『ウルトラマンネオス』高槻純が語る秘話、カグラ役「依頼あれば喜んで」

『ウルトラマンネオス』高槻純が語る秘話、カグラ役「依頼あれば喜んで」

画像提供:マイナビニュース

●M78星雲出身の新ヒーロー『ネオス』の魅力
オリジナルビデオシリーズとして、2000年から2001年にかけ全12話のエピソードがリリースされた『ウルトラマンネオス』が、2018年3月7日に待望のBlu-ray BOXとなって発売される。
○『ウルトラマンネオス』誕生まで

『ウルトラマンネオス』の誕生は、ビデオシリーズが製作される5年前となる1995年にまでさかのぼる。1990年代の円谷プロは、海外との合作によるオリジナルビデオシリーズ『ウルトラマンG(グレート)』(1990年/全13話)『ウルトラマンパワード』(1993年/全13話)を、そしてテレビの世界ではビデオ撮影で本格的巨大ヒーロー特撮にチャレンジした『電光超人グリッドマン』(1993年)を製作するなど、ファンから熱い視線が注がれていた。

高槻純(たかつき じゅん):1973年生まれ、東京都出身。『ウルトラマンネオス』ウルトラマンネオス/カグラゲンキ役(2000年)や『仮面ライダー龍騎』東條悟/仮面ライダータイガ役(2002年)などに出演し、人気を集める。 撮影:宮川朋久

そんな中、新時代のウルトラマンを担う2体の新ヒーローが生み出されることになった。それが、「ウルトラマンネオス」と「ウルトラセブン21(ツーワン)」であった。

将来的にテレビシリーズ製作を目指して、まずは特撮シーンを中心としたパイロット映像の製作が行われた。ザム星人が操る怪獣ドレンゲランに対抗するネオスとセブン21の活躍が、1995年以降の各地"ウルトラマン"関連イベントにて上映され、子どもたちの期待を大いにあおった。しかし、『ネオス』の企画は練り直され、まったく新しいコンセプトのもと『ウルトラマンティガ』(1996年)となって具現化することになった。各方面に好評を博した『ティガ』は、やがて『ウルトラマンダイナ』(1997年)『ウルトラマンガイア』(1998年)とシリーズ化され「平成ウルトラマン3部作」と呼ばれるシリーズへと発展していく。

それと同時に、VAPよりオリジナルビデオシリーズとして、『ウルトラセブン』(1967年)の続編的世界観で作られた『平成ウルトラセブン』が好調にシリーズを重ね、1999年に「最終章6部作」がリリースされた。平成セブンの世界にひとつの区切りがついた後、次の企画として検討されたのが、映像化の機会に恵まれなかった「ウルトラマンネオス」と「ウルトラセブン21」であった。基本設定や世界観などをいくつか修整した上で、平成セブンに続くオリジナルビデオシリーズとなって『ウルトラマンネオス』がよみがえることになったのだ。

ウルトラマンシリーズに革新をもたらした『ウルトラマンティガ』は、それまでの(実写による)ウルトラヒーローが宇宙の彼方M78星雲の出身(ウルトラマンレオのみ獅子座L77星の出身)だったのに対し、3000万年前の超古代文明を守護していた「光の巨人」という新しい設定が作られ、過去作品とは完全に切り離された世界観でストーリーが展開していた。

これに対して『ネオス』では、意識的に『ウルトラQ』(1966年)および『ウルトラマン』(1966年)が持つ本格怪獣映画のテイストを甦らせようという狙いがあり、暗黒星間物質ダークマターの影響により、世界が「アンバランスゾーン」に陥ってしまったという大設定が用意された。

また、ウルトラ兄弟の長男・ゾフィーが登場するなど、ネオス、セブン21の2人がM78星雲出身だという設定が明確に打ち出されているのが大きな特徴となった。そして、音楽を『ウルトラセブン』(1967年)『帰ってきたウルトラマン』(1971年)などで知られる冬木透が担当し、ウルトラマンシリーズの王道ともいえる雄大なるシンフォニーで世界観を豊かにしている点も重要といえる。

