オミクロン変異株で2022年はどうなる? 外為オンライン・佐藤正和氏

オミクロン変異株で2022年はどうなる? 外為オンライン・佐藤正和氏

2022年はどんな金融マーケットになるのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に1月の相場観、そして新年=2022年のマーケット全体の見通しを伺った。

 新型コロナウィルスの変異株「オミクロン」が世界中で猛威をふるっている。クリスマスを挟んで、欧米諸国で過去最高の感染者数を記録するなど、2022年もまた新型コロナに振り回されそうな予感がする人も多いはずだ。その一方で、ここに来てまたもや米国株が最高値を更新するなど、金融マーケットは堅調な動きを見せている。新たな年を迎える1月は、どんな為替相場になるのか。そして、2022年はどんな金融マーケットになるのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に1月の相場観、そして新年=2022年のマーケット全体の見通しを伺った。

 ――オミクロン株が猛威をふるっていますが、為替市場への影響は?

 オミクロン株の感染拡大が世界中で広がっています。米国では12月23日に27万人を超える新規感染者数が出ており、ニューヨークでも過去最多となる4万9708人の新規感染者が確認されています。オーストラリアでは初めて1日の感染者数が1万人を超えおり、中国など一部ではロックダウンも実施されています。

 とはいえ、オミクロン株の感染者が入院に至る確率は、デルタ株に比べて50〜70%低い、というデータが「英保険安全保障庁(UKHSA)」から発表されるなど、オミクロン株がこれまでの新型コロナウイルスに比べて、重症化のリスクが低いことが徐々にわかってきています。

 さらに、ファイザー製の「パクスロビド」やメルク製の「モルヌピラビル」といった「経口薬」が、アメリカで緊急使用許可を与えられるなど、徐々に治療体制が整ってきており、オミクロン株による影響は限定的になると考えられています。そう考えると、為替市場を始めとして株式市場や債券市場に、深刻な影響を与えることは考えにくい状態と言えます。

 ――米国株が史上最高値をまた更新していますが、今後も続くのでしようか? 
 
 2021年を振り返ったときに、印象に残っていることのひとつに米国株の好調さがあります。クリスマス明けの12月27日も、ニューヨークダウは3万6000ドルの大台を回復し、S&P500は最高値を更新しました。S&P500は、2021年の1年間で「69回」も最高値を更新しているそうです。大雑把に言って3〜4日に1度は最高値を更新してきたような勢いで、今後もこの状況はしばらく続きそうな情勢です。

 とは言え、すでに米国の中央銀行に当たる「FRB(米連邦準備制度理事会)」は、来年3回の利上げを決めており、来年2月でテーパリング(資産購入縮小)を終えるとすれば、早ければ3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)から利上げが開始されるのではないかとさえ言われています。

 そんな状況の中で、今後も株式市場が今年のように好調に推移して行くかどうかはやや疑問が残ります。すでに、市場の予想を裏切って英国が年内利上げを実施し、カナダやニュージーランドも利上げを実行しました。ニュージーランドはすでに2回も利上げを実施しています。年が明けたからといって、すぐに株式市場のトレンドに変化があるとは思えませんが、今後長い目で見ると金利引き上げの影響が徐々に出てくるのではないでしょうか。

 ――1月相場のポイントはどこになるのでしょうか?

