これは大変な漫画が出版されるぞ…「最近、友情に振り回されているな」と悩む人に推めたい!!! 天然魔法少女イチゴのすっとボケ具合がヒドイ

これは大変な漫画が出版されるぞ…「最近、友情に振り回されているな」と悩む人に推めたい!!! 天然魔法少女イチゴのすっとボケ具合がヒドイ

『魔法少女の親友』(シズ/一迅社)

 『魔法少女の親友』(シズ/一迅社)は「新感覚!魔法少女のコメディ漫画」らしい。この手の漫画はすでにやり尽されている。どのへんが新感覚なのだろうかと、ページをめくってみると、確かに新感覚だったのだ! 本書は、ほっとけない漫画である。

 『魔法少女の親友』は、連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」で掲載されているWEB漫画の1つ。主人公は絵に描いたような平凡な中学生の平野ナミ。この平野ナミがひょんなことから魔法少女に…なるわけではない。魔法少女になるのは、ナミの親友の春アイチゴだ。物語のさわりを簡単に説明しよう。

 ある日ナミがニュース番組を見ていると、銀行強盗による立てこもり事件が報じられた。立てこもり事件を解決したのは、魔法少女を名乗る人物。そこに映っていたのは、イチゴだったのだ。

 上記の衝撃展開が、物語の1ページ目に描かれている。大事な部分をえらくバッサリ切った気がする。だが、本書はコメディだ。ナミの戸惑いの心情、イチゴの魔法少女としての葛藤、そんなものはいらないのだ。イチゴは必殺技を使って立てこもり犯を倒そうとするが、必殺技を覚えきれていなかったらしい。犯人に「ストップ」と告げ、魔法少女のマニュアル本を広げている。グダグダと犯人を倒す場面を見て、ナミの顔が心配でひん曲がっている。さらに、イチゴは素顔をさらしてテレビに映っている。したがって、イチゴの顔見知りの人たちにバレる…わけではない。登場人物全員が催眠にかかったかのようにイチゴと魔法少女を結び付けられないのだ。正体を知っているのは、不憫にもナミだけ。イチゴが犯人を倒して万歳する場面を読んで、私は「これは大変な漫画が出版されるぞ」と汗をぬぐった。

 翌日、一緒に学校へ登校するため、ナミとイチゴが待ち合わせする。ナミはイチゴの正体に気づいているので「昨日の夜は何をしていた?」とイチゴに質問する。イチゴの返答が「一晩中トイレに行っていた」である。言い訳がひどすぎるというツッコミはいったん止めよう。とにかく、天然魔法少女イチゴと、その正体を知ってしまったナミ。読者もお気づきだろう。本書は、イチゴの魔法少女としての毎日をハラハラしながらナミが見守る保護者視点の漫画なのだ。ほっとけない漫画なのだ。魔法少女であることがバレないよう言い訳に「トイレに行っていました」を連発するイチゴ、英字の「b」と「d」を逆に覚えているイチゴ、ボールに対して万有引力を発揮するイチゴ。私がナミなら、イチゴを殴りつけて縛り上げ、「やる気あるんか?」と説教するところだが、ナミは保護者らしく、ハラハラしながらイチゴを支えている。良い言い方をすれば、影ながら努力するナミの友情がキラリと光る漫画だ。悪い言い方をすれば、イチゴのアホさに振り回されるナミの不憫な友情物語だ。

 16話まで収録された第1巻が9月27日に発売される。「最近、友情に振り回されているな」「お人好しな私ってアホなのかな?」と悩んでいる人は、共感すること間違いなしなので、ぜひ手にとってほしい。

文=いのうえゆきひろ

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