シャープ社員実力主義に不満

シャープ、拡大路線へ転換=実力主義に不満も−鴻海傘下入り1年

 シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ってから12日で1年。業績は急回復し、縮小均衡から海外市場を中心とする拡大路線に転じた。だが社員の間には徹底した実力主義に対する不満もある。
 「私が大きく改善したと感じるのはコスト意識だ」。昨年8月に就任した鴻海出身の戴正呉社長は10日付の社員向けメッセージで社員の意識の変化を評価した。
 鴻海が買収する前のシャープは、液晶事業の不振で経営が傾き、2016年3月期に2559億円もの純損失を計上。債務超過に陥り、同社株は東証1部から2部に降格となった。だが17年3月期は本業のもうけを示す営業損益が3年ぶりの黒字に転じ、純損失は10分の1に縮小した。
 減収の中で営業黒字を実現できた原動力は、戴社長が主導したコストダウンだ。300万円以上の経費支出を社長自らが精査して、無駄な出費を減らした。
 戴社長が次に狙うのは海外事業の収益拡大だ。現状認識は「海外は不合格」と手厳しい。このため今月から自ら海外事業を統括する責任者を兼務した。既に欧州のテレビ市場に再参入したほか、夏休み中も東南アジアの拠点を訪問。12年ぶりの規模となる連結売上高3.25兆円を20年3月期に達成する目標を掲げて突き進む。
 一方、社内融和の実現は容易ではない。課題の一つは、信賞必罰の人事制度の浸透だ。業績への貢献度に応じて賞与(ボーナス)を差別化。最高8カ月分、最低1カ月分という差をつけた。
 同社が行った社員1万1000人のアンケート調査では、戴社長のスピード経営などへの評価が高かった半面、信賞必罰人事については約15%が納得していないと回答。理由の多くは「評価の公平性・納得性を高めてほしい」といったものだった。
 ある社員は戴社長について「徹底した成果主義で、厳しい人だ」と評する。戴社長は、社員への説明や面談を強化する考えだが、目指す鴻海流の浸透にはまだ時間がかかりそうだ。