7月は変動幅の少ない「様子見」相場となるか? 外為オンライン佐藤正和氏

7月は変動幅の少ない「様子見」相場となるか? 外為オンライン佐藤正和氏

いよいよ東京五輪が7月23日にスタートするが、オリンピック期間中は、どんな相場展開になるのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に7月の為替相場の動向をうかがった。 

 コロナ禍による景気低迷からの回復が、ワクチン接種が進んだ先進国を中心に見え始めてきた。とりわけ米国の景気回復は急速に進んでおり、金融市場は「テーパリング(緩和縮小)」に警戒する動きが顕著になっている。その一方で、オーストラリア、イスラエル、英国と相次いで新規感染者数が増え続けるなど、変異種による新型コロナウイルスの影響が大きく、そう簡単にパンデミックが収束するものでもないことを示している。そんな中で、いよいよ東京五輪が7月23日にスタートするが、オリンピック期間中は、どんな相場展開になるのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に7月の為替相場の動向をうかがった。 

 ――6月は乱高下の激しい市場でしたが、7月はどんな市場になるのでしょうか? 

 6月は、FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期を巡って、ブラード・セントルイス連銀総裁の発言によって世界中の株式市場などが大きく下落しました。ところがその後、市場は再び「リスクオン」に戻り、ナスダックやS&P500が史上最高値を更新するなど、値動きの激しい相場が続きました。

 FRBがいずれ資産購入を少なくするテーパリングに踏み切ることは間違いありませんが、金融マーケットはその時期が見えずに、様々な思惑が錯綜している状況といっていいでしょう。「ドル」も買われたかと思えば、また売られるなど、細かなニュースに左右される状況が続いています。

 確かにインフレは、6月の「消費者信頼感指数」の数値が市場予想「119」のところ「127.3」と大きく上回り、5月の指数も「117.2」から「120.0」に上方修正されました。カリフォルニアやニューヨークといった大きな州での経済再開が本格化しており、経済全体に楽観的な見通しが広がってきたためといっていいでしょう。

 ――インフレ圧力は一時的、雇用市場の回復には時間がかかる、という見方が大勢ですが・・・?

 米国の平均的な住宅価格の推移を示す代表的な指数である「ケースシラー住宅指数」では、統計開始以来30年で最大の伸びを示し、4月の価格指数は米20都市で前年同月比「14.9%」も上昇しました。全米ベースでも同「14.6%」上昇。統計開始以来、最大の上昇となっています。木材価格の上昇という要素もありますが、インフレ圧力は確かに強いと言っていいかもしれません。

 その一方で、4月、5月と弱かった雇用統計ですが、今週末の7月2日に発表される6月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数が予想では70万人の増加となっています。周知のように、4月や5月は逆に予想よりも大きく減少してしまいました。

 この背景には失業給付金の存在があり、給付金を受け取り終えてから働き始めようと言う人が多く、給付金の支給が続いている現在、雇用市場の回復は望めないかもしれません。ただ早い州では、すでに失業給付金の給付が終わり、遅くとも9月にはすべての州で給付金の支給が終わるとも言われており、給付金頼みの人々も一斉に仕事に復帰するのではないかと言われています。もともと人手不足の状況ですから、雇用市場の回復は早いかもしれません。

 ――7月は東京五輪がスタートしますが、7月のイベントで注意する点は?
 
 東京五輪が行われることはもはや疑う余地はありませんが、問題はその時期の感染状況だと思います。緊急事態宣言が発令されているような状況下での開催では、無観客開催になってしまい、景気回復の助けになるのは難しいかもしれません。日本のワクチン接種状況が進んでいないことを考えると、少なくとも東京五輪の開催が為替相場に影響を及ぼすことは考えにくいと思います。

 東京五輪以外では、FRBによるテーパリングがいつになるのか、その判断が為替市場や株式市場にとっては大きな焦点になると思われます。たとえば、7月27日―28日に行われる「FOMC(連邦公開市場委員会)」で何が語られるかが注目されます。

 投資家の一部には、7月のFOMCでテーパリングの示唆があり、8月に行われる経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、パウエル議長が講演で明らかにするのでは・・・、というシナリオも流れています。個人的には時期尚早と考えますが、注目はしておきたいものです。

 ――7月の各通貨の予想レンジは? 

  このところずっとドル円相場は「1ドル=110円」前後のレンジが続いています。おそらく7月も割と狭いレンジを動くのではないかと思われます。オリンピックや米国のテーパリングの時期といった市場のテーマはあるものの、複雑な状況が絡み合って動きにくいマーケットと言えるかもしれません。たとえば、ドル円は2円程度の変動幅と考えています。7月の予想レンジは次の通りです。

●ドル円・・1ドル=109円50銭−111円 50銭
●ユーロ円・・1ユーロ=130円−133円 
●ユーロドル・・1ユーロ=1.17ドル−1.21ドル 
●英国ポンド円・・1ポンド=151円−155円 
●豪ドル円・・1豪ドル=82円−85円 

 ――7月相場で注意する点を教えてください。 

 株式市場がこのところ好調とは言え、いつまで続くのかは不透明なところです。また金市場が大きく下げていますが、ともに本来は米国の長期金利と密接な関係があります。米国の長期金利が年1.6%〜1.65%程度にならないと、金融市場は先行きに不透明感が広がり、不安定な動きになるのかもしれません。

 為替市場も、現在の1.47%レベルの長期金利では、なかなかドル買いに進んでいきません。やはり米国の長期金利が金融マーケット全体に大きな影響力を持っていると考えていいと思います。

 7月相場全体で言えば、変動幅の少ないマーケットが続くのではないかと思います。長期金利の動向に注目しながら、こまめな売買でリスクを抑えていくトレードが良いのかもしれません。(文責:モーニングスター編集部)。

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