花澤香菜の魂の叫びがこだまする! 花澤さんが制作陣にいじられまくった劇場アニメ『BLAME!』「シボ祭」レポート

花澤香菜の魂の叫びがこだまする! 花澤さんが制作陣にいじられまくった劇場アニメ『BLAME!』「シボ祭」レポート

左から岩浪美和音響監督、吉平"Tady”直弘副監督、花澤香菜、瀬下寛之監督。

 5月28日、新宿ピカデリーにて、劇場アニメ『BLAME!』の舞台挨拶「シボ祭」が盛大に開催された。「シボ祭」とは、シボによる、シボのためのお祭り。作中何度も形態を変えていった「でっかいねえちゃん」こと白髪の彼女を愛でる催しだ。

 シボ祭には、シボ役の花澤香菜、制作陣から瀬下寛之監督と吉平"Tady”直弘副監督、そして岩浪美和音響監督が登壇。「シボ祭」だけにトークの内容はシボ&花澤さん一色だ。どうも昼間にMOVIXさいたまとシネ・リーブル池袋で行われた回ではかなりいじられたとか……花澤さんの「あんなにいじられると思ってませんでした!」という言葉にすべての想いが詰まっていると言えるだろう。

■クリオネが舞台に舞う日

 瀬下監督は1〜2回目の自由すぎる舞台挨拶で、花澤さんに対して一生分の「申し訳ない借り」を作ったそう。それほどまでか! また、しばらく口を閉ざしていた岩浪音響監督は、「今日は真面目にやる、ただの面白おじさんじゃないから」と断言。どうやらTwitterでファンに「ただの面白いおじさんだった」「酔っぱらいのおじさんだった」と書かれたため、「最後にリベンジする」とのことであった。

 それなのに再び始まる花澤いじり。彼女の真っ白な衣装について岩浪音響監督が「見て、一輪の白百合のよう!」と褒め称えると、これに対して「さっきまでクリオネとかウミウシとか言ってたじゃないですか!?」と花澤さんご立腹。なるほど、こんな風にいじられていたのか……若い子はいじりたくなるから仕方ないね。いつまでも少年の心を忘れない、大切大切。

 気を取り直し、MCからシボはどんなキャラクターかと聞かれた花澤さんは、「シボがいろんな形に変わっていくじゃないですか。どういうふうな距離感で、どういう風に喋るのか中々想像しづらかったんですが、原作本があったおかげでわりとイメージできたので助かりました。原作の中に主任科学者時代のショートカットの彼女が出てきて、2m10cmのシボの声って言うよりかは、マンガの中に出てくるあの人の声でお喋りするように意識をしていました」と回答。

 人型を保っていない腐っているバージョンについて聞かれると、「腐ってるのも同じ。うーうーっていう唸り声をどうしようかな、と思って、最初は色々試しました。しわがれ声でやってみたり、普通にやってみたり」したそう。最初は腐っていて、次はでっかい姉ちゃん、最後は“あれ”と、プレスコで画がなかったからこそ、自然にできたのではないか、と結論づけた。

■ポリゴン・ピクチュアズ内での花澤シボの評価とは?

 ポリゴン・ピクチュアズ内でのシボ人気・花澤人気については、瀬下監督の口からシミジミこぼれた「人気あるに決まってますよねえ……」という言葉がすべてであり、ゾンビ状態のシボをこっそり「腐れシボ」と呼称しているという監督は、「腐れシボなのに、少しでも可愛くしようとするアニメーターの意志がぎゅうぎゅうに詰まっている」と語る。

 また、一部で話題にもなったモデルウォークシボは吉平副監督の「歩かせたい」という思いで作られたことや、雑に持たれる腐れシボとその直し方……壁にガンガン打ち付けるあれにも言及。瀬下監督いわく「昭和の直し方」はアニメーションにも力が入っており、指示も出していないのにエフェクトが豪華になっていたそうだ。

 ここで、霧亥やシボの視界について「シドニアの時には、ディスプレイグラフィックだけを観ても状況やストーリーがわかるように作った。『BLAME!』は、あえてちょっとわかりにくい、よーく観ると実はいろんなネタが書いてある、という状況で作っている」と瀬下監督。ディスプレイグラフィックも、キャラクターごとにスタイルを変えているのだ。霧亥だと、表示されている文字を読めば、彼の出自、存在や謎に近付けるものとなっており、あるキャラと似ていると分かるだろう。実際に映像に表示された内容から分かるので、これから観る方はぜひ注視していただきたい。

 と、ここにきて制作陣のコメントを聞いていた“花澤香菜さま(いじられ役)”より

「真面目なこと喋れるんじゃないですか! なんだったの今までの!?」

 という大変激おこな絶叫が。もちろんギャグ混じりの半ギレであったが、当日に行われた前2回の舞台挨拶ではスゴいことになっていたのだなあ、と実感する一コマであった。

■おっぱいぶるんぶるん!

