株式投資型クラウドファンディングの魅力=SBIエクイティクラウドの第1号案件に見る成長の軌跡

株式投資型クラウドファンディングの魅力=SBIエクイティクラウドの第1号案件に見る成長の軌跡

ワンテラス代表取締役の石中達也氏(写真:左)と、SBIエクイティクラウドの代表取締役社長の紫牟田慶輝氏(写真:右)が対談し、資金調達後の事業の進捗と株式投資型クラウドファンディングの可能性について語り合った。

 株式投資型クラウドファンディング(ECF)のプラットフォーム「GEMSEE」を運営するSBIエクイティクラウドは、2020年3月に第1号案件の募集取扱を完了した。第1号案件は、グローバル人材ビジネスを手掛けるOne Terrace(ワンテラス)社。SBIエクイティクラウドでは、現在、同社の事業発展に向けたサポートに注力している。そのワンテラス代表取締役の石中達也氏(写真:左)と、SBIエクイティクラウドの代表取締役社長の紫牟田慶輝氏(写真:右)が対談し、資金調達後の事業の進捗とECFの可能性について語り合った。

紫牟田 石中さんとは、昨年の秋に東京都の「シードアクセラレーションプログラム」で出会って以来、約1年間が経ちました。当時、私は「GEMSEE」での株式募集第1号案件を探す中で、当社がめざす「テクノロジーや新しいビジネスモデルの力で社会課題の解決をめざす企業を支援する」という理念に適う事業者を探していたのですが、石中さん率いるワンテラスのメンバーと出会ったことで、道が開かれたように感じたことを覚えています。

石中 当社は日本企業と外国人就労希望者をつなぐため、海外から直接日本へ就労できるようなクロスボーダーな紹介事業に始まり、その後の就労ビザの取得、日本語コミュニケーションや生活文化の違いなど、日本企業が外国人を雇い入れることによって生じる様々な課題を解決する支援を行うため、2017年2月に創業しました。少子高齢化によって日本の人手不足が深刻になる中、これからは外国人が日本で活躍する場を広く用意することが重要になります。それは国も政策的に後押ししています。特に、地方の製造業などでは、優秀な人材が都会に出てしまい、事業の担い手がいないという深刻な課題を抱えています。一方、ベトナムやミャンマー、インドなどのアジア諸国では、日本で働きたいと考える若者がたくさんいます。この若者たちを日本に招き、働き甲斐のある職場で活躍してもらいたいと思っています。

紫牟田 石中さんから事業を通じて解決したい課題について、ご自身の東南アジア駐在時の経験を基にお話頂いたのが非常に印象的で、事業にかける熱い思いと行動力にも惹かれるものがありました。これは個人投資家の皆様からも共感と支援が得られると確信し、第1号案件候補としてアプローチさせて頂いておりました。ただ、当時は他からも資金調達支援の話もあったと思いますが、私たちを選ぶ決め手は何だったのでしょうか?

石中 当社は社会的な課題を解決する事業を行っている為、世の中から私たちの描く未来について広く応援頂きたく思っておりました。その中で、紫牟田さんからのご提案は、単なる資金調達の支援だけでなく、私たちの希望に合致していたこと、また様々な事業支援策についてもアイデアを持っておられたことが決め手でした。将来は株式を上場したいという夢もあります。まだ漠然とした夢だったのですが、紫牟田さんをはじめSBIエクイティクラウドの方から、上場を見据えた経営組織づくりについても具体的なアドバイスがありました。その話を踏まえて、上場企業の経営経験もある、カッパ・クリエイトの元社長であった徳山桂一氏を経営陣に迎え入れました。

 また、今後の経営戦略についても、いろんな角度からアドバイスをいただき、SBIグループからの紹介で地方銀行と提携できたことは、今後の事業戦略を考える上では大きなステップだったと思います。私たちは地方の企業の支援を柱としてビジネス展開をしていますので、SBIグループの地方創生の考えは非常に相性が良いと感じました。

