ドル/円は上値が重く、ユーロ/ドルの三役好転に注目=外為どっとコム総研

ドル/円は上値が重く、ユーロ/ドルの三役好転に注目=外為どっとコム総研

ドル/円の上値が重い展開が続いている。外為どっとコム総研のシニアテクニカルアナリスト川畑琢也氏(写真)は、「トランプ政権がしっかりしなければ、日米の金利差でドルを買うという動きにも力が入らない」と当面はドルが弱い展開が続きそうだと予想する。

 ドル/円の上値が重い展開が続いている。外為どっとコム総研のシニアテクニカルアナリスト川畑琢也氏(写真)は、「トランプ政権の政策実行能力への失望がドルの頭を押さえる展開になっている。トランプ政権がしっかりしなければ、日米の金利差でドルを買うという動きにも力が入らない」と当面はドルが弱い展開が続きそうだと予想する。半面、ユーロ/ドルは三役好転で力強い展開になりそうだという。川畑氏に聞いた当面の為替市場見通しは以下の通り。

 ――ドル/円の見通しは?

 シカゴのIMM通貨先物ポジションの建玉をみると、投機筋の円ショートが昨年4月以来の水準に拡大するも、ドル/円相場は114円台半ばで失速。直近では円ショートが減少しており、ドルの上値トライに失敗したことによる失望が見て取れる。当面は、ドルの上値が重い展開になりそうだ。

 これは、ドル/円の月足が雲の中に入り込んできていることからも、テクニカル的にも上値が重くなる展開を示唆している。また、週足は今年4月、6月の安値でサポートラインになった52週線に接近しており、110円近辺にある52週線が下値支持となるかどうかが試されている。ここを割れると、108円台前半が射程にはいってくるだろう。

 ドル/円だけではなく、ユーロ/ドルなどでもドル安は進んでおり、ここへきての動きは「円高」というよりも「ドル安」の流れといえる。ドルに問題がある。トランプ政権の政策実行能力への不安が背景にあると考えられる。オバマケアの廃止で躓き、ロシアゲート疑惑が払しょくできないなど、トランプ政権で期待されたインフラ投資や減税などが一向に具体化する方向が見えてこない。この失望感がドルの重石になっている。

 一方、円サイドにはインフレ率が目標とする2%に届かないなど、円が材料になる状況にはなりにくい。緩和縮小を材料にしたドル主体の動きであることは間違いがないのだが、年内にもう一段の利上げを実施するという機運が高まってドルを買い上げようにも、トランプ政権がしっかりしないと力が入らないだろう。

 現在のところ、ドル売りの要因が多い状況が続いているため、当面はドルの上値が重い展開が続きそうだ。向こう3カ月程度では1ドル=108円〜114円の半ば、1カ月程度であれば、109.30円〜112円台前半の動きになりそうだ。大きく崩れることはないだろうが、ジワジワと下値を切り下げるような展開が予想される。

 ――豪ドル/円が強いが、今後の見通しは?

 商品市況が持ち直していることが、豪ドル堅調の背景にある。オーストラリアの景況感に直接影響する鉄鉱石の市況も持ち直していることが追い風になっている。このことによって、これまで豪ドルの頭を押さえてきた豪中銀の緩和観測が後退してきている。

 ただ、金融引き締めに転じるほどには、インフレ率が高まってきていない。豪中銀は2%〜3%のインフレ目標を持っているが、現状は1.8%程度にとどまるため、早期の金融引き締めが期待できる状況にはない。

 ただ、売り材料がなくなり、米国株価が史上最高値を更新し続けるなど、リスクオンの流れになってきているため、豪ドルが買われやすい環境になってきた。

 シカゴIMM通貨先物ポジションが豪ドルロングで6万枚レベルに積み上がってきている。何かのきっかけで急にショートに転じることもある非常に足の速いポジションだが、豪ドル/米ドルで上値の抵抗ラインになっていた0.775ドルを抜けてきたため、0.8ドル台で値固めができるものであれば、豪ドルのロングも10万枚前後まで積み増しの余地もありそうだ。先高感が高まっている。

 テクニカル的にも日足・週足で三役好転が点灯しており、上昇トレンドが確認できる。現状は、月足の一目均衡表の雲の下限と、1豪ドル=102.837円の高値から74.532円までの下げの2分の1戻しである88.685円が重なっている重要なポイントにある。この水準を抜ければ、下げの61.8%戻しである92.024円をめざす展開と考えられる。

 下値は、週足の基準線と転換線がほぼ重なっている85円台半ばで切り返せば強い基調が維持される。すでに今年2月の高値を突破して上値余地が拡大している上昇トレンドと考えられるので、向こう3カ月程度の動きは、1豪ドル=85円半ばから92円前半を予想する。

 ――その他、注目の通貨ペアは?

 ユーロが強い。年初に予想された1ユーロ=1.0ドルのパリティに向かっていたユーロ安トレンドは、完全に反転したといえる。チャートも日足・週足で三役好転が点灯し、ユーロの力強い上場が続きそうだ。

 現在のユーロ買いの材料になっているECBの緩和縮小は、9月7日の理事会で明らかになる可能性が高まっている。その前に、8月24日〜26日のジャクソンホール会議でドラギ総裁が地ならしのような発言をするのではないかと期待されており、その期待感から当面はユーロが買われやすい展開といえる。

 シカゴのIMMポジションもユーロのロングが2011年5月の水準にまで積み上がっている。ユーロ/ドルも15年8月高値を突破する非常に強い相場だ。

 ユーロ/ドルは、14年5月の1.399ドルの高値から今年1月の安値1.033ドルまで長期にわたる下落相場からの反転という大きな潮流の変化を感じさせる動きになっている。すでに下げの38.2%戻しにタッチする水準まで戻ってきたため、当面は2分の1戻しである1.21ドルを目指す動きになるだろう。

 3カ月くらいの期間を見れば、1ユーロ=1.2ドル乗せもあり得るとみている。下値は1.14ドルの半ばだ。

 現在、市場では「緩和縮小」がキーワードになる。ドルがトランプ懸念で足踏みをする中、ユーロやカナダドル、メキシコペソなどが緩和縮小で注目され、その中で、もっとも波に乗っているのは、ユーロ/ドルだ。反対に、乗り遅れているのが日本円であり、売られやすい展開になっている。

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