『笑ゥせぇるすまんNEW』第9夜 廃墟じみた銭湯は「ドーン!」を超えて2017年のリアル

──『笑ゥせぇるすまん』放送当時に生まれた山川悠だ。『笑ゥせぇるすまんNEW』(TOKYO MXほか)を毎回レビューしていくぜ。

■懐かしの温泉ツアー

1,主人公
 番田井守(30)失業中

2、境遇
 銭湯絵を見るのが好きな番田井。いつものように銭湯に浸かっていたところで喪黒さんと出会う。意気投合した喪黒さんに、幻の銭湯絵について語り始める。

3、喪黒さんの提供したサービス
 番田井の求めていた幻の銭湯絵を見つけて、連れていってくれた。そこには幻の銭湯絵のみならず、番台に座る美人の姿も。

4、結果
 幻の温泉が忘れられず、カメラを持って再び足を運ぶ番田井。しかし、そこは以前と違うボロボロの銭湯があり、番台の美人も醜い老婆だった。悲鳴を上げて終了。

5、旧作データ
 放送歴なし
 中公文庫コミック版5巻収録


■研究者はユウウツ
1、主人公
 戸鰐学(40)非常勤研究員

2、境遇
 たんぱく質の三次元厚層を解析して細胞への作用を検証、新薬の可能性を探る、という研究をする戸鰐。部下たちとの人間関係、教授の顔色伺い、研究費の調達で忙しく、研究に没頭できない。さらに付き合っていた恋人に研究データを盗まれた過去がある。

3、喪黒さんの提供したサービス
 財団の後ろ盾がある研究所。3カ月で何らかの結果を出すこと、研究以外のことに目を向けないことが条件。

4、結果
 3カ月を迎え、焦った戸鰐は後輩の論文を自分の名前に書き換えて発表。一時は注目を浴びたものの、マスコミに論文を盗んだ事がばれてしまった。

5、旧作データ
 アニメオリジナル

■LINARIAの意味

 番田井の住む部屋が、より銭湯好きをアピールしたものになっている。温泉マークのポスターが壁に貼られ、枕元、ベット下には温泉・銭湯絡みの雑誌や本が10冊以上置いてある。

 レジャーセンター化した温泉が増えて銭湯絵が少なくなっていて哀しいこと、いきつけの銭湯が外観をムリヤリ変えて残念なこと。「お若いのに渋い趣味ですねぇ」と喪黒さんに言われたこと。マンガ版とNEWとで話している内容はほとんど変わらない。
 しかし、当時よりも銭湯の数はどんどん減っていき、現在は銭湯めぐりはサブカル的な趣味としてクローズアップされている。

 喪黒さんに幻の銭湯・少将湯に連れていかれた。棚の上に籠が置かれただけのシンプルな脱衣所、いい感じに古びた広告、理想通りの富士山と三保の松原が描かれた銭湯絵。銭湯マニアが「昭和だ〜」と喜びそうな要素をみたしている。番田井も涙を流して感動する。そして美人の番台に目がハートマークに(昭和表現だ)。

 しかし、2度目に向かった少将湯で目にしたのは、ガタガタの扉に、埃がかった床、ボロボロになって傾いた銭湯絵、よれよれの老婆番台。1度目とは真逆になっていた。恐怖というより、リアルだと感じる。

『NEW』では、『LINARIA』と書かれたボトルシップがチラッと出てくる。船の下に敷かれたリナリアの花は、小将湯のポスターの美人番台も花飾りに使っていた。花言葉は「幻想」である。
(文/山川悠)

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