ここでは『ウルトラマンネオス』Blu-ray BOX発売を記念して、特捜チーム「HEART(ハート)」の隊員で、ウルトラマンネオスと一体化する主人公カグラ・ゲンキ隊員を演じた俳優の高槻純にインタビューを敢行し、青春を燃やして全力で取り組んだ『ネオス』当時の思い出を語ってもらった。
○当時だからこそできたフレッシュなカグラ

――高槻さんが『ネオス』の主人公カグラ役に選ばれたきっかけは何だったのでしょうか。

もともとモデルとして芸能界にいたのですが、23歳くらいのときにとあるご縁があって、俳優の道に進むことになりました。『ネオス』は俳優になって間もないころ、24・25歳くらいのときにオーディションで選んでいただきました。

――オーディションではどんな審査があったのですか。

最初に2ページくらいの台本を渡されて、セリフをまるまる覚えて独り芝居をするんです。大勢の人が見ている中で、自分の気持ちで思ったように動いてくれと。まだ役者を始めたばかりで、ムチャなことを言われるなと思いましたけれどね。

オーディションは世田谷区祖師谷にあった円谷プロの本社(砧社屋/現在は移転)で行ったのですが、僕は子どものころこの近くに住んでいて、ずいぶん昔に怪獣倉庫を見学させてもらった思い出があるんです。まさかここに仕事として来るとは……なんて、あのときは感慨深いものがありました。あと、セリフを覚えるために入った部屋のところに怪獣のフィギュアがたくさん並んだガラスケースがありまして、「あっ、この怪獣知ってるぞ、この怪獣好きだったなあ」なんて、持ち時間30分のうち、半分の時間はずっと怪獣ばかり眺めていました(笑)。

――そうだったんですか! 晴れてオーディションに合格してカグラ役が決まった後、ウルトラマンシリーズの主役だということを実感した出来事はありました。

最初はなかなか実感がわきませんでしたね。でも、HEARTの隊員服を着て野外へロケに出て、撮影を開始したあたりです。子どもたちが僕たちの存在に気付いて「ウルトラマン! ウルトラマン!」って言いながら近寄ってきたときに、「あっ、自分はウルトラマンなんだ!」って、そこで初めて強く思うようになったんです。

――カグラ隊員は、持ち前の若さと勇気で困難を乗り切る明るいヒーローという面が強調されていますが、お芝居については当時どんな部分に気をつけていましたか。

当時はただがむしゃらにやっていただけで、特に自分から若さを意識して演技をしたつもりはなかったですね。ただ役者としての経験が浅かったので、それがいい感じに作用したのかもしれません。『ネオス』が終わってから数年後、プロデューサーの円谷昌弘さんと酒を飲んでいたとき、僕が「今ならカグラをこういう風に演じたりして、監督さんたちを悩ませることなく、もっといい芝居ができたかもしれないですね」って話したら、「そりゃあ今のお前で演じたほうが芝居がよくなるかもしれないけれど、あのときのフレッシュさは今のお前では出せない。だから、あのときのお前でよかったんだよ」と言われたのが、ありがたかったというか、嬉しかったですね。当時ものすごく厳しかった神澤信一監督からも、同じようなことを言っていただきました。

●HEARTの思い出

――高槻さんと共演されたHEART隊員の方々はみな個性豊かでしたね。隊員のみなさんの中で、リーダーシップを取っている方はどなただったのですか。

ウエマツ隊員役の影丸茂樹さんでしたね。口数の多い方ではなく、率先して何かやるというタイプではなかったのですが、ちょっとまわりが騒がしいなと思われたとき、口に指をあてて「シーッ」とかね(笑)。行動を開始するときに「行くぞ!」とか、部分部分できっちり締めてくださるところがありました。

――ミナト隊長役の嶋田久作さんは、それまで個性的な悪役を演じることが多かったと思うのですが、若い隊員たちを束ねる人格者というべき隊長役を人情味たっぷりに演じられていました。

嶋田さんはとても気の優しい方でしたね。同じころ『さくや妖怪伝』で悪役(似鳥周造役)を演じられていて、『ネオス』の現場だと「僕なんかが隊長でいいのかな〜」なんて、ちょっとネガティブな発言をされていて、オチャメなところがありましたよ(笑)。

――ミナト隊長を父親として、HEARTのチームにはどこかアットホームなムードを感じました。第3話のエンディングで、隊長に寿司をごちそうしてもらおうとする隊員たちのくだりなんて、楽しかったですね。

