『アリスと蔵六』9話 お母さんを操って動かして幸せな家族をつくる……悪い魔女になってしまった

『アリスと蔵六』9話 お母さんを操って動かして幸せな家族をつくる……悪い魔女になってしまった

『アリスと蔵六』公式サイトより、先週はこんな話(8話)

──今期「幼女のお風呂シーン」最多アニメであること間違い無しですね、紗名の腹巻きが気になって調べた所、グンゼ子ども用が540円で売っているのを知ったたまごまごが『アリスと蔵六』(TOKYO MX)を全話レビューします。やっぱ今も需要あるんですね。


■9話「チェシャ猫の笑う場所」悪い魔女はもう元に戻れない

羽鳥「山をおりて人を襲ったクマはね、もう二度と山には帰してもらえないの、殺されるのよ」原作・今井哲也、監督・桜美かつし、J.C.STAFF制作のアニメ。頑固爺さん蔵六(演:大塚明夫)の元にやってきた、妙な力を持つ少女・紗名(演:大和田仁美)を巡る物語。

 敷島羽鳥(演:内田秀)に芽生えた能力は、「人から想像力を奪い、操ることができる」という強力なものだった。「悪い魔女になってしまった」と考えた彼女、仲の悪い両親の心を操り、疑似的な「幸せな家族」を作り、引きこもってしまう。友人の美浦歩(演:高橋未奈美)は彼女を救いたいと、奔走する。

 蔵六や友人の雛霧あさひ(演:藤原夏海)とよなが(演:鬼頭明里)らをゾンビ化したのが羽鳥らであるのを知っている紗名は、みなが元に戻った後、絶対こらしめると誓う。


■紗名が皿洗いをした日

 あさひとよながのお泊まり会のシーンは、BD-BOXのショップ特典でも描きおろしイラストに使われている、名場面だ。
 2人は紗名の成長に驚愕。紗名が能力を使わず台所で洗い物をしている。あの所構わず能力を使って駄々をこねていた紗名が! おそらく洗い物専用と思われる踏み台には、樫村紗名のフルネームが!

 紗名が樫村家で、最初に仕事として与えられたのは朝刊を毎朝取ってくることだった。はじめはこれすら、寒い、面倒くさいといってサボろうとしていた。
 しかし「樫村紗名」として正式に家族の一員になったのを心から喜んだ彼女は、蔵六と早苗(演:豊崎愛生)に対して、特別な愛情を感じ始めた。
 自分の感情も、相手の気持ちも、他人と自分の境界すらわかっていなかった子が、自分から家族のために仕事をするようになった。

 あさひ・よながと、どうでもいいことで大騒ぎする場面もいい。紗名に、警戒しなくていい、大好きな友達ができた。
 今回の日常パートは、紗名の心の成長のオンパレードだ。


■蔵六の子育て術

 今の紗名は、ものすごくスキンシップを求める子だ。
 蔵六の帰りがちょっと遅くなった時。紗名は帰ってきた蔵六にしがみついて離れようとしなかった。

紗名「蔵六、もうどこにも行くなよ、ヘンなふうになったりするなよ」

 一方で、蔵六はそれほど抱きしめたりなどのスキンシップは取っていない。
 ただし蔵六は紗名と関わる際、必ず理由を言う。

 最初のころ、お風呂に入りたがらなかった(能力で汚れないから)紗名が、今はちゃんと入っている。
 紗名は「洗わないとバイキンが増える」「はやくあがるとカラスの行水」と、あさひとよながに得意げに言っている。
 おそらく蔵六か早苗に言われたのだろう。彼女は言葉で確認しながら、全て納得して動いている。

 蔵六は紗名が一生懸命言うことは「そうか」と必ず受け止める。抱きついてきた紗名を、力づくで離すことはしない。だから紗名は安心して蔵六に甘えられる。
 普段抱きしめたり一緒に遊んだりするのは、早苗の仕事なのだろう。でも大事な時は、蔵六自身がやさしく頭をなでている。


■偽りの家族、心の壁

 一方、羽鳥の家庭は全くコミュニケーションが成立していない。
 羽鳥がヤケになって原宿の人の心を奪ってしまった原因は、元をたどれば家族の不和にある。

 紗名が、大切な家族と共に過ごし、友人たちと笑いあっているシーンがあるだけに、親友の歩すらはじき出してしまった羽鳥の心の壁がひたすら際立つ。
 情報調査室の内藤竜(演:大塚芳忠)と山田のり子(演:広瀬ゆうき)が何度訪れても、2人の心を操り、記憶を改ざんして帰らせてしまう彼女。家に近づかせることすらできない。
 はーちゃん、ATフィールド分厚すぎるよ。

 序盤の「これはどっちのママなの?」と話しかけた時の母親は、とても親切だった。
 明言はされていないが、どうやらこれすらも傀儡の母親のようだ。もうこの時点で「本物のママ」が何を考えているのか、羽鳥自身にもわからなくなってしまっている。
「両親と自分」が世界の全てな、セカイ系な殻に閉じこもってしまった羽鳥。
 蔵六は彼女にゲンコツを食らわせられない。今度は紗名が、今まで蔵六から教わったことを伝える番だ。

(関連:「アリスと蔵六」セカイ系をズバっと断ち切るじじいの爽快、ハードなアニメ化で話題沸騰 エキレビ!  http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20170604/E1496506571538.html)

 Blu-ray BOXは7月28日発売。第1話から5話まで収録で、5話のオーディオコメンタリーには原作者・今井哲也も参加している。紗名たちが動物園に行く話のドラマCD付き。
(文/たまごまご)

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