脱炭素ソリューション企業に厳選投資、「脱炭素テクノロジー株式ファンド」が実現するESG投資の新常態

脱炭素ソリューション企業に厳選投資、「脱炭素テクノロジー株式ファンド」が実現するESG投資の新常態

「脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)」の今後の展望について、大和アセットマネジメントのアドバイザリー運用部シニア・ファンドマネージャーの野口真紀氏(写真:右)と、ニューヨークライフ・インベストメントのディレクター プロダクト・スペシャリストの佐々木遼哉氏(写真:左)に聞いた。

 大和アセットマネジメントが設定・運用する「脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)」は、2021年7月12日の設定来、類似ファンド分類を大きく上回るパフォーマンスを続けている。特に、10月31日から11月13日まで英国グラスゴーで開かれていた「COP26」による気候変動対策が議論されていた期間は、世界的な関心が気候変動に集まり、ファンドのパフォーマンスも押し上げられた。同ファンドの今後の展望について、大和アセットマネジメントのアドバイザリー運用部シニア・ファンドマネージャーの野口真紀氏(写真:右)と、同ファンドを実質的に運用するカンドリアム社を傘下に持つニューヨークライフ・インベストメントのディレクター プロダクト・スペシャリストの佐々木遼哉氏(写真:左)に聞いた。

◆世界共通課題「脱炭素」がパフォーマンスに追い風

 「脱炭素テクノロジー株式ファンド」は設定から徐々に、同一カテゴリーに属するファンドの推移を示す「モーニングスターインデックス国際株式・グローバル・含む日本・為替ヘッジなし/類似」をアウトパフォームし、その格差が広がっている。特に、欧州で環境関連の国際会議が開かれた7月、また、「COP26」が開催された10月末から11月上旬に類似ファンド分類や世界株式インデックス(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)を大きく上回るパフォーマンスになった。

 同ファンドは、日本を含む世界株式を投資対象とし、「エネルギーの効率的利用」「エネルギーの転換」「エネルギーの貯蔵」に着目し、脱炭素ソリューションプロバイダーの中で、高い競争優位性と成長性が期待できる企業に厳選して投資する。大和アセットの野口氏は、「『カーボンゼロ(脱炭素)』への関心の高まりは、ファンドのパフォーマンスの追い風になっていると思いますが、当ファンドが注目する脱炭素ソリューション企業の業績の堅調さに加え、将来の業績見通しへの確信度が高まっていることがパフォーマンスを押し上げていると思います。カーボンゼロへの対応は、誰かにとっては負担の重い『コスト』ですが、誰かにとっては、大きな『売上』を生む機会となります。当ファンドでは脱炭素に貢献する企業への投資を通じて、社会的リターンと経済的リターンが両立できると考えています」と語っている。

 佐々木氏も「ポートフォリオの構築には、脱炭素の貢献度合いではなく、純粋に企業のファンダメンタルズとバリュエーションに基づいて銘柄やウェイトを決定しています」と補足し、脱炭素のテーマに合致した銘柄群の中から、「最も恩恵を受ける企業」に厳選投資しているとする。

◆2050年まで約1.5京円の莫大な関連投資

 脱炭素については、2050年までに合計131兆ドル(約1.5京円)もの投資が見込まれています。今後5年、10年では、年率6〜7%以上の高い成長が持続すると期待されている。脱炭素社会の実現には、「緩和」(温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制する)と「適応」(既に起こりつつある、起こりうる影響に対して自然や人間社会のあり方を調整する)という考え方があるが、同ファンドでは、「緩和」に焦点をあて、温室効果ガスの削減につながるソリューション(解決策)を提供する企業を選定する。

 同ファンドのオリジナル戦略(CANDRIAM SUSTAINABLE EQUITY CLIMATE ACTION)は、気候変動の「緩和」と「適応」に着目しているが、「日本の投資家向けに脱炭素に特化した『緩和』側の部分をカーブアウトした戦略にしました」(野口氏)という。オリジナル戦略から「緩和」部分を抜き出した運用成績をシミュレーションすると、2016年4月末を100にすると、2021年4月末には407になり、世界株式指数であるMSCI ACWIの196を大きく上回った。21年4月末時点で過去5年間の年率トータルリターンは、シミュレーションが32.4%で、MSCI ACWIの14.5%を17.9%も上回っている。

 また、過去5年間のリスク・リターンをみると、年率リスクは、シミュレーションが18.7%となり、MSCI ACWIの15.4%をやや上回るものの、シミュレーションの年率リターンが圧倒的に優位にあり、運用の効率性を示すシャープレシオ(リターン÷リスク)はシミュレーションが1.73でMSCI ACWIの0.94を大きく上回った。

◆ファンドでも「カーボンゼロ」、情報開示を強化して透明に

 同ファンドを実質的に運用するカンドリアム(Candriam)は、社名が「Conviction AND Responsibility In Asset Management」、すなわち、「資産運用での信念と責任」という言葉から取っており、ESGに力を入れている。独立したESGチームを2005年に立ち上げ、経験と実績を積み重ねてきた。「戦略によってESGの強弱が異なりますが、ネガティブスクリーニング、ESGインテグレーションを適用したESGの軽いものから、ESGスコアを基に投資ユニバースを絞るものや、脱炭素のようなESGテーマ投資といったESGをより重視した戦略まで、幅広く揃えています」(佐々木氏)という。

 同ファンドにとって当面の運用環境は、「短期的には、新型コロナウイルスの感染拡大や原油価格の変動、中国政府の規制強化の動き、金利上昇リスクなどを注視しています。こうした多少のボラティリティも予想されますが、『脱炭素』のテーマは、経済および政治的支援から大きな恩恵を受けるため、長期にわたって大きな成長ドライバーになると確信しています。脱炭素ファンドは、長期的な視点を持つ人々にとっての投資であり、私たちは脱炭素市場における適切なテーマと適切な企業を見つけることで、引き続き良いパフォーマンスをお届けしたいと考えております」と、長期的に大きな成長が期待できると強調した。

 また、同ファンドでは、ソリューションプロバイダーに投資を行うことで社会貢献するが、ソリューションプロバイダーも経済活動を行うにあたり、二酸化炭素を排出している。この分の二酸化炭素排出量に相当する分を、カンドリアム社が運用報酬の一部をグリーンプロジェクトに資金拠出することで、ファンド全体としてカーボンゼロを実現している。加えて、当ファンドの信託報酬の一部を大和アセットも植樹を行うNPOに寄付をすることで環境貢献できる仕組みを取り入れている。

 野口氏は、「当ファンドのESG投資では、ポートフォリオの透明性を大切にしています。ポートフォリオにおける二酸化炭素の排出量、ESGスコア、SDGsに対する貢献などを、代表的な参考指数と比較したESG関連レポートを毎月発行しています。また、今後、インパクトレポートの発行も予定しています。受益者のみなさまには、当ファンドへの投資を通じて、社会的な貢献についても共に実感していただきたいと考えています。」と当ファンドを通じてESG投資の浸透につなげていきたいと語っている。(情報提供:モーニングスター社)

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