あそこなんて、ほとんどがアドリブで芝居していたシーンですよ。チームの仲の良さをアピールしてほしいという高野敏幸監督からの要請でね。こういうシーンでは、影丸さんが率先して「私はサビ抜きで」とか言っちゃうんですよ(笑)。影丸さんは『ウルトラマンティガ』でもレギュラーで隊員(シンジョウ隊員役)を演じられていましたから、キャラクターが被ってしまわないよう気をつけているとおっしゃっていました。
○特撮ならではの撮影秘話も

――特撮作品に付き物といいますか、実際には目の前にいない怪獣に対してリアクションをしたり、合成を前提とした芝居をしたりといった部分について、難しかったことはありましたか。

それは確かにありましたね。何もないところを見上げて「怪獣だ!」と言わなければいけない。最初は戸惑いました(笑)。助監督さんが長い棒の先に布を巻きつけて、「ここの先端を見てください〜」って。隊員のみんなが同じ方向を見上げなければおかしいですからね。ああ、こうやって怪獣映画は撮られているんだなって、初めて理解しましたよ。合成については、オープニング映像の時点でいきなり経験しました。カグラが宇宙空間を漂流するカットは、身体にハーネスを装着した上から衣裳を着て、グリーンバックの前で吊されているんです。カメラチェンジの際にもずっと吊されたままなので、付け根の部分がだんだん痛くなってきて困ったのを覚えています。

――九州ロケ編(第7〜9話)のひとつ、第9話「僕らの恐竜コースター」で高槻さんは、怪獣キングダイナスの吐く火炎弾の爆発をかいくぐるという危険なアクションシーンに挑戦されていますね。

そうなんです。あれは全部自分で演じていますからね。あの爆発の熱風がすごくて、「熱ッ!」っていいながら走っていました。実際に熱かったので、あそこのカグラのリアクションは演技ではないんです(笑)。

――さすがはウルトラマンの俳優さんだけあって、危険なシーンの撮影は避けられないというところでしょうか。撮影時のハプニング的な出来事などもたくさんあったのではないですか。

第7話「生態系の王」で、ナナ隊員とカグラが並んで銃を撃つカットがあるんですけれど、ナナ役の瑠川あつこさんの銃に手違いで火薬が多く入っていたらしく、僕のすぐ側でとんでもない音が響いて、驚いてNGを出したことがありました。他にも、撮影時のエピソード、思い出はたくさんありますね。

●いまでも多くのファンに愛される『ネオス』

――第7話といえば、カグラがターザンジャンプ(綱渡り)をした際、着地に失敗して地面にめり込んでしまうなど、ギャグ的な要素があって楽しかったですね。

そうそう。カグラのシルエットに合わせてスタッフさんが地面に穴を掘ってくださっていたんです。他にも第9話では、撮影の前日に重機を使ってキングダイナスの実物大の足跡を掘っていたりするんですよ。僕もその大きな足跡の中に入らせてもらったんですけれど、そのとき「怪獣が本当に存在したら、こんなに大きな足跡ができるかもしれないな」って、ナマで実感しましたよ。CG合成とは違うリアルな感覚があって、とても嬉しかったです。こういった部分、今度のBlu-rayでより鮮明になった映像を見て確かめたいですね。
○変身シーンの思い出

――ウルトラマンシリーズならではの演技といえば、やはり専用アイテムを持っての変身シーンは外せないと思います。変身の思い出などがあれば教えてください。

変身は僕にとっても大事なシーンだと思って演じていました。変身シーンがあるからこそ、カグラとネオスがひとつになれるわけですからね。自分の気持ちも大事ですけれど、変身を撮ってくださる監督の思いも大切にしようと努めました。

ただ立ったまま「ネオス!」と叫んで変身する以外に、走りながらの変身というのもやりました。崖の端のほうで立ち止まり、変身するってカットなんですけれど、監督から「ここで止まるぞ、という前提で走ってはダメだ。全力で走ってこい!」と言われたのですが、地面が砂利だらけで走りにくくて、さらに全力で走ると決まった位置で止まれなくて、4・5回くらい撮り直しがありました。「必死に走ってきて、ピタッと止まって変身するからカッコいいんだ。できるまでやるから!」なんて言われてね。その監督のこだわりは映像の中に必ず残っているな、と出来上がったフィルム作品を見て心底思いましたよ。

