ひそかな金大国−ドイツについて

ひそかな金大国−ドイツについて

筆者は、かつて何度かドイツを旅したことがあります。フランクフルトから40分〜50分ほど電車で東に行ったところにシュタイナウという小さな町があります。(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:123RF)

■ドイツとグリム童話と金

 筆者は、かつて何度かドイツを旅したことがあります。フランクフルトから40分〜50分ほど電車で東に行ったところにシュタイナウという小さな町があります。その町は、グリム兄弟が幼少のころ育った町ということで、育った家や馬小屋を改築して作られた人形劇の劇場がありました。そこでは、グリム童話が演じられていました。

 そのグリム兄弟が書いたグリム童話には、「金」を題材にしたものがいくつかあります。「漁師とおかみ」、「金のかぎ」、「黄金のがちょう」など。なぜグリム兄弟が金を題材にした童話をいくつも創作したのか興味の尽きないところです。富の象徴としての金と人間の欲望と正直さなどの描写、神の世界との関係、こうしたものを表現しようとしたのかもしれません。

 さて、こうした金にまつわる知的遺産があるドイツ。本日はドイツにおける金事情についてみてみたいと思います。実は、ドイツはひそかな金の大国として存在している、といってよいと思いわれます。ここでは、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の資料を手掛かりに概観したいと思います。

■ドイツの金事情

 まず、あげなければならないのは、各国の中央銀行の金保有ランキングでは、ドイツは米国に次ぐ第2位の地位にあるということです。

 一方、ドイツでは個人投資の部門でこの10年金の購入が大きく伸びました。それまでは、市場はさほど大きくなかったといいます。2008年のリーマンショックに端を発した金融危機、その後の金融緩和をきっかけに、ドイツの機関投資家、市民は銀行への信頼が揺らぐ中、リスクを回避するため金購入に目覚めます。この動きの中で、新規参入業者や金関連商品なども増えました。金融危機に先んじて、銀行が金の取り扱いから撤退した時期があり、その後起業した新規事業者がこの恩恵にあずかりました。

 ドイツでは、ETC(Exchange−trade Commodities)というコモディティの現物あるいは先物指数と連動した投資信託が人気とのことです。税制上有利な点が加わったこともその伸びを後押ししているようです。このような動きもあり、2016年には、この10年で金への投資需要は最高を記録しています。

 WGCによれば、2016年における一人当たり金需要は世界の中で第1位、そのあとにトルコ、中国、米国、英国と続きます。また、ドイツにおける個人の投資における商品別人気度では、金は、貯蓄、保険、株式に次いで投資信託と並び4番目にランクインされているとのことです。今後、さらに、金地金、コイン、及び、ETCの販売が伸びると予測されています。

■金大国ドイツ

 このように、欧州における経済大国ドイツでは、金需要が引き続き伸びているようです。

 今後さらなる伸びが予想されているようですが、欧州の地政学的リスクなどが今後どのような影響を与えるかも考慮しなければならないでしょう。それによっては伸びがさらに上振れするかもしれません。

 欧州といえば、金といえば、スイスなどが思い浮かびますが、ドイツもひそかに金保有大国として存在しています。世界的に影響を与える中国、インドと並んで注目すべき国であるといえるでしょう。


(注)参考資料:ワールド・ゴールド・カウンシル「Market Update Germany’s golden decade (5th October, 2017)」(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:123RF)

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