インフレ時代に「グローバル・リート・ESGフォーカス」、シュローダーが新インフレヘッジ策を提案(下)

インフレ時代に「グローバル・リート・ESGフォーカス」、シュローダーが新インフレヘッジ策を提案(下)

シュローダー・インベストメント・マネジメント代表取締役社長の黒瀬憲昭氏(写真:右)に、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)が聞いた。

 英国ロンドンに本拠を置くシュローダー・インベストメント・マネジメントは、世界で最先端のESG(環境・社会・企業統治)基準を設ける欧州に立脚し、かつ、コロナ禍の克服に加えて、戦闘が続くウクライナ情勢とも真正面から向き合っている。コロナ禍とウクライナ紛争の長期化が、エネルギー価格や穀物価格を押し上げ、世界的に深刻なインフレ(物価上昇)をもたらした。そのために、世界の金融市場は大きな転換期を迎え、資産運用は非常に難しいかじ取りが求められるようになった。欧州の雄であるシュローダーは、この難しい時代をどのように見通しているのか? コロナ禍のさ中といえる2020年5月にシュローダー・インベストメント・マネジメントの代表取締役社長に就任した黒瀬憲昭氏(写真:右)に、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)が聞いた。(上・下の2回シリーズの2回目)

◆注目されるサステナブル投資

朝倉:2021年5月に「シュローダー・グローバル・リートESGフォーカス・ファンド」を設定されました。販売会社も増え、残高も順調にのびていますね。

黒瀬氏:おかげさまで2022年3月には販売会社が10社程度となり、純資産総額も200億円程度と、どんどん拡大している状況です。2021年のマーケットはグローバル株式一辺倒かと思ったら、実はリートの方がパフォーマンスが良かったということで、かなり純資産総額が拡大しました。

 2022年のテーマは、1月は「利上げ」でした。利上げ観測が出てくると、やはりリートは影響を受けます。ただ、1月は株式も、特にテクノロジー系が下落しました。2月のテーマは「戦争」ですね。2月24日にロシアがウクライナに侵攻したことで、株式市場も混乱して激しく乱高下しました。

 その後、3月からリートはパフォーマンスが回復しています。「シュローダー・グローバル・リートESGフォーカス・ファンド」の基準価額についても、1月は単月で8%ほど下げましたが、2月は単月で0.24%プラスと非常に値持ちがいい状況です。

 ファンドの主要投資対象ファンドは、欧州のESG投資に関連する開示規則である、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の中で最も厳しい第9条に該当しており、ESGに配慮した投資をしていることも評価していただいているのではないかと思います。

朝倉:リーマンショックからずっと異次元金融緩和が続いてきました。コロナ禍の2年間でいっそう異次元になって、まるでインデックス相場といえるほど、どの銘柄も上がるような状況でした。しかし、企業業績が良くなっていないのに株価だけが上がるのはおかしいということで、選別が行われるようになってきました。

 リートにも様々な種類があり、当然玉石混淆があると思います。その中でESGに配慮したリート、特に、E(環境)にフォーカスしたリートというのは価値が出てくるような気がしていますが、そういう見通しで大丈夫でしょうか?

黒瀬氏:もちろんです。例えば環境や社会に配慮した不動産だと証明するには、グリーンビルディングという認証があります。もし、シュローダーの日本オフィスを移転することになったら、移転先はグリーンビルディング認証を取得した物件にしたいと思っています。このような不動産選びの視点は、先進国に共通しています。

 そのためには、リートが保有している個別物件を、詳細に分析することが大切になってきます。「シュローダー・グローバル・リートESGフォーカス・ファンド」は、18万件もの個別物件の情報をデータベース化しているのです。

朝倉:18万件ですか。まさにビッグデータですね。

黒瀬氏:おっしゃるとおりです。リートが保有している個別物件を見ています。単にリートや不動産関連会社のパフォーマンスを見るだけではなく、保有している個別物件がESGの基準を満たしているのかまで確認しているのが、当ファンドのポイントのひとつです。

