『君の名は。』批判で「この人、なんのプロだろう…」と言われてしまった江川達也は“なんのプロ”か、調べてみた

「君の名は。」批評の江川達也氏を「GANTZ」原作者の奥浩哉氏が批判し絶賛されている

記事まとめ

  • 「バイキング」出演の江川達也氏が「君の名は。」について「全然面白くない」と発言
  • 奥浩哉氏がTwitterにて「プロ漫画家代表みたいなの やめて欲しいですね」と言及
  • 「これは正論」と普段は奥氏に対して辛らつなことも多いネット上からも絶賛されている

『君の名は。』批判で「この人、なんのプロだろう…」と言われてしまった江川達也は“なんのプロ”か、調べてみた

『君の名は。』批判で「この人、なんのプロだろう…」と言われてしまった江川達也は“なんのプロ”か、調べてみた

「サンデーうぇぶり」公式サイトより。

 6日、『バイキング』(フジテレビ系)に出演した江川達也が大ヒット中の『君の名は。』について、「プロから見ると全然面白くない」と発言。さらに「これは売れるなと思いましたけど、プロから見ると全然面白くないんですよ。作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶちこんでるちょっと軽い作品」と、興行収入約130億円を突破、日本アニメ映画、いや邦画史上に名を残すヒット作を批評した。

 もちろんこの発言は、「じゃあお前も130億円稼げる作品作ってみろ」「逆張りおじさん、また始まったか」と多くのアニメ・マンガファンの反発を買ったが、さらに、3DCG映画の公開を間近に控える『GANTZ』(集英社)の原作者・奥浩哉がTwitter(@hiroya_oku)にて「この人、なんのプロなんだろう…」と言及。奥は「プロ漫画家代表みたいなの やめて欲しいですね。」と続け、「これは正論」「こういうときの奥、ほんと好き」と、普段は奥に対して辛らつなことも多いネット上からも絶賛されている。

『BE FREE!』(講談社)、『まじかる☆タルるートくん』(集英社)、『東京大学物語』(小学館)といったヒット作を手掛けてきた江川達也。さすがに「この人、なんのプロなんだろう…」は酷いと思ったので、最近の江川のマンガ仕事を軽く調べてみた。

 一般誌・Webでエッセイなどをよく手掛けている江川だが、「サンデーうぇぶり」(小学館)で連載されている「江川達也先生、渾身の人生最後の漫画!ちょっとHなラブコメディー!!」と気合の入ったキャッチコピーが踊る『忘却の涯て 16歳の自分への手紙』を現在連載中だ。マンガ家を目指す「江川青年」が主人公と、自叙伝っぽい作品なのだが、ネット上のマンガファンからの評判はいまいち芳しくない。

 大量の女の子が登場、願望と妄想とネガティブな自虐と、『タルるートくん』などが登場するというセルフパロディが入り混じった展開は、「これはいつもの江川節」「疾走感があって好き」と、それなりに評価もされている。だが、アシスタントが1人もいないという制作状況のためか、「塗りが荒いし、色使いもひどい」「初めてCGでカラーやってみましたって感じ」「アシスタントたちが有能だったんだな」と、作画への評価は散々。

「昔からこんなもんだろ」「芸風は変わらない」といった声もあるが、「すげえ、漫画って描けなくなるんだな…」「タルるートや東京大学物語をリアルタイムで読んでた世代にとって悲しいくらい酷いわ」「絵が良くてストーリーgdgdだったけど絵がダメでストーリーgdgdに進化したな」といった往年のファンと思しき声を見ると、悲しい気持ちになってしまうほどだ。

『東京大学物語』の連載を01年に終えた江川は、その後日露戦争をテーマとした『日露戦争物語』(小学館)を連載開始。舞台の前提となる日清戦争前から物語をスタートさせるのだが、日清戦争・黄海海戦に差し掛かったところで刊行がストップしてしまう(全22巻)。

 その後、沼正三の長編SF・SM小説を原作とした『家畜人ヤプー』(幻冬舎)の連載を始めるが、冨樫義博も驚くほどのラフと思われるような状態の作画での掲載が続き、原作ファンの怒りを買ってしまう。それが原因かどうかは不明だが、全9巻、物語としては中途半端なところで第1部完結となり、連載終了。

 江川本人の訳・解釈が、意外と原文ファンからの評価が高かった『源氏物語』(集英社/全7巻)といった作品もあったりするのだが、こちらもまだまだ訳すべき、描けるエピソードを大量に残しているにも関わらず、刊行が途絶えてしまう。

『東京大学物語』終了後、連載が長く続いたのはこの3作品ぐらいで、その他の連載作は掲載誌の休刊といった事情もあり、いずれも連載は比較的短命に終わっている。特に、初代『仮面ライダー』をリメイクした劇場映画、『仮面ライダー THE FIRST』(「特撮エース」掲載)のコミカライズを担当した際に至っては、下書き同然の線、ほぼ背景なし、映画と違う構成が批判を招き、未だに単行本化されていないなど、悪い意味での話題作となってしまった。

 一方で、『ビーバップ!ハイヒール』(ABC朝日放送/レギュラー出演)や『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系/不定期出演)といったバラエティ番組に出演を重ねるなど、タレント業は快調。江川本人がマンガ家業とタレント業のどちらに比重を置いているのか不明だが、傍から、特に現役バリバリのプロから見ると、現状では「江川が何のプロかわからない」と思ってしまうのも無理はないかもしれない。

 過去には「プロの目から見るとわかるんですよ。性とバイオレンスが巧妙に隠されている」と宮崎駿・ジブリアニメを批判したり、『ドラえもん』や手塚治虫などについても辛口に批評してきた江川達也。『君の名は。』も、江川がこれまで批判してきた名作・巨匠と比較されるほどの地位を獲得した、ということの証明なのかもしれない。

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