2018年秋アニメ化『グリッドマン』はどんな作品だったのか - 先進的な設定に変形・合体メカの魅力、"悪のドラえもんとのび太"な敵も話題に

2018年秋アニメ化『グリッドマン』はどんな作品だったのか - 先進的な設定に変形・合体メカの魅力、"悪のドラえもんとのび太"な敵も話題に

画像提供:マイナビニュース

1993年にTBS系で放映された、円谷プロダクション製作の特撮テレビドラマ『電光超人グリッドマン』が2018年秋、装いも新たにアニメ作品として復活することが、「東京コミコン2017」内のイベント企画「『電光超人グリッドマン』スペシャルステージ」内で発表された。

電光超人グリッドマンとは、人々の日常生活になくてはならない「コンピューター」の世界・コンピューターワールドの平和を乱す魔王カーンデジファーの野望を防ぐために活躍するハイパーエージェントのこと。ハイスペックコンピューター「ジャンク」を作り上げた直人、一平、ゆかの3人と接触したグリッドマンは、直人に合体アイテム「アクセプター」を与えてコンピューターワールド内で合体し、カーンデジファーの差し向ける恐ろしい怪獣に挑んでいく。しかし、グリッドマンのパワーは「ジャンク」と連動しており、もしも「ジャンク」がパワーダウンすると、グリッドマンの存在も消去されてしまう。ゆか、一平のバックアップを受けながら、グリッドマンはさまざまな特殊装備や必殺光線で怪獣を倒すのである。

円谷プロ創立30周年を記念して製作された『電光超人グリッドマン』は、『ウルトラマン80』(1980年)以来、実に13年ぶりに円谷プロが作り上げた「国産」連続テレビシリーズである。現在のようにネット端末が個人レベルでは普及してはいなかったものの、コンピューターがオフィスや家庭など、さまざまな場所で活用されるようになりはじめた90年代前半、そのコンピューターの中に現実世界に直結した「コンピューターワールド」があるという設定で、いわゆるコンピューターウイルスを怪獣に、そして修正プログラムをヒーローに置き換えて発想されたものが『グリッドマン』なのであった。

本作では、従来のフィルムではなく、本格的なVTR撮影を導入。まだCGでの映像表現は発展途上の段階だったが、VTRによるハイスピード撮影(スローモーション)やグリーンバックによる合成カットの鮮明さなど、VTRの弱点を克服すると同時に、VTRならではの利点を生かし、斬新な映像を生み出すことに成功している。コンピューターワールドの表現方法としては、あえて合成に頼らず精密なミニチュアセットを組み、巨大な怪獣がダイレクトに破壊することで、コンピューターの危機をストレートに表す手法が採られている。本来なら照明が取り付けられているスタジオの天井部分にもミニチュアが配置され「上下が定まっていない電脳空間」というイメージを持たせる工夫がなされていた。

魔王カーンデジファーは、内向的でネガティブな少年・武史が抱いた悪意や憎悪の心を利用して凶悪な怪獣を作り出し、コンピューターワールドの破壊を目論んでいる。対人関係において不器用な武史が日常生活で屈辱や失敗を経験し、そのネガティブな思いをカーンデジファーが察知する、というのが毎回の導入部分だが、外で酷い目に遭った武史のことを常に気にかけ、細かな感情の動きまでも常に把握しているカーンデジファーは、言葉遣いこそ邪悪な魔王そのものだが、見かたによれば孤独な武史の精神的支えになっているようでもある。

カーンデジファーと武史は、放送当時「悪のドラえもんとのび太」とファンから称されるほど、物語の中核を担う名コンビとして愛され、親しまれた。コンピューターワールドが破壊されると街の電子機器が異常活動を起こし、病院の電力供給がストップしたり、クレジットカードのデータが勝手に書き換えられたりと、我々の身近な生活が脅かされる。本作ではこのように、人々の生活に密着した「危機」を描くことで、コンピューターワールドを守るヒーローの存在意義を高めようとした。

巨大怪獣と戦うグリッドマンの「ヒーロー性」にも、さまざまなアイデアが盛り込まれている。グリッドマンはパンチ、キックなどの肉弾戦を得意としているが、強力な怪獣の攻撃に苦戦することもある。そんなとき、一平がプログラムした支援武器が活躍する。最初に登場した武器は第5話でのバリアーシールド、プラズマブレードで、この2つは1つに組み合わせてグリッドマンソードにパワーアップできる。

また、より強い怪獣に対抗するため、3機のアシストウエポン(サンダージェット、ツインドリラー、ゴッドタンク)も登場。これらはゴッドゼノンなる巨大ロボットに合体するほか、グリッドマンのボディにも合体して「サンダーグリッドマン」になることができる。商品展開を行っていたタカラ(現:タカラトミー)の開発ノウハウが十二分に生かされた、「複数のメカが合体するロボット」「ヒーローとメカとのスーパー合体」という要素を組み込み、戦況に応じてより強大な姿に変わるヒーローというのは、実写特撮(巨大)ヒーローでは非常に画期的なものだった。さらには、ダイナファイターとキングジェットが合体してドラゴンフォートレスになり、これがダイナドラゴンという恐竜型ロボへと変形。そしてキングジェットとグリッドマンが合体し、キンググリッドマンへとパワーアップする。これら、システマチックな変形・合体メカの醍醐味も『グリッドマン』を語る上で外せない魅力といえる。

『グリッドマン』はテレビの世界に「怪獣と戦う巨大ヒーロー」をよみがえらせ、当時の子どもたちに喝采をもって迎え入れられた。テレビシリーズは全39話で終了したが、掲載誌である小学館の『てれびくん』では、オリジナルのグラビア展開として続編『電光超人グリッドマン 魔王の逆襲』を連載。改心した武史が新ヒーロー「グリッドマンΣ(シグマ)」となり、グリッドマンと力を合わせて怪獣と戦う、という、ファンの興奮を呼ぶシチュエーションで好評を博した。

2015年、『グリッドマン』の復活は思いもかけないところから実現した。『ブラック★ロックシューター』(絵コンテ・演出)、『キルラキル』(副監督)などで知られるアニメ演出家・雨宮哲氏が「日本アニメ(ーター)見本市」の第9回作品として製作した短編アニメ作品として、『電光超人グリッドマン boys invent great hero』が発表されたのだ。これは、雨宮監督が中学生のころ、再放送で『グリッドマン』を観て、ファンになったことがきっかけだったという。短編作品ではあるが、『グリッドマン』の世界が見事にアニメのフィールドへと落とし込まれており、かつての作品を知る特撮ファンから「『グリッドマン』を完璧にアニメで再現している!」と絶賛された。

そして2018年、雨宮監督がふたたびアニメの世界で『グリッドマン』をよみがえらせようとしている。そのタイトルは『SSSS.GRIDMAN』。実写作品をアニメに落とし込んだ「boys invent great hero」とは違い、今回はグリッドマンのデザインを一新(キャラクターデザインは、『ウルトラマンゼロ』『ウルトラマンジード』など、近年のウルトラマンシリーズで活躍する後藤正行氏)。まったく新しい世界観でグリッドマンの戦いが観られることになりそうだ。また、グリッドマンの声を、かつての実写版と同じく緑川光氏が務めることも大きな話題となっている。

なお、実写版『電光超人グリッドマン』は、2017年12月20日にBlu-ray BOX(全39話収録)が発売され、2018年1月8日には発売記念のイベントが行われる予定。

秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載。

(C)円谷プロ
(秋田英夫)

関連記事(外部サイト)