朝倉:個人の投資家がいちいち個別物件を見てまわることは不可能ですからね。日本国内でさえ無理ですし、海外の物件もあるわけですから。再生可能エネルギーを導入する住宅に補助が出たり、住宅ローンの金利が安くなるなど、住宅用不動産もどんどん環境配慮が進んでいます。ESGの観点で価値が上がる住宅が出てきて、それらをビッグデータを使って選別しているのがこのファンドなのですね。

黒瀬氏:そうです、選別投資がポイントです。財務データだけではなくて、個別物件まで見て非財務データまで確認します。日本を含む主要先進国が、2050年に向けて二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにするネットゼロを目指している中、ESG投資、特に環境に配慮された投資は、大きな潮流に乗っているといえます。

◆ESGの視点は長期の積立投資に合致

朝倉:「リサーチのシュローダー」と呼ばれるほどのリサーチ力があればこその商品ですね。日本の投資家、特に個人投資家にはリートは人気のある資産です。グローバルでしかもESGの観点を加味したリートというのは今までありませんでしたから、日本の投資家にとっては朗報ですね。

 ESGに取り組んでいる会社は長期的にサステナブルで、他の会社よりもアウトパフォームするという判断で投資されていると思います。半年や1年ですぐ結果が出るわけではありません。ですから、私がよく提言している長期・積立・分散がやはりおすすめですね。特に若い方は積立投資で購入されるのがいいと思います。まとまったお金がなくても、今は少額でも積み立てできますから。

黒瀬氏:まさに積立投資にも適した商品だと思います。リートはインカムゲイン(配当収入)もキャピタルゲイン(値上がり益)も狙えます。その辺をバランスよく配分したのが、弊社の商品です。ぜひ長期投資で考えていただければと思います。

朝倉:このファンドは「資産成長型」と「予想分配金提示型」という二つのタイプがありますね。資産成長して伸ばしていくには「資産成長型」、ご年配の方など定期的に分配金が欲しい方は安定したインカムの中から分配金を受け取ることができる「予想分配金提示型」が良さそうですね。

黒瀬氏:そのように使い分けていただければと思います。「予想分配金提示型」は無理に分配金をお支払いすることにはなりません。基準価額が上昇した分からだけの分配ですので、そういった点でも現代の投資のあり方に即しています。

朝倉:ニューノーマル(新常態)の時代で、資産運用もなかなか困難です。もし日本で預金金利がさほど上がらず、物価だけがどんどん上がると、預金は目減りし購買力が落ちてしまいます。ですから、何かしら投資をしていく必要があります。そんな中で良い商品を立ち上げていただきました。このファンドは、ポートフォリオの一部として組み入れていただくのがいいでしょうか。

黒瀬氏:これだけを単品で投資するよりも、ポートフォリオの中に組み込んでいただくのがいいかなと思います。インフレは長期化しそうですから、不動産という実物資産に投資するのは、インフレヘッジできるという強みがあります。

 不動産は、日本だと借り手優位ですが、米国や他のアジアの国は異なるのです。貸し手優位なので、インフレの状況下では家賃を毎年上げることができる、プライシングパワー(価格決定力)があるのがこの不動産セクターです。非常に時代にマッチした商品だと考えています。

朝倉:最後に投資家の方にメッセージをぜひお願いします。

黒瀬氏:今後のマーケットを考えると、インフレの長期化が一つの大きな流れだと思います。本日の対談の中でも何度か申し上げたとおり、リートはインフレヘッジとして活用できます。不動産はプライシングパワー(価格決定力)があるという点でも面白い資産だと思います。

 脱炭素社会に向けて、ESGのコンセプト、特に、E(環境)が大きなトレンドになっています。そこを捉えて投資を行うのが、「シュローダー・グローバル・リートESGフォーカス・ファンド」です。ぜひご注目いただきたいと思います。ちなみに、個人的にもこのファンドに投資しています。

朝倉:投資家と同じ船に乗るという決意表明ですね。ぜひ引き続き、投資家の皆さんのために頑張っていただきたいと思います。(おわり)(情報提供:モーニングスター社)

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