コミック編集者が語る“マンガができるまで” 体験談を「おバカにやりたい」

コミック編集者が語る“マンガができるまで” 体験談を「おバカにやりたい」

“ちょいエロ”が絶妙過ぎる!『江口くんは見逃さない』(C)North Stars Pictures, Inc. (C)Imagineer Co., Ltd.

 『北斗の拳』や『エンジェル・ハート』、『ワカコ酒』なども手掛け、先日マンガアプリ『マンガほっと』をスタートさせたばかりのコアミックスから、4月にそれぞれ第1巻が発売された『江口くんは見逃さない』『ちちのじかん』『女子高生のつれづれ』というマンガは知っているだろうか。“ちょいエロ”“新次元授乳マンガ”“女子高生の気になること”をテーマに展開する3冊。表紙デザインなども含め、少しピンクな雰囲気を持つタイトルに、「ちょっとエッチなのかも…」と男性のみならず、女性は多少手に取ることを躊躇するかもしれない。だが、その考えは改めてほしい。なぜなら性別問わず「面白い!」と思うこと請け合いであり、しかも3冊とも作者は女性(『ちちのじかん』のみ、男女(夫婦)共作)なのだ。

 3冊のストーリーを簡単にだが、説明したいと思う。まず『江口くんは見逃さない』(作者:野澤ゆき子)は、日常に潜んでいながら、見逃してしまいがちな、ちょっとだけHな瞬間・通称「ちょいエロ」を見るために、努力を惜しまない小学生・江口くんの日常を描く。『ちちのじかん』(作者:白田クロノスケ)は、ある日「宇宙人の赤ちゃんを“完全母乳”で育てないと地球滅亡」という、無理難題を突きつけられた理系男子・篠木究一が、赤ちゃんと共に宇宙人に渡された“女体化”アイテムを使い、自身の母乳で赤ちゃんを育てるべく日々奮闘する育児マンガ。『女子高生のつれづれ』(作者:三本コヨリ)は“おしっこをガマンすると気持ちいいらしい?”“ブラ紐が見えているのはアウト?セーフ?”など、一見くだらないけど気になる、暇を持て余した仲良し女子高生たちの青春の日々を切り取る。

  今回、この3作を担当する編集者に取材を敢行。どのような経緯から各ストーリーが生まれたのか話しを聞いた。
 
 同社の「セリフのない『マンガオーディション』に応募していただいたのがスタートです」と語るのは、現『江口くん〜』の編集担当・横山圭太郎。当時、大学生だった野澤先生は「電車で向かいの席に座っている女性のパンツが見えてしまったことがあったようで、それを見て『マンガにできるかも!?』と思ったそうです」。
 
 白田クロノスケ先生=夫婦でマンガを描くのは『ちちのじかん』。「女体化×授乳は、世の中にまだないだろうということでやってみようということになりました」と話すのは、担当の垣下卓。「自分たちの育児体験を活かすことはできないかなぁと思った事がきっかけだったみたいです。また白田先生は別名義(シロタクロタ)で成人マンガも描いていますので、今まで培ってきたエロを育児マンガで活かそうと思ったらしいです」。
 
 「お尻とアホな子が好き」だという三本先生と、担当編集・山中光がガールズバーで出会った女の子のエピソードがきっかけが生まれたのが『女子高生〜』だ。「ガールズバーにいた子が、ものすごく下ネタに乗ってくれる子で、女の子が下ネタを話すのっていいですね〜と、その時のお話を三本先生にお話したら本作が生まれました(笑)」。
 
 4ページの短いストーリーで展開する『江口くん』。カバーに描かれた女性の“ちょいエロ”が、まず冒頭に描かれることが特徴であり、担当曰く「カバー女性のちょいエロは何で見えるのだろう…? ということを、読者に楽しんでもらうことを意識して仕掛けを考えています」とのこと。また、作者が女性だからこその視点もあるようで「先生の場合、女性ならではの“見えちゃダメでしょう”という思いがあるので、その分、もうワンアクションあれば見えるな…という視点も持ち合わせているのかなとは思います」と分析。「男性目線だと、“見たい”という意識が強くなってしまうので」。

 世の中に、すでに多くの育児マンガが存在する中で、「そこをおバカにやりたい」と話す『ちちのじかん』の担当・垣下。「お色気だけだったら、ゼノンでやる意味がないと思ったこともあって、できるだけ育児のところをもカットせずに入れています」と言う。その反響は大きく「ネットなどに『ためになる』などのコメントがあったりするんです。エロだけではない、みたいな(笑)。『ためになった』という感想を見た時は、嬉しかったですね。僕達のやりたいことが読者に届いたなと」。
 
 「原作者が女性だということを全面的に押し出していきたい」と力強く語るのは『女子高生〜』の担当・山中。「LINEマンガに『原作者、ゼッタイ男性だ』というコメントが付いているんです(笑)」と、その理由を述べる。昨今では、自社サイトのほか、LINEやスマートニュースなどのキュレーションアプリでもマンガを読むこともできるが、編集担当は一様に掲載前後では「反響が違う」と口を揃える。「今、読む方法は僕達が捉えきれないくらい沢山あるので、Kindleではこれらのマンガの前身にあたる作品を期間限定で無料配信したり、できるだけ多くの媒体で、沢山の方に読んでもらえることを意識します」。
 
 三者三様ではあるものの、担当者それぞれが思うことはいかに多くの人にマンガを読んでもらうか。世の中に多くのマンガあり、昔に比べ読む方法が数多くあるからこそ作者と担当は面白い内容を考え、担当はそのマンガをいかに世に広めるかを考える。これら3冊だけをみても、日本のマンガ文化は奥が深い。
 
 『江口くんは見逃さない』『ちちのじかん』『女子高生のつれづれ』第1巻(すべて発売:徳間書店)は発売中。『江口くんは見逃さない』はゼノン本誌とマンガアプリ『マンガほっと』にて、『女子高生のつれづれ』は「WEBコミック ぜにょん」で連載中。(取材・文:ほりかごさおり)

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