 そして、株式投資型クラウドファンディングを利用して良かったと思ったことは、株主が89人も増えて、株主との対話が生まれたことです。先日、新しい株主も加わった株主総会を開催したのですが、Web会議システムを使ったハイブリッド型の運営としたことで、全国から参加していただいて様々なご意見をいただきました。株主の方々は、出資していただいているので、質問や意見が真剣です。まだ少人数で運営している会社ですから、多くの方々の意見を直接聞くことができるのは、非常に良い経験でした。多くの株主を迎え入れることが、ECFの意義というか、魅力なのだと実感しました。

紫牟田 調達した資金は、どのように活かされていますか?

石中 Webプラットフォームをリニューアルしました。従来は、主として就労ビザの取得支援を簡便に行うことに力点を置いていたのですが、お取引先と対話をしていくと、就労の受入れのところよりも、むしろ、受入れ後の定着に課題を感じている企業が少なくないことが分かっていました。リニューアルしたプラットフォーム「Work Visa」では、外国人採用に関する情報収集や就労ビザの取得支援に加えて、日本語教育コンテンツ、研修支援、その他専門家からのアドバイス機能など、外国人を受け入れて働き続けてもらうための、様々な課題解決に役立つ機能が付加されました。

 特に、開発期間がコロナの非常事態宣言と重なったため、Web会議システムなど最新のテクノロジーを大きく取り入れてDX(デジタルトランスフォーメーション)対応型になりました。このプラットフォームに変えたことで、外国人の採用経験がない企業でも安心して、外国人を採用できるようになったと思います。システムの利用は、無料でできますので、是非多くの企業の採用担当の方々に試していただきたいと思います。

紫牟田 今後の展望は?

石中 これまでは、人手不足に悩む企業に、外国人人材を紹介するというビジネスでしたが、今後は、外国人がより活躍してもらえる環境づくり、また、企業が一段と成長するために、データサイエンティストなど、技術力のある外国籍社員の活用に関するコンサルティングなどを深掘りしていきたいと考えています。

 当社が紹介する外国人就労者は、主に高度専門職のような専門的・技術的分野に該当する方々です。たとえば、機械加工会社の岡山のリサーチセンターに、インド人技術者を紹介したのですが、インドのシリコンバレーといわれるバンガロールでグローバル企業のR&Dセンターで働いていた研究者です。この研究者の方の知見を注入することで、国内で培ってきた技術力をグローバル水準に押し上げ、イノベーションを加速することができると思っています。このインド人研究者は、拠点をバンガロールから岡山に移しても、何ら不自由を感じていないそうです。現在のDX環境は、最先端の開発技術者でも働く場所を選ばないのです。

 また、外国人人材を採用したことがきっかけとなって、海外に設計拠点や研究所をつくるという話が具体的に動き出した企業もあります。海外からハイスペックな人材を採用することによって、企業の成長にドライブがかかるということがあります。

 特に、地方銀行との提携は、様々な案件が動き出しています。地方銀行にとっては、地元の企業が外国人を採用することで、見違えるように活性化した事例などを紹介すると、お取引先の実情と照らし合わせて、大きな可能性を感じられるようです。現在は、コロナ禍にあって企業を守ることが先決というところもあるでしょうが、今だからこそ、優秀な人材が取りやすいことも事実です。是非、これからの事業戦略の中に、外国人の採用というオプションを付け加えていただきたいと思います。

紫牟田 石中さんとは出会って、まだ1年足らずですが、この間に非常に密度の濃いお付き合いをさせていただいたように思います。ワンテラス様の事業戦略は、1年前とは比較にならないほどの迫力が感じられるようになってきました。今後のさらなるステップアップを期待していますし、当社としても引き続きご支援していきたいと思います。

 「GEMSEE」では、創業年数に限らず幅広く社会課題解決、変革に挑戦する事業者を見出し、新たな投資と支援の機会を提供してまいります。「GEMSEE」からの新たな情報発信に注目していただきたいと思います。

関連記事(外部サイト)