――全12話の中で、お気に入りのエピソードはどれですか。

ザム星人が出てくるエピソードが気に入っています。第2話「謎のダークマター」、第6話「ザム星人の逆襲」、そして最終の前後編である第11話「宇宙からの暗殺獣」、第12話「光の戦士よ永遠(とわ)に」あたりですね。ザム星人は故郷を失った悲しい種族で、もしかしたら地球人もザム星人のような運命をたどるかもしれない……と考えさせられる話なんです。

また、第11話で政府機関の人たちにHEARTの動きが封じられる中、ミナト隊長がマイクのスイッチをオンにしたまま、外にいるカグラたちへ間接的に命令を伝えるシーン。あれがとても印象に残っていますね。僕たちがこれまで作り上げてきたHEARTの団結力を如実に示している、いいシーンだと今でも思っています。

――当時の子どもたちは、主にレンタルビデオショップでウルトラマンネオス、およびウルトラセブン21の勇姿を楽しんだと思います。高槻さんご自身はレンタルショップで『ネオス』のソフトが置かれている現場をご覧になったことがありますか?

もちろんです! やっぱり自分の出た作品が陳列されていると嬉しいですから、近くのショップへ見に行きました。最初はちょっと恥ずかしくて、「ああ、並んでるな、なるほどな」みたいな感じで横目に見ていたのですが、何度目かになると、自分でパッケージを手に取ってみたりして(笑)。
○ウルトラヒーローを演じて

――2017年12月9日に、Blu-ray化記念の『ネオス』上映会(第4話と第9話を上映)が開催された際、高槻さんがスペシャルトークゲストとして出演され、集まった特撮ファンを沸かせたそうですね。ビデオリリースから10数年を経て、今なお大勢のファンがいることについて、どんな思いを抱かれましたか。

たくさんのファンの方が来てくれたのは、素直に嬉しかったですね。まさかこんなに大勢の人が『ネオス』のために集まってくれるとは思っていなかったので、驚きました。僕はどちらかというと『ネオス』の後に出演した『仮面ライダー龍騎』(2002年)の仮面ライダータイガ/東條悟役のほうで知られていると思っていたのですが、そこはやっぱりウルトラマンの知名度の高さでしょうね。僕自身、イベントで10数年ぶりにウルトラマンネオスと再会することができて、興奮しました(笑)。

――ところで、高槻さんがお気に入りのウルトラヒーローは誰ですか? もちろん、ウルトラマンネオスは別格として……。

『ウルトラマンレオ』(1974年)ですね。光線技をめったに使わず、空手アクションで戦うウルトラマンというところが好きです。僕も武術、武道をやっていて、いまは子どもたちに中国の伝統武術を教えています。そんなこともあって、肉体を武器として戦うレオにすごく愛着を持っています。

――もしもふたたびウルトラマンシリーズへの出演オファーがあったとしたら、どんな役柄で出てみたいですか?

そんな依頼があったら喜んで、どんな役でも出たいですね。年齢的に、特捜チームの隊長とか?(笑) 特に何か説明があるわけでもなく、突然いまのカグラが出てきて、若いウルトラマンにアドバイスをする、みたいなのでも面白いですよね。

――最後になりますが、Blu-rayで甦る『ウルトラマンネオス』の発売を楽しみにしている方をはじめ、ウルトラマンシリーズを愛するファンのみなさんにメッセージをお願いします。

『ネオス』を過去にご覧になったことのある方も、そうでない方も、Blu-rayをご覧になって楽しんでいただきたいですね。ネオスとセブン21は初代『ウルトラマン』と同じくM78星雲から来たウルトラヒーローです。物語も毎回の怪獣が引き起こす事件が中心となった、初代を思わせる「王道」のウルトラマンだと思います。それに加えて、カグラのフレッシュさや、HEARTの家族的なチームワークの良さ、ミニチュア特撮の迫力など、たくさんの見どころがありますので、きれいになった映像を新たな気分で見直してほしいです。

■著者プロフィール秋田英夫主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載。

(C)円谷プロ
(秋田英夫)

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