 年明け早々の動きとしては、1月7日にある米雇用統計が気になるところです。非農業部門雇用者数は、11月の21万人増から、12月は40万人増と予想されています。失業率も前回の4.2%から4.1%にさらに改善すると予想されており、景気回復の勢いが雇用市場にも波及していることが分かります。

 米国の景気がこれだけ強いことを示しているわけですが、その反動として物価の上昇が顕著です。物価上昇の背景には賃金の上昇があるわけですが、言い換えればオミクロン株の流行があったとしても、米国の景気は強いと見て良いと思います。

 実際に、個人消費の物価動向を示す11月の「PCEデフレーター」は前年比で「5.7%」上昇しており、1980年以来39年ぶりの高い伸びを示しています。FRBが最も重視する、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いた「コア・デフレーター」も「4.7%」上昇しており、こちらも1983年以来の高水準となっています。

 そういう意味でも、今後はインフレとの戦いが継続していくものと考えられます。年が明けたからといってすぐに動きがあるわけではないと思いますが、2月以降の展開次第では、これまでの「株高、ドル高」といったシナリオが不安定になってくる可能性もあります。1月はいわばその助走の期間と言っても良いかもしれません。

 ――久しぶりに1ドル=115円台に届きそうですが、1月相場の予想レンジは?

 問題は、先進国で唯一「蚊帳の外」に置かれている日本経済ですが、実は日本の消費者物価指数も携帯電話の値下げ分を差し引いた数値では「2%」を超えてきました。11月の「企業物価指数」も前年同月比で9.0%上昇し、1980年12月以来41年ぶりの上昇となっています。相変わらず原油価格も高止まりしており、日本の物価も今後は上昇していく可能性があります。

 すぐにどうこうと言うわけではありませんが、2023年以降は日本の金融政策も大きな転換を求められるかもしれません。ドル円相場も、早ければ1月中にも11月に記録した1ドル=115円52銭の高値を超えて、円安に進んでいく可能性があります。1月の各通貨の予想レンジは次の通りです。

●ドル円・・1ドル=113円−116円 
●ユーロ円・・1ユーロ=127円−132円 
●ユーロドル・・1ユーロ=1.1150ドル−1.1450ドル 
●英国ポンド円・・1ポンド=152円−156円 
●豪ドル円・・1豪ドル=81円−84円

 ――2022年の金融相場はどんなマーケットになるのでしょうか?

 これまでもお話ししてきたように、2022年は世界的に見て「インフレとの戦い」になると思います。インフレとの戦いによって、金利が上がれば、株も売られるわけです。FRBがきちんとインフレを抑え込めるかにかかっていると言っていいでしょう。

 実際のところ、今後は金利が確実に上昇していくと予想されているわけですが、金利が一直線に上昇するかというとその判断が難しいところです。場合によってはバブル化しつつある株が売られて、その大量の資金が債券市場に流れて債券が買われれば、金利は思ったように上昇しない可能性もあります。そうなれば、今度はドルが売られて円が買われる可能性が出てきます。円高局面がやってくる可能性も排除できません。

 あるいは、今年同様に来年も株式市場が上昇を続けて、債券市場も金利が穏やかに上昇して米ドルが買われる・・・、という展開も当然考えられます。とは言え、ずっと続いてきた「ゴルディロックス(適温)相場」で安心していると、足をすくわれる可能性もあります。穏やかだった金融市場も、時として「魔が差す」ことがあるということです。

 ――2022年の為替相場で注意すべきこととは?

 米国株の上昇によって、世界中の経済が牽引されてきた2021年でしたが、今後の展開は不透明です。世界を見渡してみても、今後オミクロン株を上回るような変異株が出てくる可能性もありますし、さらにはロシアとウクライナ国境の地政学リスクの高まりなども懸念されています。

 これまでずっと続いてきた株式市場と金利との関係も、昔のように「金利が上昇すれば株が売られる」といった正当な「相関関係」がまた戻ってくる可能性もあります。いずれにしても、2022年も不透明なマーケットといっていいでしょう。

 これまでと同じパターンだろうとは思わずに、きめ細かな投資行動を心がけたいものです。ちなみに、年末年始にしばしば見られる瞬間的な相場変動である「フラッシュクラッシュ」のリスクにも要注意です。可能性はかなり低いと思いますが、急激な円高が襲うケースもあります。ポジション管理を徹底して年明けの市場に注意しましょう。(文責:モーニングスター編集部)。

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