 シボの義体については、瀬下監督の口から「胸は柔らかい素材で、アニメの中でも揺れている」と言及が。これはシドニアの頃から「パイリアルエンジン」と呼ばれているもので、弐瓶先生の設定集には指定でパイリアルエンジンと書かれているのだとか。ビーチボール及び格ゲーファンの中には聞き覚えのある者もいるかも知れない。やはり考えることはみな同じ、というわけだぶるんぶるん。この柔らかさについては花澤さんの口からも「柔らかくて良かった」というつぶやきが聞けた。やったぜ。この後はライティングについての技術的な話が続き、その真面目さに対する花澤さんの「さっきまでが悔やまれる……」というつぶやきが劇場内の笑いを誘った。

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 まだまだ語り尽くせない『BLAME!』の世界とシボ祭。霧亥の無口さと双璧をなすのが、「どんな姿形であろうとシボ」という彼女のスタイルだ。原作では形態の違いで人間らしさもあったが、今作ではゾンビと頭取戦の頃のイメージだろうか。その行動についても「あえてわからないように画面内に仕込んでいる」そうで、ライティングではライトがあたる面と陰の面で「自分の欲求を満たそうとしているのか、村を救おうとしているのかわからない」という二面性を表現しているのだ。映画での最終形態は女性らしさを重視してバレリーナの手の動きを再現、また、霧亥との別れのシーンにある秘密が隠されてもいる。

実は瀬下監督や吉平副監督、そしてスタッフが互いに仕込んだ部分も互いに知らない、隠されているという『BLAME!』。岩浪音響監督の「東亜重音もまだまだ増えるかも」という発言もあったので、もう観た方もまだの方も、映画館へ足を運んでほしい。
(取材・文/平工泰久)

■登壇者からの熱いメッセージ

岩浪音響監督:「東亜重音」は音のいい映画館で展開させていただいたんですけど、映画館はもしかしたら今後なくなってしまうかも知れない。本屋がなくなりCDショップがなくなり、テキスト、音、その次は映像なんですね。これは洒落にならない話で、映画館で映画を観るという娯楽はなんとか残したい。「そのためにボクができるのはなんだろうか」ということで、普通の映画館でも音を良くしたい。そのためにはちょっと目立つことをやらないとダメなんです。映画館で観なければクリエイターが作った本当のものを体験できない、映画館でないと体験しえない娯楽を作りたい。そのための試金石なんです。「ドルビーアトモス」という仕様を使わせていただいて、ボクの中ではアニメーションの音響革命の第一歩であると思っています。これからもどんどんいい音で、映画館でしか楽しめないものを作っていきたいと思っています。

花澤香菜:お話ししていてわかるんですけど、作ってるスタッフさんたちのわくわく感と、「ここにこういうものを入れてみて、どうだ」っていう、スタッフさん自身がスタッフ同士でもわからないことがあったりするっておっしゃっていて、「ああ、そういう遊び心もたくさん入っていて、素敵な作品だな」と。そこに関わらせていただいて、本当にうれしいなと思いました。みなさん、まだあと一週間も上映期間が残っておりますので、ぜひ何度も足を運んでいただければと思います!

吉平副監督:劇場公開ということを非常に重く受け止めていて、作っている時から、劇場で観ていただいたらどういう感動があるかを意識しながら、シネスコの画面サイズしかり、画面の情報密度しかり、まだ監督にもお伝えしていない各種演出しかり、さまざまな宝箱のようにボク自身もつめていきましたし、スタッフも愛情込めて作っていた作品です。長く愛していただけるような作品になるようにさまざまな場面で工夫を凝らして、何度観てもらってもシンプルな筋やアクションシーンもあれば、出てくるキャラクター一人一人の感情を追いかけて観ていただくと、きちんとキャラクタープロットが設計されていて、なぜその時そうしたかがわかるような演出をしております。ぜひぜひ、この作品を好きになっていただいて、何度も足を運んでいただければうれしいです。

瀬下監督:「この回の前2回の舞台挨拶がなんだったのか」というね(笑)。この回は素晴らしい回ですねえ。前の2回も素晴らしかったんですが(笑)。こうやって満席のお客様の前で自分たちの作品の話を観終わったお客様と一緒にできると言うのは、何度も舞台挨拶やらせてもらってますけどただただ幸せです。こういうことを続けさせていただいているのは、応援してくださっているみなさんのおかげだと思っております。シドニア、もちろん『BLAME!』の続編も含めてですね。もっともっとみなさんに楽しんでいただける作品を継続して作っていけるように、我々自身も頑張ってもっとより良いものを作り、劇場ならではの体感を作り、やっていきたいと思っておりますし、これからもぜひ、応援していただければと思っております。今日は本当にありがとうございました!

■『BLAME!』大ヒット上映中! 
配給:クロックワークス
公式サイト :http://www.blame.jp/
上映時間 :105分
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

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