば、バブルが生まれ、それがはじけるときだ。順調な売買による緩やかな右肩上がりであれば、バブルも小さく、調整も小規模で済むが、これが超異常に膨れ上がると、こらえきれず大破裂を起こす。いい例が1980年代後半の日本のバブルだ。信じられないだろうが、あの時期、日本株の時価総額は、世界全体の時価総額のなんと40%を占めていた。まさに超異常なバブル。
こうしたバブルがいま生まれつつあるのか。近く“天井”はくるのか。それを次回から探っていきたい。
(丸)