『月がきれい』7話 決戦は遊園地! 中学生たちの恋の迷路にタイムライン騒然、甘酸っぱ死余裕でした

『月がきれい』7話 決戦は遊園地! 中学生たちの恋の迷路にタイムライン騒然、甘酸っぱ死余裕でした

『月がきれい』公式サイトより

──中学生の純愛を瀟洒な作画で丁寧に描くオリジナルアニメ『月がきれい』(TOKYO MXほか)。これまで「じわじわ」という感じだった反響が7話でついに爆発! 「#月がきれい」が見事にツイッターのトレンド入りを果たした。そして今宵も視聴者のうめき声と壁を殴る音があちこちから……。ラクーアのすぐ近くに住んでいるライター・大山くまおが全話レビュー。南健プロデューサーへのインタビューもあわせてどうぞ(http://otapol.jp/2017/04/post-10440_entry.html)。


■4人の恋心がもつれあう

 めでたく付き合いはじめた文系男子の小太郎(演:千葉翔也)と陸上部女子の茜(演:小原好美)。しかし、茜の親友・千夏(演:村川梨衣)は茜の気持ちを知った上で小太郎に告白すると宣言。茜に想いを寄せる陸上部部長の比良(演:田丸篤志)もいて、シャイな2人の恋が無事に済むとは思えない……!?

 先週から流れる「シンOP」(by岸誠二監督)から始まった第7話。小太郎、茜、千夏、比良をはじめとするクラスメイト9人がやってきたのは東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)。池袋で乗り換えて後楽園まで丸ノ内線で7分という、川越からも非常に行きやすい場所にあるアーバンな遊園地だ。

 このときばかりと小太郎に積極的にアプローチする千夏。その様子を見る茜は困惑気味。一方、ジェットコースターから降りる際にちゃっかり茜に手を貸す比良。それを見る小太郎はちょっとジェラシー。不満を声高にアピールできない控えめな2人の不機嫌な「んん……」という吐息がリアル。


■惜しみなく愛は奪う

 小太郎を助けたのは、意外にも不思議キャラのろまん(演:筆村栄心)だった。ろまんは小太郎と茜が付き合っていることを見抜き、自分が協力するから2人で抜け出してデートすることを提案する。

 どうしてろまんが小太郎と茜のことに気づいたのかは謎。ほとんど全員が黒髪か茶髪のキャラクターの中で、ピンク色の髪をしているろまんは、ある意味、本作唯一のチートキャラ。公式サイトのプロフィールには「妖精みたい」と書かれているが、小太郎と茜を見守る天使のような役割を担うキャラなのかもしれない。

 茜と2人きりになろうとする比良。それを見つけた小太郎は決然と声をかける。小太郎が向かった先は茜ではなく、比良! 入学して以来、一度も口をきいたことのない(と思う)体育会系のスターと小説家志望の陰キャラが一人の女子をめぐって対峙する。

「彼女……だから」
「えっ」
「付き合ってるんだ、俺たち」
「……」

 一瞬の静寂。それを突き破るジェットコースターの悲鳴。そしてツイッターのタイムラインにあふれかえる視聴者たちのジェットコースター並の悲鳴! 「あああああああ」「うわあああああ」「ギャアアアアア」……。

 手をつないで茜を奪還する小太郎。男らしい! 小太郎の完勝である。ちゃんと茜と比良の間に割り込んで視界を遮っているところもポイント高い。比良は呆然とするしかなく、このやりとりを偶然見ていた千夏の目からは涙が零れ落ちる。比良は茜への好意を粉砕され、千夏は告白する前に振られてしまった。有島武郎の「惜しみなく愛は奪う」には次のような一節がある。「見よ愛は放射するエネルギーでもなければ与える本能でもない。愛は掠奪する烈しい力だ」――。


■するのか? しちゃうのか?

 それにしても小太郎は茜への好意をことごとく言葉と態度、行動でしっかりと示している。「恋愛はチャンスではなく意志である」という太宰治の教えを忠実に守っているわけだ。グループから抜け出して、たっぷり遊園地デートを満喫する2人。そしてムード満点の打ち上げ花火! 手をつなぎ、見つめ合う。するのか? しちゃうのか? ああああああ! 今回2度目の視聴者絶叫ポイント!

「ちゅーしてる!」

 子どもに遮られて2人のキスは寸止め。思わず笑い出す2人。打ち上げ花火は続く。描かれてはいないが、たぶん2人はキスしちゃってると思う。するでしょ! ふぅ……。

 帰りの電車、茜の隣で熟睡する小太郎。戦士の休息だ。茜は千夏から送られてきた泣き顔のLINEスタンプを見て、思わず「ごめん」と呟く。遠ざかっていく踏切の音がせつない。泥沼の三角関係、四角関係を回避し、主人公の2人はラブラブ。幸せなはずなのに、観ている視聴者の胸もギュッと締め付けられる。何もできずに涙を流す千夏の姿を見たからか、傷心をこらえて打ち上げ花火を見上げる比良の横顔を見たからか。

 誰かが幸せになったとき、誰かが傷つくこともある。それぞれに人生があるということ。それにしても今週も時間が経つのが早かった……。


■2人にとって最大の敵、それは……

 今回の作画、東京ドームシティがものすごく正確に描かれていて驚いた。実は筆者はすぐ近くに住んでいるのでよくわかるのだが、すべての風景に見覚えがある。ジェットコースターの軌道や「HUB」の看板すら正確だった。ただし、東京ドームシティで打ち上げ花火は行われていない。ここはアニメならではのファンタジーだ。

「今週も甘酸っぱ死」「今週も無事に死ねました」「こんな学生時代なんかあってたまるかよ!」「明日から生きていける気がしない」と死屍累々のタイムラインの中で、「もう今回が最終回でいいんじゃないか」という声も目にした。たしかにそうかもしれない。小太郎と茜はクラスメイトも知るカップルとなり、2人はお互いの恋心を強く確かめあった。たぶん、キスもしちゃったと思う。これ以上のハッピーエンドもない。

 しかし、これから2人にとって最大最強の敵が現れる。それは受験、そして両親だ。なにせ彼らはまだ中学3年生、親の力は絶大なのだ。というわけで、これからさらに胸が痛くなりそうな展開が待っていると予測する。幸せなところで終わりにできないのも人生って感じ。

 なお、1話〜6話がYouTubeのフライングドッグ公式チャンネルで1週間限定無料公開中。まわりの友達に薦めて恋テロを仕掛けてやろう! 
(文/大山くまお)

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